麦草峠から高見石・中山・ニュウ・白駒池

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登山

■コースタイム
麦草峠=0:50=丸山=0:15=高見石=1:00=中山展望台=0:05=中山=0:20=ニュウ分岐=0:55=ニュウ=1:30=白駒池=0:40=麦草峠【total 5:35】


 前日午後7時に天理を出発。中央道の阿智PAで午前4時まで仮眠し、午前6時50分に麦草峠に到着した。この時間でも駐車場はほぼ満車になっている。晴れの天気予報にもかかわらず、ずっとガスっているのでしばらく待ってみるが、いっこうに晴れる気配がないので7時40分に出発する。

 駐車場の横から山道へ入っていくと、すぐ赤い屋根の麦草ヒュッテ前に出る。丸山・高見石方面の道標に従い、高山植物が咲き乱れるお花畑の中を登っていく。5分ほど登ると麦草峠の旧峠跡に出て、白駒池方面との道を分ける。ここから丸山方面への道に入ると、針葉樹林帯の中の急登となる。薄暗くてじめじめした感じの道だ。しばらくすると2212mの小ピークに着き、道はほぼ平坦になる。しかしそれも束の間、再び丸山に向けてきつい登りが始まる。しかも、張り出した木の根と苔むした岩が絡み合って非常に歩きづらい。最近雨が降ったせいか、大変滑りやすくなっているので神経を使う。かなり登った頃、「頂上まであと10分」の道標があってちょっと元気になるが、最後まできつい登りが続く。そしてやっと丸山の山頂にたどり着くと、先行の中年夫婦が休憩していた。樹林に覆われ、山名柱が立っているだけで特に展望はない。もちろんこのガスの中では何も見えるはずがない。山頂で5分ほど小休止し、すぐに下り始める。この下りがまたきつくて滑りやすい。やっと平らな場所に出ると、渋ノ湯からの道が合流してくる。そこからほんのわずかで高見石小屋に着いた。

 高見石小屋の前はテラスになっていて自由に休憩できるようになっている。ここは予約なしでも宿泊可能とのことである。そして小屋の裏手に高見石があり、せっかく来たので登ってみる。それにしてもなぜここだけこんなに岩が積み上がっているのか、実に不思議である。赤いペンキにしたがって登ってみるが、結構段差が大きくて登りにくい。5分ほどかかってようやく頂上に立つ。すると眼下にぽっかりと浮かぶ白駒池が姿を現した。北の方には雨池も見える。しかし縞枯山はガスっていて何も見えない。どうもこの北八ヶ岳が雲の通り道になっているのか、東の方の平野部はよく晴れていて遠くには浅間山もくっきりと見える。南に目を移せばこれから目指す中山が大きく見えた。しかしすぐガスに覆われてしまった。写真を撮ってると2人からシャッターを押してくれと頼まれた。こんな不安定な岩の上で頼まれてもちょっと困るのだが。


高見石より白駒池

 しばらく展望を楽しんだ後、メインの中山へ向かって登り始める。高見石の分岐点には大きな案内板があって迷うことはない。またじめじめした感じの道をゆっくりと登っていく。最初は非常にゆるやかなのだが、だんだんきつくなってくる。結構下ってくる人は多い。この上りはほぼ一直線で、行けども行けども終わりが見えてこない。それほど急な登りではないが、だらだらと嫌な登りである。晴れていれば気分も良いだろうが、ずっと薄暗い森の中でぜんぜん楽しくない。やっとピークのような場所に着いたが、そこはまだ頂上ではなかった。そこからわずかに下ってさらに5分ほど行ったところで急に開けた場所に出た。大きな岩がゴロゴロしていてケルンが積まれている。どうもここが中山の展望台らしい。しかし完全にガスに覆われていて何も見えない。おまけに風が非常に強くて寒い。まだ10時半頃だが、朝が早かったのでとりあえず1回目の昼食にする。そうこうしているうちに急にガスが晴れて青空が広がった。あわてて岩の上に登ってみると、眼下には茅野の街並みや諏訪湖が見えた。近くには縞枯模様が美しい。天狗岳も少し姿を現した。もう少し早かったら見られなかったところで、実にラッキーだった。付近をよく見るとキバナシャクナゲがたくさん咲いている。ちょうど今が盛りのようだ。晴れてくると風も弱まり、しばらく展望を楽しんだ。


