田ノ原より御嶽山

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登山

■コースタイム
田ノ原=0:45=八合目=0:35=九合目=0:15=王滝頂上=0:20=剣ヶ峰=0:15=二ノ池分岐=0:15= 王滝頂上=0:15=九合目=0:30=八合目=0:45=田ノ原【total 3:55】


 前夜9時に天理を出発し、午前1時頃から国道19号線沿いの道の駅・大桑で仮眠を取る。しかしなかなか寝つけない。あまり寝られないまま午前4時30分、再出発する。この時間でもうかなり明るくなっている。昨夜はこの付近だけ雨が降っていたが、今はすっかり青空が広がっている。御岳湖のあたりで日の出を迎えた。林道に入って高度を上げていくと正面に御嶽の雄姿が望まれ、下界には一面の雲海が広がっている。その雲海の上には中央アルプス・南アルプスも望まれた。午前6時過ぎに終点田ノ原に到着。この時間ですでにかなりの車が停まっている。空は快晴。真っ正面に御嶽の山頂がすっきりと見え、期待が高まる。小屋のあるところが王滝頂上だろう。朝食などを済ませ、午前7時ちょうどに登山開始する。


田ノ原より御嶽の全容

 地図を持っていないので一応案内板を見て、鳥居のところから登山道に入る。最初はほぼ平坦で林道くらいの道幅がある。 10分ほど歩くと頂上遙拝所の立派な社がある。そこを過ぎるとゆるやかに登り始めるが、団体が前をふさいでおり、なかなか抜けない。やっと団体を追い抜いて、また抜かれないようにペースを上げて歩く。樹林の中の湿っぽい道で、線路の枕木を使った階段がずっと続いている。こんな早い時間でももう下山してくる人がかなりいる。この人たちは午前4時頃から登ったらしい。やがてまた鳥居があり、そこからもう少し登ると赤っぱげと呼ばれるガレ場がある。そしてそこを過ぎると樹林帯を抜け、ハイマツ帯に移り変わる。登りはいよいよ急になり、金剛童子の祠のある広場に着く。ここで5分ほど初めての休憩をとる。登ってきた駐車場が下に見えるが、すっかりガスが広がってきて中央アルプスは見えなくなってしまった。一方山頂の方はずっと晴れているのが対照的である。そこから5分ほど登ると八合目の避難小屋に着いた。

 この辺からは大きな岩のゴロゴロした少々歩きにくい道となる。晴れていれば展望がよいはずだが、あいにく下界はガスっていて何も見えない。単調な道を延々と登ること25分で一口水と呼ばれる水場に着いた。3本の湧き出し口があるが、両端はポタポタと滴が落ちる程度でとても飲めるような量ではない。真ん中の湧き出し口だけがチョロチョロと流れていて何とか飲める程度である。それもコップに受けて1~2分待ってようやく一杯になるくらいで、本当に一口しか飲めない。この水をあてにしてきたのに期待はずれだった。それでもこの先水を補給できる場所がないので何とか水筒を一杯にしておく。こんな高山で水場があること自体貴重なことであろう。水場からさらに10分ほど登って九合目に着いた。


雷鳥の親子

 避難小屋の前で何と雷鳥を発見。しかも親子連れだ。みんな必死でカメラを向けている。めったに見られないものだから何とか写真に収めたい。急いでレンズ交換して雷鳥を追いかける。なかなか顔がこっちを向いてくれない。しかし人慣れしているのかあまり逃げようとはしない。 105mmマクロの威力で何とか3枚撮ることができた。天気があまり良くないが、雷鳥に出会えただけでも良しとしよう。九合目を過ぎるともう頂上の小屋はすぐ上に見えているのだが、勾配はきつく、なかなか近づいてこない。しかもこの辺からは非常に人が多くなり、ほとんど行列になっている。だいぶバテ気味の人もいるようだ。砂礫地にはオンタデやイワツメクサが多く見られるようになる。最後の急斜面を登りつめ、8時55分いよいよ小屋の建つ王滝頂上に到着した。


オンタデ


王滝頂上より剣ヶ峰を望む

 小屋の横の見晴らしのよい場所で10分ほど休憩。正面には剣ヶ峰が見え隠れしているが、標高差があと130mほどあるだけにかなり上に見える。剣ヶ峰の左肩には大きな噴気口があって白煙をもうもうと上げている。その轟音もすさまじい。社務所の横を通り抜けて剣ヶ峰への登りにとりかかる。幅の広い遊歩道をわずかに下り、八丁ダルミと呼ばれる鞍部に着く。ここには宗教的なモニュメントが多数建っている。それにしても周りは赤茶けた岩ばかりの殺伐たる風景。まるで火星の表面みたいだ。少し登って二ノ池方面への分岐がある。ここまで来ればもうあとは勢いである。ガラガラの岩場を一気に登って頂上の小屋に着いた。ここにジュースの自動販売機とカード電話があったのには驚いた。どこから電気を引いているのだろうか。そして最後の石段を登って9時25分ついに剣ヶ峰登頂。標高3067m。これまでに立った最高地点である。


剣ヶ峰より二ノ池を見下ろす

 山頂はさすがに多くの人でにぎわっている。山名柱の前では記念撮影する人が入れ替わり立ち替わり順番を待っている。3回くらいシャッターを押すのを頼まれてしまった。眼下にはコバルトブルーの水をたたえる二ノ池が見える。頂上はずっと晴れているのだが、周りは一面の雲海で、特に南から東にかけては何も見えない。槍・穂高はおろか、乗鞍も全く見えなかった。時々ガスの切れ間から中央アルプスが垣間見えるだけである。まあ夏山はこんなものだろう。しかし北側はよく晴れており、雲海の彼方に白山がくっきりと望まれた。昼食をとりながら1時間ほど滞在したが、結局ガスは晴れず、ますます濃くなってしまった。

 展望は望めそうにないので10時30分剣ヶ峰をあとにする。帰りは少しでも変化を付けるため一旦二ノ池方面へ下って山腹をトラヴァースする道をとることにする。岩がゴロゴロして少々歩きにくい道を15分ほど下り、二ノ池とロープウェイ方面との分岐点に着いた。山頂からは見えなかったが、ここまで来るとニノ池の後ろに雪渓があるのが見えた。また分岐点付近にはミヤマダイコンソウと思われる黄色い花が多数見られた。ここに案内板があるが、王滝頂上へ戻る道はどうもここから鋭角的に折り返しているらしい。あまりはっきりしない道だが、少し戻ってみると確かにその道はあった。ガラガラの岩礫地を横切るトラヴァース道で、あまり通る人はいないようだ。いよいよ濃くなったガスの中を約15分歩いて再び王滝頂上に到着した。ここでまた少し休憩して売店で缶ジュース300円也を買う。やはりこんな山の上で冷たいものにありつけるのはありがたいのである。


ミヤマダイコンソウ

 ここからまた同じ道を戻るので省略するが、12時を過ぎてますます登ってくる人が多くなった。人をやり過ごすのにも苦労する。こんな時間から登っても完全にガスっていて何も見えないのにご苦労様なことです。下りも上りとほぼ同じ時間かかって無事下山した。この時間では駐車場はかなり下の方までほぼ満車になっている。しかしまだ少し余裕はあり、乗鞍ほどの混雑はない。眠い目をこすりながら運転し、この日は木曽福島の木曽旅情庵YHで宿泊。翌日は阿寺渓谷を散策して帰宅したのであった。

片雲の風に誘われて