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カラーネガの自家現像に挑戦

投稿日:2011 年 1 月 29 日 更新日:

ヒマというものは恐ろしいもので、それまで考えもしなかったことを突然やらかしたりします。すべてはネットのせいでございます。

これまでモノクロは自分で現像するのが普通だけど、カラーの現像は複雑でとても難しいので素人の手に負えるもんじゃないよと固定観念を植え付けられてきました。カラーは写真屋に出すのが当たり前、それを信じて何も疑わなかったのです。ところがとあるサイトを見てしまったのが運の尽き、カラー現像なんて簡単にできるよと書いてあったのです。モノクロなら少なくとも現像→停止→定着→水洗促進浴と4つのプロセスが必要ですが、カラーネガの場合は発色現像→漂白定着という2プロセスで済むので、むしろモノクロより単純なんだとか・・。唯一のポイントは処理温度を30℃または38℃という高温に保つことだけだそうです。さらにネットで検索すると、みんな普通にやってるようです。えっ、そうなんですか!?

そうなるとすぐやりたくなってしまうのが自分の悪い癖。ナニワカラーキットNなるカラー現像薬品セットが市販されているのを知り、早速ポチしました(爆)。税込2,520円なり。まあそれほど高いものでもないし、とりあえず一度体験してみようということです。それにこういうものはいつ生産中止になるかわからないんでね、あるうちにやっておかないと後悔しますよ。このキットですが、ネットで検索してもなぜかビックカメラしか取り扱いがないんですね。ヨドバシあたり行くと店頭で買えるらしいですが、田舎は辛いぜ・・

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それでこのキット、1L用で発色現像剤と漂白定着剤のセットになっております。さらにそれを2回に分けて500mlずつ使えるようになっていて、説明書によると500mlあたり135フィルムの24EXを10本処理可能と書いてあります。ということは、半額の1,260円を10で割れば1本あたりのコストは126円ということになりますね。モノクロに比べるとずいぶん高いですが、僕がいつも出している写真屋はフィルム現像のみ1本550円なので、それでもコスト的には十分安いと言えます。

ところがこの計算には落とし穴があるのです。1本あたり126円というのは、薬液を「無駄なく」使い切った場合の話なんですね。実はこの発色現像液はモノクロに比べて劣化が非常に早く、説明書によると一度調合してしまうと10日しか保存できないと書いてあります。ただ実際はそこまで短くなくて、ネットで調べた限りでは、冷暗所で保管すれば1ヶ月は何とかもつという話です。それでも今のペースから考えると、1ヶ月で10本使い切るなんてことはまず不可能ですね。旅行などで大量に撮影しない限り、無駄にしてしまうことは確実です。現像代を仮に1本500円とすれば、最低でも月に3本は処理しないと元が取れない計算になります。これもかなり微妙。もし1本しか処理しなければ、現像代が1,260円に跳ね上がってしまうわけです。

もちろんコストだけのメリットのみならず、自分で処理することの満足感が本質としてあるわけですが、それでも長く使い続けるためにはコストも無視することができません。そこでもうちょっと考えてみました。要するに一度に使用する薬液の量が少なければ、さらに小分けして使うことも理論的には可能ですよね。僕が使っている現像タンクは135フィルムを1本処理できるLPLのステンレス製のものですが、これの容量が250mlなんですね。実際に使う液量は240mlくらいです。ということは一度に500ml作らなくても、1/4に分けて250mlずつ作れば4ヶ月は使えることになります。単純計算では250mlあたり5本処理できることになり、自分の撮影ペースは多くても月に4~5本というところなので、ほとんど無駄にならないことがわかりました。

それで500ml用の薬剤をさらに半分に分けて調合することにしました。液体の発色現像剤Aの方は液面の高さを定規で測って半分のところにマーカーで線を引いておけば簡単に分けられますが、問題はアルミ袋に入っている発色現像剤Bの方です。これは顆粒状の粉末なんですが、2.1グラムと少量しか入っていないため、正確に2等分するには天秤がないと無理です。そこでちょっと考えました。空のフィルムケースを2個用意し、それぞれに粉末を少量ずつ入れていって、見た目でほぼ同じ量になるように分けます。目分量なのでいい加減ですが、まあ大きく違っていなければ問題はないと思います。この薬剤は湿気を嫌うため、残りはフィルムケースに入れたまま密封し、冷蔵庫で保管しておきます。

あとは説明書の通り、40℃のお湯150ml(500mlの場合の半分)に発色現像剤Aを入れて攪拌し、さらに発色現像剤Bを投入してよく溶かし、最後に水を足して250mlにすれば完成です。あとこれを保管するための容器が必要です。500mlなら飲料用ペットボトルがピッタリなんですが、250mlには手頃なのがありません。そこでホームセンターを探してみると、ちょうど250ml用の液体ボトルがあったので買ってきました。中栓も付いているので薬品を保管するにはちょうどいいんですが、実はちょっと問題があって、250ml入れても空間がかなり残ってしまうんですね。発色現像剤は空気に触れると酸化して劣化が促進されるので、できるだけ空気に触れないようにする必要があります。しかし容器の口までいっぱいに入れると300mlくらいになってしまい、薬液を規定より薄めることになってしまいます。これは大いに気になるところですが、ネットで調べてみると「少々薄めても構わないので空気を入れないことの方が大事」と書いてあったので、それを信じて目一杯まで水を入れてみました。でも後でよく考えてみれば、280ml入りのミニペットボトルが最適でしたね。(^^;