中山の展望台

 展望台から「中山峠」の道標にしたがって5分ほど行くと、中山の山頂である。しかしここは樹林に囲まれた狭い場所で、展望は何もない。一応ここが本日の最高地点である。そこから東へほんのわずか行くと急にパッと視界が開ける。何人かのパーティーが休憩していた。ここからは硫黄岳や天狗岳が望める。またこの付近の斜面にはハクサンシャクナゲがいっぱい咲いていて素晴らしい。また写真を撮って時間を費やす。


ハクサンシャクナゲ

 岩の多い急な斜面を慎重に20分ほど下ると中山峠とニュウとの分岐に出る。ここは道標にしたがって左に道をとる。尾根上の道をだらだらと下っていくと右側に大きなガレがあり、そこへ出てみると天狗岳がひときわ大きく見えた。途中ロープが張ってある箇所があり、うっかり直進して道を間違えそうになった。ニュウまではずっと下りなのかと思っていたら途中からまた登り返すようになる。この先原生林がますます深くなり、大きく張り出した根を乗り越えながら歩くので思ったより時間を費やす。ちょっと道がわかりにくいところもあるので赤テープをたどっていくことが必要である。やがて前方に大きな岩を積み重ねたピークが現れる。どうやらあれがニュウのようだ。近くに見えてもそこへたどり着くまでがまた苦労する。やっと岩の下まで来てよじ登り始めるが、結構手強い。トレッキングポールが邪魔になるので下へ置いておいて両手を使って登った。山頂には三角点があって、ちょっと足がすくむような絶壁である。ここからの展望は素晴らしく、眼下には樹海に浮かぶ白駒池、遠くには浅間山をはじめ西上州や奥秩父の山々が見える。この辺の山になると全く馴染みがないのでどの山なのかわからないが、赤城山あたりまでは見えているようだ。ひょっとするとはるか彼方に見えるのは尾瀬の山かもしれない。素晴らしい展望を楽しみながら、2回目の昼食にする。風に飛ばされてきた霧雨のようなものが落ちてきた。相変わらず、北横岳や縞枯山は濃いガスに覆われて見えない。まだ先は長いので早めに出発する。


ニュウ


奥秩父を望む

 「白駒池」の道標があるところまで戻り、昼なお暗い急な斜面を下っていく。いかにも北八ツらしい深い原生林に包まれ、木の根が網の目のように広がり、強烈に歩きにくい。道が不明瞭な箇所もあり、赤テープを見失わないようにしなければならない。稲子湯への道を右に分け、なおも延々と下り続ける。長い下りが終わると道は平坦となり、少々ぬかるんだ道を白駒池へと急ぐ。突如として小湿原が現れ、白いワタスゲが咲き乱れている。こんなところで出会えるとはラッキーだった。尾瀬のような大湿原もいいが、こういう山の中の小湿原も好きである。木道の敷かれた湿原を抜けるとぬかるみや水たまりが現れるようになる。一応木道が敷かれているが、丸太一本の簡素なものでバランスを崩せば水の中へドボンである。もっともそんなに深くはないが。ぬかるみ地帯を抜けると人の話し声も聞こえてきて、白駒池の畔に出た。


ワタスゲ咲く湿原

 白駒池の南岸は鬱蒼とした原生林の中である。歩きやすいように板が敷かれている。さすがにここまで来ると人が多い。やがて観光客でにぎわう白駒荘に着いた。ここは何度も来ているが、あまり天気に恵まれたことがないので写真を撮っておく。白駒池をあとにして小さな峠を越え、国道に出る手前で左に折れて麦草峠への道に入る。最初は木道になっていて、キバナシャクナゲの咲くお花畑の中を行く。再び樹林帯となり、ゆるやかな登りとなる。ここで中学生の団体とすれ違い、結構大変だった。やがて元来た旧峠跡に出る。時間はもう午後3時を過ぎている。この時間になってやっと茶臼山が見えるようになった。お花畑にはヒメトラノオやキバナノヤマオダマキなどの高山植物が咲いているので写真を撮っておく。駐車場に戻り、ビーナスライン経由でこの日は白樺湖YHに宿泊した。

片雲の風に誘われて