三多気から大洞山へ

スポンサーリンク
登山

■コースタイム
三多気の桜駐車場=0:20=三多気キャンプ場=0:10=林道登山口=0:35=雌岳=0:15=雄岳=0:15=雌岳=0:20=林道登山口=0:10=三多気キャンプ場=0:15=三多気の桜駐車場【total 2:20】

 御杖村の敷津あたりから優美な曲線を見せる大洞山。一度あの山頂に立ってみたいと思っていた。コースは最も一般的な三多気から往復することにしよう。しかしここは桜の名所なので、桜のシーズンには駐車場がいっぱいになってしまう。だから今のうちに登っておかなければならない。今年初めての山行、しかも7ヶ月も山に登っていないのでお気楽なところを選んだつもりだったが、そう簡単には登らせてくれないのであった。

 国道368号線から「三多気の桜」の標識にしたがって少し入ったところにある駐車場へ午前10時ごろ到着。「これより先には駐車場はありません」との看板があるので、ここから歩くことにしよう。午前10時15分に出発。軽四輪が通れるくらいのコンクリート舗装された狭い車道を登っていく。正面には大洞山がはるか上に見えている。まだまだ先は長い。やがて真福院という真言宗の寺に着く。ここで道が二手に分かれるが、右の道を行った方が少し近道のようだ。それにしてもかなりの勾配である。藤堂池を下に見て、やがて三多気キャンプ場に着く。ようやくだるい車道歩きから開放されるが、何とキャンプ場には立派な駐車場があるではないか。だまされた。ここまで車で来れたのであった。

ohbora1
林道登山口

 キャンプ場からはよく整備された木の階段を登っていく。まだ勾配はそれほどではない。しかし階段と歩幅が合わなくて歩きにくい。10分ほど登ると未舗装の林道に出て、すぐ左に大洞山への登山口がある。ここから入ってすぐのところに展望台があり、正面に局ヶ岳を望むことができる。さて、ここからは鬱蒼とした杉林の中の急登となり、いきなり壁のような階段道の直登が現れる。ものすごい急勾配だ。そのたおやかな山容とは裏腹に、この急勾配は第一級の山岳にも匹敵する。しかも勾配はゆるくなる気配を見せない。随所にベンチが設けられているのは、休めという意味だろうか。倒れ込むようにベンチに腰掛ける。なかなか動悸が治まらない。ひさびさの山行で完全に体がなまり切っている。その後も少し登っては休む・・・を繰り返しながら延々と続く階段道をゆっくりと登る。極めつけの急勾配を登り切ると山頂まであと0.3kmの道標がある。しかし、これを下るのかと思うとゾッとする。少しはゆるくなったように思えるが、まだまだきつい上りが続く。やがて杉林が切れて明るい笹原が見えてきた。いよいよ雌岳の頂上だ。

ohbora2
大洞山雌岳山頂

 笹原の広がる山頂に飛び出すと、今まで鬱蒼たる杉林に覆われて全く展望を得られなかったうっ憤を晴らすかのように、 360度の大展望が待っていた。西には翼を広げたような倶留尊山、その下には太郎生の里も見える。こんもりとした雄岳は指呼の間だ。すぐその右には端正な尼ヶ岳が顔を出している。そして南西には一目でそれとわかる高見山が天を突く。ここから見る高見山は実に美しい。南には馬の背のような三峰山の稜線や、学能堂山が見える。東に目を向ければ、ひときわ目を引くのが局ヶ岳の尖峰。その際立った山容は登高意欲をそそるのに十分である。丸い金属製の山名標示盤には何と富士山の名前も書かれている。年に1回くらいは見えることがあるらしい。それにしても何という気持ちの良い山頂だろうか。それは里から見たあの優美な山のイメージにぴったりである。ここで12時前にランチタイム。他には家族連れが一組と単独の年輩が一人。

ohbora3
倶留尊山と太郎生の里

ohbora4
大洞山雄岳(左)と尼ヶ岳(右)

 大洞山の山頂と言ったときにはこの雌岳を指すことが多く、三角点もこちらにある。しかし標高は雄岳の方が少し高くて、 1013mもある。それで雄岳にも往復してみたい。にわかに人が多くなってきたので出発する。気持ちの良い笹原の尾根を少し行くと、スカイランドおおぼらへの分岐を右に見て、滑りやすい急坂を慎重に下って鞍部に出る。また深い樹林帯に入って展望はきかない。10分ほど登り返せば雄岳の山頂に着いた。雌岳から見ると結構距離があるように見えるが、実際は15分ほどである。雌岳と違って山頂は樹林に覆われ、展望は良くない。わずかに南西方面の展望が開けるのみである。狭い山頂は弁当を広げているグループに占領されていた。

ohbora5
雄岳への稜線から見た雌岳

 5分ほどで雄岳を後にし、再び雌岳まで戻る。途中で雌岳がよく見える箇所があり、ここから見るとずいぶん平たい山頂であることがわかる。雌岳では再び山座同定を楽しむ。残念ながら、大峰・台高はかすんでよく見えない。そして午後1時10分、去りがたい山頂を後にする。予想通り、膝に来る下りだ。急なところはまっすぐ降りることができず、横向きになって降りなければならない。よくこんなところを登ったものだと思える。しかしペースは速く、20分ほどで林道に出た。キャンプ場からの車道歩きもまた大変に歩きにくい。午後2時ちょうどに駐車場に戻り、今年初の山行は大満足のうちに終わった。

片雲の風に誘われて