写真の練習

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写真

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「脱ネイチャー」を標榜していても、いざ知らない町へ行っていきなり写真が撮れるかというと、そんなに甘くはありません。これまで何度となくチャレンジしましたが、結局何を撮っていいのかわからなくて一度もシャッターを押さずに帰ってきたことは一度や二度ではありません。ネイチャーと同じ眼で見ていても決してシャッターは押せないのです。

ですから予行演習として近所で見る眼を鍛える「練習」をしておくことは決して無駄ではありません。近所で撮れなければどこへ行っても撮れないのは同じですから・・。本来ならフィルムで撮りたいところですが、フィルムだとどうしてもシャッターが重くなってしまうので、結局何も撮らなかったということになりがちです。こういう時、安直にデジカメに頼ってしまいます。(^^; デジカメで十分練習を積んで、どこでも撮れる自信ができればフィルムに切り替えていっても遅くはないでしょう。多少無駄なカットがあってもいいから、とにかくシャッターを押すということの方が大事ですから・・


ただデジカメを使っていつも思うのは「撮りすぎ」の問題です。自分はデジカメを使うと一日に200~300コマとか、フィルムではとてもあり得ないような数を撮ってしまう癖があります。こうなると後でチェックするだけでも大変な作業になってしまいます。自分の撮り方を考えると、とりあえずまず一枚撮り、モニターを確認して露出がまずかったら露出補正してもう一枚、構図を変えてもう一枚、ズームの焦点距離を変えてもう一枚・・・なんてことを普通にやってます。フィルムだとシャッターを押すべきか考えてから押すのですが、デジカメの場合は考える前に指が動いています。手当たり次第に乱れ打ちです。こんなことをやってるとあっという間に10枚や20枚撮ってしまいます。そして帰ってからコマを選ぶのに苦労するのです・・。デジカメは「撮るのは簡単だけど、撮った後で苦労する」と言われるのはそのためです。

この「撮りすぎ」を少しでも防ぐためにある工夫をしてみました。それはOMアダプターを使ってMFの単焦点レンズを使うという方法です。とりあえず手持ちでズイコー24mmF2.8がありますので、これをE-520に着ければ48mm相当の標準レンズになるわけです。交換レンズなど一切持たずにこれ一本で撮ることを自らに強要するのです。この方法ではシャッターを押す前にMFでピントを合わせて絞りを再設定するという「手間」がかかりますので、シャッターを押す前に「考える間」ができると期待されます。物理的に乱れ打ちをできないようにしてしまうわけです。

そして単焦点レンズを使うことのもう一つの効用ですが、それは「視点が定まる」という効果です。ズームレンズが付いているとどの画角で撮るべきか迷ってしまい、視点が定まらないことをいつも経験しています。そこで最初から画角を固定してしまえば自ずからその画角に合った被写体を探すようになってきます。これはかなり眼からウロコでした。不思議なことにズームレンズを使っているときより制約は多いはずなのに、「撮れる」のです。大口径でも絞ってしまえばボケ味とかは全然関係ないのですが、それより視点が定まるということにものすごく大きな意味があります。

というわけで、E-520にズイコー24mmF2.8だけ着けて出撃しますが、徒歩で行ける範囲はもうほとんど知り尽くしてるので、やはり同じものしか目に付かないんですよね・・。そこでちょっと離れた場所がいいんですが、そうなるとどうしても自転車を使ってしまいます。しかしこれがまた良くないのです。自転車はカメラの運搬が苦手です、スピードが速すぎます、そして自由に方向転換できません。要するに自転車とカメラは相性が悪いのです。自転車で写真など撮れないことはとっくの昔に学習済みです。写真は歩かなければ絶対に撮れません。そんなことは百も承知してるのにやっぱり自転車を使ってしまうのです・・。それは広範囲を動き回れるという機動力からでしょうか・・。いや、このクソ暑いのに歩く気になどなれません(笑)。本来なら気に入った場所までは自転車で移動し、どこかに自転車を停めて、あとは歩き回って撮るというのが理想なのですが、スポーツ自転車にはスタンドが付いていないのでこれが簡単なことではないのです。それを言い出すとスタンド付きの小径車が欲しいとか、新たな物欲の種になってしまいます(笑)。そこで仕方なく自転車に跨ったまま撮るという行儀の悪いことをしてしまうのでした・・(苦笑)

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以上すべてE-520 + ZUIKO 24mmF2.8

片雲の風に誘われて

コメント

  1. mb より:

    SORAさん、こんばんは。過日はコメントいただき、ありがとうございました。
    膨大な過去記事、しかも、ロードバイカー(と言うのでしょうか….?)の身体感覚に溢れた記事群に圧倒されています。その「偏り」にためらいを覚えられた時期もあるようですが、私のような素人から見れば、何をためらうことが….?と。
    写真についての過去記事も拝読しました。2009.7.28の「DNPセンチュリア200を使ってみた」を拝読し、そこに掲載の写真の色調に「もしや….?」の期待を抱き、さらにページを繰ったところで2009.7.16の「マンネリを脱却せよ!」を発見し、”!!!”と膝を打った次第です(嬉)。実は過去記事を拝読している中で、尾仲さんを薦めたいなぁ…..と思っていたのでした。私もとても心惹かれる写真家さんです。「赤錆びた光景」という連載を書いたくらいです。
    銀塩であれデジタルであれ、写真とは、機械が撮った素のままで出すモノではなく、その機械が歪めてしまった像を、撮り手の脳と肉眼が感覚した像へと「修正」すべきモノなのでしょうね。問題は、撮り手本人の「修正値」が、撮り手自身にも判然としないことでしょうか…..?
    いずれにせよ、コメント頂き、ありがとうございました。SORAさんを知ることが出来て、またひとつ、ブログを続けて良かったと思えました。
    今後ともよろしくお願い致します。駄文の長文、お赦し下さい。

    追記:この記事とその2つ前の、私宛の手紙のように拝読しました(嬉)。

  2. SORA より:

    @mb さん

    こんばんは。コメントをいただきましてありがとうございます。
    自転車も一日に300km走る凄い人とかいくらでもいますから、私ごときのしょぼいレポートで人に喜んでもらえるのか?と最近自信をなくしてます。(笑)
    写真はまだ始めたばかりなのであんまりボリュームがないのですが、あれだけ読んだだけで尾仲さんに連想がおよぶとはさすがです。「赤錆びた光景」も興味深く拝読させていただきました。やはり自分と同じような行き詰まり感に悩み、似たような行動をとられるところに共感を覚えます。尾仲さんの写真に対してもほぼ同じ感想を持っています。尾仲さんの写真集は「これだ!」と思えた初めての衝撃でした。
    ただ自分は写真史とかに詳しくないのでもっと写真史のことを勉強したいと思いますし、いろんな作家の写真集もどんどん観るべきでしょう。
    私も昔は「写真とはありのままに写すもの」という考えを持ってましたが、最近その考えがちょっと変わりました。あくまでも自分の脳内にあるイメージに近づけていく作業なのだと思います。それが「表現」であるということでしょうか・・
    ですから「良く写る」ということは絶対ではないと最近思えるようになりました。デジタルカメラの画像を等倍に拡大して粗探しするような議論がいかにナンセンスであるかを思い知るべきです。

    そうですね、最近2つの記事はmbさんへの私信のつもりで書きました。特定の誰かに向けて書くことなどめったにないことですが、自分の現状を知ってもらいたいという気持ちがそうさせたのでしょう。