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アウトドア用GPSは絶滅するのか?

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僕は2006年にGarminのGPSを導入して以来、自転車ツーリングに活用してきました。GPSを利用すると現在位置が正確にわかるだけでなく、紙の地図を携帯するわずらわしさからも解放されました。ツーリングではコースミスは大きなロスにつながりますし、いちいち立ち止まって地図を確認しなくて済むので時間の短縮にもなります。

アウトドア用GPSの市場をリードしてきたGarmin社ですが、ここへ来て勢いに翳りがみられ、安泰とも言えなくなっているのではないかと感じています。その最大の理由はスマホの脅威です。

スマホが全てを食いつぶす

日本でスマホが普及し始めたのは2010年頃からですが、まず最も売れなくなったのがPCでしょう。初期のスマホは画面が小さくて動作も遅かったですが、最近のスマホは大画面化し非常に高速になっています。もはやPCと遜色のないレベルでウェブを閲覧することができます。こうなるとスマホで十分と考える人が増えるのは当然で、ウェブのアクセスもスマホが大半を占めるようになってきています。最近は高齢者だけでなく、若者の中にもPCを使えない人が増えているようで、今後ますます市場は縮小していくものと思われます。

そして次にあおりを受けたのがデジタルカメラです。その中でも特にコンデジは急速に市場が縮小しています。数年前まではエントリークラスから高級クラスまで各社とも充実したラインナップを揃えていたのですが、ここ2~3年で激減し、今では光学高倍率ズーム搭載機か大型センサーを搭載した高級コンデジ以外は絶滅してしまいました。つまりスマホでは不可能な望遠撮影や高画質を売り物にしたモデル以外は生き残れなくなったのです。デジカメのユーザーにとって、これは非常に憂慮すべき事態です。

影響を受けるのはハードだけでなく、コンテンツもそうです。インターネットや電子書籍の普及で紙の本が売れなくなってますし、Googleマップの影響で紙の地図も売れないでしょう。また音楽配信サービスの普及でCDの売上が激減し、音楽プレイヤーそのものもスマホに奪われてしまっています。

スマホというものはあらゆるデバイスを一つに詰め込んだ万能の小箱なんですよね。常に携帯するものだからこそ何でもスマホで済まそうとする。だからその性能が上がるにつれてあらゆるものを食いつぶしていきます。それが経済を縮小させているわけです。それじゃスマホが売れているのか?といえばそうではないですよね。今やスマホの生産は台湾・中国・韓国が圧倒的なシェアを占めており、国産メーカーなんて風前の灯火ですよ。これじゃ日本経済が縮小してくのは当たり前なんですよね。

そしてスマホの脅威は次にアウトドア用GPSにも降りかかろうとしています。

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アウトドア用GPSの利点

まずアウトドア用に特化されているため起動が速く、操作が簡単で必要な情報が見やすいということですね。もちろん頑丈で防水性に優れていることも要求されます。そして精度が高いことも特徴で、特に気圧計を内蔵したモデルでは高度まで正確に得られます。登山など生命にかかわる用途では精度が高いことは絶対条件です。

また消費電力が少ないことが最大の利点といえるでしょう。スマホのように大量のアプリを動かす必要がないため、電力消費は最小限に抑えられています。反射型液晶を使用したモデルではバックライトを点灯させる必要がないため、丸一日バッテリーを持続させることが可能です。

アウトドア用GPSの欠点

最大の欠点は画面が小さいということですね。一般的なモデルでは240x320程度の解像度しかなく、スマホの美麗な画面を見慣れた目にはオモチャのように見えてしまいます。当然一度に表示できる情報量が少ないですから、何度もページを切り替えたり、地図であれば周囲の状況がわかりづらいという欠点があります。これは実際に使ってみて痛切に感じます。

また地図表示が可能なモデルでは、インストールできる地図の表現力が乏しく、Googleマップや地理院地図の情報量にはとても敵いません。地図の更新にも費用がかかるため、次第に古くなってしまうという問題もあります。ほとんど現在位置の確認用くらいにしか使えないので、詳細はスマホに頼らざるを得ないこともしばしばです。

そして決定的な問題は値段が高いということでしょう。Garmin製のデバイスであれば最低でも3万円以上しますし、高いものでは10万円近いものまであります。しかも地図が別売だったりするんですよね。このデフレ時代に売れるとは思えません。スマホのアプリだったら無料または数百円で使えますし、しかも地図はいつでも最新です。これじゃスマホで済ませようとする人が増えるのは当然ですね。

