安川大塔川林道

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自転車


大塔川沿いは素堀のトンネルが連続する

2/12(土)、南紀の林道安川大塔川線を走ってきた。
一週間ほど前から計画は上がっていたのだが、参加者が集まらず直前まで決行が危ぶまれた。
結局4人だけで決行ということになったのだが、前日の23時になっても予定が決まっていない始末。
とりあえず大雑把にコースだけ考えてあとは着いてから決めるといういつものいい加減なパターン。
とにかく遠いところなので朝5時には出発しなければならない。
早めに床に就いたもののなかなか寝付かれず、結局2時間ほどの睡眠で4時起床。
5時に天理駅で待ち合わせてo氏の車に便乗させてもらう。
もちろんまだ真っ暗なうちからの出発である。川湯までは五條からR168をひたすら走って約4時間。
9時頃やっと本宮に到着した。駐車場所も考えていなかったが、うまい具合に川湯に仮設駐車場があったので迷わずそこに駐車。
9時50分にようやく出発となった。
今日はかなり低めの気温予想が出ていて参加するのも躊躇されたのだが、陽射しがあって風もなく、思ったほど寒くはない。もちろん足先や耳など末端の防寒対策はバッチリだ。走り出すとすぐ体が温まって暑いくらい。
川湯から県道静川請川線をゆるやかにさかのぼっていくと平で集落が途切れ、寂しい山道となる。
ホイホイ坂分岐を過ぎたところで舗装からダートに変わり、林道安川大塔川線となる。
ここから素堀のトンネルがいくつも連続し、ワイルドな雰囲気が満点である。
路面はよく締まっていて勾配もゆるく、大変走りやすいダートである。オフロードバイクが数台追い越していったくらいで車両の通行はほとんどなく、静寂そのもの。
大塔川渓谷の切り立った岩壁が実にダイナミックだ。
静川を過ぎるあたりからは路面が少々荒れてきてやや走りにくくなるが、それもまたワイルドでいい感じ。
中小屋谷との出合あたりから勾配が増してきていよいよ厳しくなる。
そして大塔川出合の橋から突如真新しい舗装に変わった。ピークまであと2km弱である。
ここからは息もつかせぬ急坂の連続、はるか上にガードレールが見えて意気消沈する。
なるべくインナーを使わないようにセンターで頑張るが、最後の激坂でついにギブアップ、インナーに入れてしまった。すぐにo氏の突っ込みが入る。
ヘロヘロになりながらも思ったより早くトンネルが出現、ほっと一息ついたのであった。
ここがとりあえず最高地点ではあるが、まだもう一つ小広峠を越えなければならないので安心できない。
「敬山愛林」の文字が刻まれた大杉隧道を抜けると舗装の豪快なダウンヒルが続く。
途中、「修験の滝」という立派な滝も見られた。
その先に「林道安川線」という紛らわしい看板があって騙されそうになったが、迷わず舗装路の方を進む。
安川沿いを快調に下っているとおそらくこの日最大のハプニング。ブラインドカーブから突然トラックが出てきて慌てて左へ避けるが、間一髪。思わず声が出てしまった。後続のF氏親子も相当肝を冷やした様子。
自転車に乗っていてこれほどヒヤッとしたのも久しぶりだ。風切り音のせいか、トラックの音が全く聞こえなかった。
o氏が「車!」と言ってくれなかったら避けきれなかったかもしれない。林道とはいえ常に対向車が来る可能性は考えなければならないと改めて反省させられた出来事であった。
昼食場所を探しながら下っていくと、安川隧道を抜けたところに休憩所があるのを発見。お誂え向けにテーブルとベンチがあったので迷わずここで昼食を広げる。
o氏とF氏はバーナー持参でカップ麺など作っているが、自分はいつもの冷え切ったコンビニおにぎりとお茶をいただく。
どうもバーナー持参は重たくなるのがイヤなのだ。
それにしてもこのあたりの安川渓谷は本当に美しい。水は底まで澄み渡り、そのまま飲めそうなほどきれいである。
紀伊半島は奥深く、知らない秘境がまだまだたくさんあることを思い知らされた。
休憩所からさらに下り続けるとやがて民家が現れ、県道下川上牟婁線となって富里でR371に合流する。
