自転車旅行は最も贅沢な遊び

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自転車自転車趣味

なぜこのブログは人気がないのか?」でも書いたように、近年の自転車モチベーション低下およびブログ低迷の原因はうすうすわかっているんです。それはズバリ「貧困」です(爆)。

自転車というものはとかく金がかかるということを見過ごされがちです。人気のあるブログを見てみても、自転車乗りは上流階級に属しているという印象を強く持っています。だって30万もするロードバイクをポンと買えるなんて、それだけで普通じゃないでしょ? それも2台、3台と・・。それに加えて一式何万円もするウェアを何セットも持ってたりね。そんなの金持ちでなければ絶対できませんよ。

でも世間一般では「金がないから自転車に乗っている」という認識が未だに根強くあります。自転車は貧乏人の乗り物、金があればクルマに乗るのが当然という高度成長時代からの古い考えは今でも生きています。だから自転車乗りは低く見られがちなのです。でもその考え方は根本から間違っています。この際ハッキリ言いましょう、自転車はお金に余裕のあるブルジョワの乗り物です!(爆)

とりわけ最も金がかかるのは「自転車旅行」です。何をもって自転車旅行と呼ぶのかいろいろ定義はあるでしょうけど、ここでは「最低1泊以上して自分の生活圏から離れた場所へ旅行すること」としましょう。その場合、100kmくらいなら自走も可能でしょうが、それ以上離れた場所へ行くには交通機関を使って移動する必要があります。土日の貴重な休みを使って行くんですから、移動だけで丸一日潰れてしまうようでは意味がありません。

ところが日本では交通費というものがものすごく高いんですね。最近は鉄道も合理化が進み、昔のようにリーズナブルな移動手段がなくなり、嫌でも高額な新幹線や特急を使わざるを得なくなっています。もちろん飛行機も非常に高額です。これが自転車を持たない徒歩旅行であれば、高速バスや青春18きっぷのような安価な移動手段も選択可能になるんですよ。しかし自転車があると高速バスは使えません。青春18きっぷで重たい輪行袋を担いで何度も乗り換えるのは走る前にくたびれてしまいますし、何よりも時間がかかりすぎて自転車で走る時間がなくなってしまい現実的ではありません。結局、自転車付きだと嫌でも高い金を払わざるを得ないのです。

そして次に宿泊費。学生ならキャンプ道具一式を満載して何日も野宿することも可能でしょうが、社会人はそういうわけに行きません。第一、おっさんにはそんな体力はありません。できるだけ身軽にしてどこかの宿で泊まるしかないのです。でもこの宿泊費がまた高い。今は都会なら3千円程度のリーズナブルなビジネスホテルもありますが、サイクリングで行くような田舎になるほど高い。特に観光地周辺はむちゃくちゃ高いです。安くても1万円近くは覚悟しなければなりません。僕の半月分の食費に相当します(爆)。

結局、自転車だけで旅行しようとすると、たとえ1泊であっても交通費、宿泊費、その他もろもろの経費を合わせて軽く3万は飛んでしまうんですよね。これってものすごくコスパが悪くないですか? 自転車で旅行するということは、例えて言えば豪華客船で世界一周クルーズとか、最近人気の豪華列車による周遊ツアーに似ています。たった2泊3日のツアーで100万円とか、庶民には縁のなさそうな話ですが、それでもあっという間に予約が埋まってしまうそうです。ただ目的地へ行くだけなら飛行機や新幹線を使った方がはるかに速くて安いんですから、あり得ないですよね? でも自転車で旅行するということは、それと同じことをやってるんですよ。時間と金を贅沢に使える金持ちだけに許された高級な遊びなんです。

僕も10年ほど前までは年に1~2度くらい自転車旅行というものをやってました。宮古島まで自転車を持ち込んだこともありましたよ。今から思えばその頃はまだ金があったんですね。しかし年々収入が少なくなり、2008年の四国ツアーを最後に自転車旅行はパッタリと途絶えました。今ではたかが1万円の物を買うにもさんざん悩んで迷って重大な決意をせざるを得ない状況です。そんな状況で自転車旅行のような金のかかる遊びをする余裕はありません。貧困が自転車のモチベーションを奪ったのです。

それに代わって数年前から始まったのがクルマを使った周遊旅行です。自転車を積んで車中泊し、あり余る時間を贅沢に使って1週間くらい滞在します。高速道路も使わなければ経費はほとんどガソリン代と食費くらいしかかかりません。クルマを使うのが圧倒的に安いんです。だから金のない者はクルマで旅行するしかないのです。クルマこそ貧者の乗り物だと言えます(笑)。

でもこれは「自転車旅行」とは言えないのです。なぜなら移動した経路がすべて線でつながっていないからです。そこには出発地から目的地まで自力で走ったという達成感は何もありません。ただの観光旅行の延長でしかありません。クルマで旅行するということは、基本的に家が移動したのと同じと思っています。つまり一時的に引っ越して、その周りを走っているだけなのです。それは冒険ではなく、日常の一部でしかありません。

金がなくなるとできることがどんどん減っていきます。自転車旅行もしかり。自転車が面白くなくなったのは、元をたどれば全ては貧困のせいだったのです。

片雲の風に誘われて