住塚山から国見山へ

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登山

■コースタイム
屏風岩公苑=0:35=住塚山=0:15=ゼニヤタワ=0:25=国見山=0:30=クマタワ=0:35=済浄坊渓谷入口=0:30=屏風岩公苑【total 2:20】


 数週間続いた週末の雨がようやく終わり、素晴らしい青空が広がった。今日は前から狙っていた住塚山と国見山に行こう。国見山は倶留尊山に次ぐ高度を誇り、住塚山と合わせて1000m級の山を二つ同時に稼げるおいしい山でもある。その上、林道を歩いて周回すればマイカー利用でも縦走を楽しむことが可能である。

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屏風岩の柱状節理

 屏風岩直下の屏風岩公苑に駐車し、午前10時15分に出発する。目の前に広がる柱状節理の岩壁が素晴らしい。ここは桜の名所ということだが、里ではもう散り始めているにもかかわらず、ここは何とまだつぼみである。見頃は来週以降だろうか。満開になるとさぞかし美しいだろう。ちらほらと咲いているヤマザクラを入れて一応写真を撮っておく。キャンプ場を抜けると「住塚山1km」の道標があり、かなりきつい直登が始まる。タクシーで乗りつけてきたオバチャン4人組に先に行かせてもらう。少し登ると勾配はさらにきつくなり、植林帯の中をジグザグに登っていく。階段にはなっていない。やがて植林帯を抜けてピークのようなところに出るのでもう住塚山に着いたのかと思うが、実はこれからが長い。住塚山と思われるピークがちらっと見える。ここから尾根上に出て、2~3回小さなピークを通り過ぎる。そのたびに期待を裏切られてがっかりする。しかし天気は上々、木々の芽吹きに鶯の声も聞かれて春山の雰囲気がいっぱいである。生い茂る笹を分けて進むとやがて木の階段が現れ、あと一登りで住塚山に着く。

 山頂にはすでに中年の夫婦が休んでいる。木が生い茂り、展望はあまり良くないが、北東方向はよく開けている。正面にはこれから向かう国見山が見える。形の整った美しい山容だ。その少し右には鎧岳・兜岳がずいぶん下に望まれる。そして何よりも鋸歯状の屏風岩がひときわ印象的だ。しばらくして追い抜いたオバチャン4人組も登ってきた。写真など撮りながら25分ほど休憩する。そうしているうちに次のパーティーも登ってきた。

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住塚山より国見山(左)を望む

 住塚山を後にして、鞍部に向かって下り始める。倒木が道をふさいでいる箇所がいくつかあり、またいで乗り越える。15分ほどで道標のある鞍部に着く。ここがゼニヤタワである。ここから植林帯の中をかなりの急勾配で直登する。少し登って、先に出発したオバチャン4人組を再び追い抜く。相変わらずペチャクチャとにぎやかである。オバチャンという人種は黙るということを知らないらしい。きつい直登が終わると一旦平坦になり、ガレ場のようなところに出る。ここをまっすぐ行ったのだが、薮に阻まれてすぐ道がわからなくなる。稜線から外れていくようなので、どうも道を間違えたようだ。すぐに引き返してみると左へ登る道があった。赤いテープもあるので間違いない。ほんの数10mほどのことだが、ここはどうしてもまっすぐ進みやすい。ここからは道ははっきりしているが、薮が深くてかなり歩きにくくなる。やがて両側が切れ落ちたヤセ尾根を行く。木が茂っているので怖い感じはしないが、幅はわずか1mほどしかない。正面に国見山のピークがはっきりと見え、稜線歩きの気分が高まる。国見山直下には露岩をよじ登る箇所があり、ちょっとだけアルペン的気分を味わうことができる。ここまで来ればあと一息で国見山に到着する。

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国見山直下のヤセ尾根

 山頂には先ほどの夫婦が先に着いていて、すぐオバチャン4人組とその次のパーティーも登ってきて、狭い山頂はにわかに人でいっぱいになった。国見の名にふさわしく、ここからの展望は絶景だ。一部成長した樹木に邪魔される以外はほぼ360度のパノラマが広がる。おなじみの山々をひとつひとつ確かめていく。やはり一番目立つのは古光山だろう。その後ろに顔を出している後古光山の姿が何とも異様だ。美しい三角形の倶留尊山の裏側には大洞山が隠れている。そしてその左にちょこっと頭を出している尼ヶ岳が何となく可愛らしい。またここからはちょうど真南に高見山が見える。しかしここから見る高見山は平べったくて鋭鋒のイメージはまったくない。北東には名張の市街地が広がっている。南東方向で目を引くのは学能堂山のドーム状の山頂だ。どっしりとした重量感のある堂々たる山容で、登ってみたい衝動に駆られる。時間はちょうど正午なので展望を楽しみながらランチタイム。今日は天気が良すぎて暑いくらいだ。1時間ほど休憩しているとまたどんどん人が登ってくる。

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国見山山頂

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国見山より古光山・三峰山を望む

 午後1時前に名残惜しい山頂を後にし、クマタワに向けて下り始める。ここからは木の階段が多く、道は整備されているが、やはり深い薮に覆われてかなり歩きにくい箇所がある。どんどん下っていくとなぜか今度は階段のきつい上りが現れた。しかもすぐには終わりそうにない。一瞬道を間違えたのかと思ったが、実は地図をよく見ていなかったので小さなピークがあるのを知らなかったのだ。予期していなかっただけにこの登り返しはこたえた。地図には載っていないが、このピークは松の山といい、標高約960mの札が付けられている。ここからはもう下り一方だ。木の階段が延々と続き、相当な勾配である。ここで気づいたのだが、今日は人出が多い割には一人もすれ違う人がなかった。誰もが住塚山から国見山をめざして登っているらしい。確かにここを逆に登るのはかなりしんどいだろう。国見山直下の岩場も心配だ。やはりこの方向が正解なのだろう。やがて人の話し声が聞こえてきてクマタワに着いた。

 クマタワは曽爾からの林道の終点で、小さな広場になっている。先ほどのパーティーが到着していた。ここから長い林道歩きが始まり、あとはもう消化コースだ。最初は未舗装だが、すぐコンクリート舗装となり、やがて立派なアスファルト舗装となる。ゆるい下りなので歩きやすく、快調なペースで進む。やがて済浄坊渓谷の入口を左に見て、さらに林道を行く。小さな峠を越えると少し急な下りとなり、曽爾の展望が開ける。普通ならだるい車道歩きだが、景色がいいので気分は上々。ここからも高見山・三峰山をはじめ素晴らしい展望が楽しめる。午後になって空気の透明度がいっそう良くなってきたようだ。長野から来る林道と合流すると今度は屏風岩公苑まで上りとなる。住塚山の登りで楽させてもらった分、登り返さなければならないのだ。最後に登るのはつらいが、初めのうちはそれほど勾配はきつくない。屏風岩の手前からかなりきつい勾配となってこたえる。しかしそれも展望を楽しんでいるうちにすぐ駐車場に着いた。今日は絶好の好天に恵まれ、春山の雰囲気を満喫できた一日であった。

片雲の風に誘われて