倉骨峠から大洞山へ

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登山

■コースタイム
倉骨峠=0:30=雄岳=0:15=雌岳=0:20=桔梗平=0:40=倉骨峠【total 1:45】


 11月最後の日曜日、朝からここ最近なかった快晴となる。起きるのが遅かったので手近なところで1年半ぶりに大洞山に行ってみる。前回は三多気から登ったがものすごい急登にうんざりしたので今回はかなりズルをかまして一番楽そうな倉骨峠からの道に決定。午前9時に出発したが、名張川の紅葉を撮影していたために遅れ、10時半ごろやっと下太郎生のバス停に到着。バス停からすぐ左に入る道が倉骨林道の入口で、さらに少し先の分岐を右折する。林道は完全舗装されており、初めは道幅が狭いが上へ行くほどよく整備されていて走りやすかった。午前11時頃標高800mの倉骨峠に到着。峠付近は道が広くなっており、かなりの台数が駐車できる。先客は2台停まっていた。切り通しの峠を東海自然歩道が横切っていて、左へ行けば尼ヶ岳、右へ行けば大洞山である。


倉骨峠

 午前11時15分に倉骨峠を出発。石の階段を登って2~3分も歩けば東海自然歩道と大洞山登山道の分岐点に着く。ここを右にとり、大洞山の稜線へ登っていく。初めは薄暗い植林の中で、結構な急登である。少々道のわかりにくい箇所があるが、テープをたどっていけば間違いない。10分ほど登れば植林が切れて四ノ峰のピークらしきところに着くが、標識などは何もない。雑木林はすでに葉を落とし、すっかり初冬のたたずまいを見せている。稜線に出ると急に展望が開け、高見山の鋭峰が目に飛び込んでくる。俯瞰写真のような太郎生の集落も素晴らしい。展望を楽しみながら下っていくと雄岳との鞍部に着く。この辺から見上げると雄岳はものすごい急角度でそびえ立っており、まだ相当登らなければならないことを覚悟させられる。鞍部では地図には載っていない林道が右から登山道のすぐそばまで近づいてきているのが気になる。この道はどうも倉骨峠から分岐していた林道の続きと思われる。鞍部を過ぎたところで先行の女性2人組に追いつき、先に行かせてもらう。再び植林の中となり、息もつかせぬ急登が続く。しかし三多気からのあの急登に比べれば階段でないだけまだましである。ここはもう一歩一歩ゆっくり登るしかない。10分少々の登りで植林帯を抜け、笹原が現れてくる。ここからは勾配も緩くなり、膝から腰まで埋まる笹をザワザワとかきわけながら進むと見覚えのある雄岳山頂に着いた。

 雄岳は標高が1000mを超えているが、樹林に囲まれて展望はなく、プレートがある以外は通過点のような場所である。弁当を広げている人も誰もいなかった。雄岳はそこそこにして写真を1枚だけ撮ってすぐ雌岳へ向かう。鞍部への下りは笹原となっており、雌岳の平らな山頂部が見えるのが大変美しい。鞍部の直前は転げ落ちそうな急坂となり、そこからまた急坂を登り返すと、すぐ左に桔梗平への道を見て平らな山頂部に出る。笹原の中をまっすぐ歩けば間もなく円形の山名標示盤がある三角点である。時間は12時10分だったが意外にも人は誰もいなかった。


雌岳山頂

 二組あるベンチに座って昼食をとる。今日は風が全くなくてポカポカと暖かく、まさに小春日和だ。そうしているうちに雄岳の方から4人グループが登ってきた。尼ヶ岳から縦走してきたらしい。今日は空気がよく澄んでいて、明神岳や桧塚奥峰はもちろん、はるか大台ヶ原や大峰山脈の一部まで見えた。東に見える形の良い山は山名標示盤より堀坂山であることを知る。ここから見る局ヶ岳の鋭峰は大変美しい。周りを見渡せば登ったことのある懐かしい山々がすべて一望できる。ここは室生で随一を誇る展望台であることは間違いない。やはり来て良かったと思える山である。


局ヶ岳を望む


尼ヶ岳を望む

 4人組が去ってまた静かになり、単独男性が2名登ってきた。最高の展望に大満足して午後1時半に下山する。帰路は桔梗平へ下って東海自然歩道経由で戻ることにする。先ほどの分岐まで戻り、道標に従って右へ下っていく。さすがにここは相当な急勾配であるが、急なところは階段になっていてそれほど苦労せずに下れる。少し下ったところにベンチがあり、ここからも局ヶ岳の眺めがよい。下にはスカイランドおおぼらの天文台のドームが見える。さらに急坂を一気に下って膝が笑い出しそうになる頃、何と舗装された立派な林道に出た。こんなところまで林道が上ってきているのだ。実はここから登るのが一番楽なルートのようだ。カーブ二つ分ほど下って、道標に従い東海自然歩道に入る。


石畳の道

 最初は薄暗い植林の中で、さらに東斜面のため午後は日が当たらずかなり冷え込んでくる。しかし植林は長くは続かず、また自然林の中の感じのよい道となる。すっかり落葉した枝にわずかな紅葉が秋の名残をとどめている。紅葉の頃に来ればさぞ美しいだろう。等高線に沿ってほぼ平坦のはずだが、なぜか登りの方が多いような気がする。またこの道は石畳が敷かれていて遊歩道のような雰囲気である。なぜこんな石畳を造ったのだろうか。石に生えた苔が美しいが、滑りやすい。約25分ほどで水場に着く。水音は聞こえているが、階段を少し下らなければならない。水は十分余っているので立ち寄らずに通過する。なお台風で崩壊したためだろうか、水場の付近では工事をしていて石畳が新しく作り直されていた。水場からもほぼ平坦な道が続き、二ノ峰のピークが見えてくる。すっかり日は傾いて夕方の雰囲気だ。水場から15分ほどで最初の分岐点を過ぎ、午後2時30分倉骨峠に着いた。今シーズンはこれで終わりになるだろうか。

片雲の風に誘われて