ここからまたゆるやかな上り。平瀬の歴史民俗資料館まで来ると「乙女の寝顔」という看板があった。
何だろう?と思っていると、どうやら山の稜線が女性の横顔に見えるということらしい。
その山を探してみるとちょうど後方にあった。なるほどまさに「乙女の寝顔」である。髪の毛までちゃんとある。
山の名は「半作嶺」という。岩でできたゴツゴツした山である。ちょっと感心してしまった。
ここから右折して県道近露平瀬線に入るが、ちょっと間違えてまた元の道に戻ってしまった。
右に折れるところを左に行ってしまったのが間違い。もう一度戻って今度は正解、日置川沿いゆるやかな一車線路を上っていく。
このあたりから自分は足が売り切れ始め、先行3人とどんどん差が開いていく。
追いつこうと思っても足が言うことを聞かない。何とももどかしい思いだ。
o氏もF氏も最近走ってないと言いながら元気である。中2のF氏ジュニアは立ち漕ぎまでする余裕を見せる。
自分は2週間に一度は乗っているのにどうしても追いつけないのが情けない・・・。基礎体力の差を思い知らされる。
この道も杉林の中を通るいい感じの道である。残念ながら余裕がないのでほとんど写真が撮れなかった。
途中、「小広」の標識があって右に分岐する道があったが、これは野中川沿いの点線道ではないだろうか?
これを通れば少し近道にはなるのだが・・・。
最後にまた急坂を上らされてやっとR311に出た。交差点にあった集会所前でちょっと休憩する。
ここからどうするかちょっと相談するけれども、もう時間も遅いので最短のトンネル経由をとることにする。
本当は旧道経由の方が雰囲気が良いのだが、少しでも標高の低い方をとったのである。
しかし自動車道特有の直線状の上りがどこまでもしつこく続き、精神的に相当参ってしまう。
行けども行けどもトンネルは見えてこない。左上には旧道が走っているが、標高はそれほど変わらない。これは失敗したかとちょっと後悔した。
やっとトンネルに着いたときにはもう足は売り切れ状態。これ以上はもうだめだ。さすがのo氏もかなりしんどかった様子。
小広トンネルは意外と短くて500mしかない。旧道の小広峠との標高差はせいぜい30mといったところか?
このくらいなら旧道を通った方が明らかに楽なはずである。
トンネルを抜ければもうあとは下り一方、川湯まで15kmほどの長大なダウンヒルが続く。
昔来たときはまだ狭い旧道だったが、今は2車線の立派な道に変わっている。
昔はなかったトンネルもたくさんできていてずいぶん様変わりした。
o氏を先頭に一列で高速ダウンヒル、川湯温泉までノンストップで爆走する。
しかしこの下りはなかなか気持ちがよかった。もう上らなくていいと思うと安心していられる。
4時半ごろ川湯温泉のデポ地に帰着。F氏ジュニアも無事走りきってご満悦の様子。
それからお目当ての「仙人風呂」に入浴。冬期間だけ川をせき止めて開設されているもので、無料で入れるのがうれしい。
しかしものすごく熱い。川の底から湯が湧いてきているのだが、自然の力とはすごいものだ。
足が冷え切っているせいもあって、なかなか入れない。場所によって熱いところとぬるいところがあるようだ。
ちょっとだけぬるいところを見つけてやっと一息。冷え切った体にジンジンとした熱さが心地よい。
今日一日を振り返りながら、すっかりくつろいでしまった。本当にいいもんです。
帰りはまたo氏の車に便乗させてもらって4時間かけて帰る。帰ったら9時半だった。
自分は乗せてもらっているだけだからいいが、往復運転したo氏とF氏はさぞかし大変だっただろう。本当にお疲れ様でした。
正直こんな強行軍はもうやりたくないけれども、今回参加したのは本当に良かったと思う。
特に仕事が忙しくてなかなかご一緒できなかったo氏と一日行動を共にできたのは有意義であった。
直前まで参加を躊躇していたが、来てしまえば何とかなるものなのだろう。
走行距離69.8km、アベレージ15.8km/h、史上最低気温・最長距離の記録を更新したのであった。

片雲の風に誘われて