次第に克服されるスマホGPSアプリの弱点

初期のスマホはバッテリーの保ちが非常に悪く、数時間しか使えませんでした。これではGPSとして常時使うことは無理があります。しかし最近のスマホはバッテリーの大容量化とともに低消費電力化が進み、一日中使うことが十分可能になっています。確かにGPSを使用すると消費電力は多少増加しますが、それは全体から比べれば微々たるものです。スマホで一番バッテリーを消費するのは何と言っても液晶のバックライトです。画面を消してバックグラウンドでGPSを動作させ、ログを取るだけならば大した電力は消費しないため、アウトドアでも十分活用することができます。

もう一つ精度の問題が過去にはありました。確かに初期のスマホはGPSの感度が低く、測位に時間がかかったり、精度もあまり正確でないことが普通でした。しかし最近のスマホにはGPS専用機と同じチップが搭載されるようになっているため、精度においても遜色ないものになっています。しかも気圧計を内蔵したモデルまで登場しているため、高度の精度もGPS専用機に迫りつつあります。

またスマホの地図はネット経由でデータを取得しているため、電波のない場所では使えないという欠点がありましたが、最近の地図アプリはデータをキャッシュしてオフラインで表示できたり、初めからオフラインの地図アプリというものも登場しているため、この問題はほぼ克服されています。

このようにしてスマホの地図アプリの弱点は次第に克服されつつあり、画面が広くて情報量が多い、しかもネット経由でさまざまなデータ利用ができるといった利点ばかりが目立つようになってきています。これではスマホで済ませようとする人が増えるのも無理はないでしょう。

大胆予測:アウトドア用GPSは生き残れるのか?

僕は自転車と登山の両方でGarminのGPSを使った経験から、この二つは同じアウトドアでありながら性格がまったく異なると感じています。それによって生き残れるか否かが決まると思うのです。

まず自転車でGPSを使用する場合、本体をハンドルバーなどに固定して常に視界に入る場所に設置する必要があります。そして画面は常にオンにしなければなりません。自転車は高速で移動しているため状況は刻々と変化し、瞬時に読み取れるリアルタイム性が要求されるからです。つまりカーナビと全く同じです。

最近はスマホを自転車に付けている人も増えてますが、ナビとしての用途なら確かにアウトドア用GPSより便利です。しかし画面を常時点灯しなければならないため、最近のスマホがいくら低消費電力であっても一日中はバッテリーが保ちません。その場合は外部バッテリーから供給する必要があります。そのためどうしても大がかりになってしまいます。その点、アウトドア用GPSならば単三電池だけで一日中使えるので大変手軽です。しかも電池交換が可能なので何日でも続けて使うことができます。それにスマホを自転車に付けると吹っ飛ぶ恐れがあって怖いので、僕は今でもGarminを使っています。

また自転車でGPSを使う場合、目的は二つあり、一つは地図を表示させてナビとして使うツーリング用途です。そしてもう一つは速度・距離などを表示させるサイコン用途に加えて、心拍計や最近流行のパワーメーターなどと組み合わせてトレーニング機材として使う用途です。最近のロードバイクブームに見られるように、自転車は旅の道具よりもスポーツ機材としての性格を強めつつあり、後者の使い方が今後の主流になっていくと思われます。つまり地図が表示できるかどうかは大きな問題ではなく、専用機器としての手軽さと信頼性が求められるようになってくるのです。そういう用途では専用機器であることのコンパクトさとバッテリー寿命の長さを生かしてまだまだ生き残れる余地はあると思います。その証拠にGarminのEdgeシリーズは今でもローディーの間で売れ続けてますよね・・

一方、登山用のGPSはどうでしょうか? 登山の場合は自転車と違って画面を常に見ている必然性がまったくありません。歩いているときは普通、ポケットに入れたり、カラビナでリュックにぶら下げたりします。そして道が不安なときなど、必要な時に立ち止まってGPSの画面を確認するのです。スピードが遅いのでそれだけで十分です。ということは、スマホのGPSアプリでも画面を常にオンにしておく必要はなく、見るときだけオンにすればよいわけです。それだけならばバックグラウンドでGPSを動かしていても電力消費はほとんどありません。ログも一日中取れます。たとえ数日間の縦走であっても、予備バッテリーを1個持てば十分なのです。

スマホの画面で見る国土地理院の地形図の情報量は圧倒的です。広い範囲にわたって周囲の地形が読み取れるからです。アウトドア用GPSの小さな画面ではそういうわけには行きません。せっかくGPSを持っていても、結局スマホを取り出して見てしまうことが多いのです。したがって登山でアウトドア用GPSを使うメリットというものがほとんど感じられません。

以上の個人的な経験により、今後の予測を立ててみますと、自転車用のGPSは主にトレーニング機材として細々と生き残る可能性が高いが、登山用のGPSは近い将来スマホに置き換わり、絶滅するだろうと僕は読んでいます。

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