もう一つの漂白定着剤の方は日持ちするので、最初から500ml作っておき、500mlのペットボトルに入れて保管します。これを作るときの注意ですが、漂白定着剤Bの方は中身が結晶化している場合があり(特に寒冷時)、ちゃんと溶かしてから調合しないと正常に機能しません。容器を振ってみてカタカタと音がする場合は結晶しています。溶かし方は説明書にも書いてありますが、その通りにすると2回に分けて使えないので、容器ごと45℃くらいのお湯につけて湯せんします。ただしそれでもなかなか溶けないので、しつこく振って音がしなくなるまで溶かします。

さて、薬液の準備ができたらいよいよ処理開始です。これもネットで検索するといっぱい出てきますので、人によってそれぞれやり方があるようです。まず処理温度は標準30℃と高温38℃の二通りがありますが、高温処理は現像時間が3分15秒と短く、時間管理がシビアなため自動現像機向きと思われます。また冬場に38℃を保つのはなかなか難しいので僕は30℃で処理することにしました。人によっては処理時間が短い方が温度変化が起きにくいという意見もあり、確かにそれも一理あります。

説明書に書いてある標準処理では、30℃で発色現像5分30秒、漂白定着6分45秒、水洗3分15秒の3ステップを連続して行うだけですが、僕は少しアレンジして下記の方法でやってみましたので、参考までに書いておきます。

0. 準備

フィルムの現像処理で一番時間がかかるのはフィルムをリールに巻く作業なので、この時間を有効に利用します。僕はこれが苦手なので下手すると30分くらいかかります。(^^; その間に洗面台に栓をして40℃くらいのお湯を張っておき、発色現像液と漂白定着液を保存容器ごと浸けて温めておきます。冬場はあっという間に冷めるので、これでもまだ十分に上がり切りません。

フィルムの巻き付けが終わったら、バット(100均で買った食器洗い容器)にお湯を張り、32℃くらいにしておきます。これまた100均で買った500mlの計量カップに発色現像液と漂白定着液をそれぞれ240mlずつ取り分けてバットのお湯に浸して温めます。ただしこれではなかなか温度が上がらないので、発色現像液に温度計を突っ込んで42℃くらいの熱めのお湯で一気に温めて31℃にします。少し高めにするのは、現像タンクに注入する際に温度が下がる分を見込んでいるからです。

1. 前浴

発色現像液の温度が31℃に安定したら処理開始ですが、その前に水で前浴をします。モノクロの場合は主に気泡の発生を防ぐことが目的ですが、カラーの場合は現像タンクをあらかじめ温めておくことが目的です。特に冬場冷え切った現像タンクにいきなり発色現像液を注入すると一気に2℃ほど下がってしまうので(水で実験しました)、わずかな手間は惜しまない方がいいと思います。

32℃くらいのぬるま湯を現像タンクに注いで1分間放置し、時間が来たら排出します。

2. 発色現像

31℃に温めた発色現像液をタンクに半分ほど注入した時点でタイマー開始、全量入れ終えたら最初の30秒間は連続攪拌します。以後、30秒ごとに2~3回タンクをひっくり返して攪拌を繰り返します。もちろんタンクを軽く叩いて泡取りもお忘れなく。現像タンクはバットのお湯に浸けて保温します。お湯の温度を31℃に保つため、洗面器に40℃くらいのお湯を汲んでおき、温度が下がってきたら少しずつ足して調整します。

タイマーが終了する15秒前になったら現像タンクを取り出し、ゆっくりと排出します。現像時間には排出時間の15秒も含まれています。

なお発色現像液は繰り返し使用するので、処理するごとに疲労していきます。説明書によると24EXを2本処理するごとに現像時間を15秒ずつ延長するように書いてありますので、250mlの場合は1本処理するごとに15秒延長すれば良いのではと思います。ただしこれはあくまでも目安なので、ある程度経験を積んでデータを蓄積するしかないでしょう。

3. 水洗(停止)

説明書には発色現像→漂白定着の間の水洗は書かれていませんので、そのまま漂白定着液を注入しても構いませんが、定着液に現像液が持ち込まれることを防ぐため、僕は軽く水洗を入れています。実際は定着液がへたるより現像液がへたる方がはるかに早いので気にすることはないようですが、まあ気休めみたいなものです(笑)。

これは32℃くらいのぬるま湯を現像タンクに注いで捨てることを2~3回繰り返せばOKです。

4. 漂白定着

これもやり方は発色現像とほぼ同じです。ただし現像ほどシビアではないので、温度もアバウトで構いません。標準の処理時間は6分45秒ですが、長い分には特に問題ないので念のため7分くらいにしてもいいでしょう。

5. 水洗

漂白定着が終わったら、現像タンクに水を注いで軽く洗い流します。そしていよいよ蓋を開ける感動の一瞬です。うまく像が浮き上がっていたらニタッとすることでしょう(笑)。万が一、ベースが抜けきっていない場合は定着不足なので、もう一度蓋をして追加で定着します。水洗は流水で3分15秒となってますが、そんな細かい時間はどうでもいいです(笑)。長めに5分くらいした方がいいと思います。

6. ドライウェル浴

水洗が終わったらリールごと富士ドライウェル溶液に1分間浸けます。モノクロ用と同じものを使って構いません。この後に水洗をしては意味がないので念のため。

7. 乾燥

錘付きクリップに挟んで高いところから吊します。僕はこれまでスポンジは使わずに自然乾燥させてましたが、細かいゴミが気になるので最近スポンジを使い始めました。ただしキズを付ける可能性もあるので、どっちが良いとも言い切れません。

だいたい2~3時間で乾くと思います。乳剤側が乾きにくいので、リーダー部分を触ってみてベタつかなければOKです。あとは最後のコマから6コマずつ切ってスリーブに納めて出来上がりです。

なお、なぜか自家現像したフィルムはカールが酷いので、スキャンするとき苦労します。これを直すには、スリーブに納めた後、逆向きに巻き直してクセを取っています。要はカレンダーの巻き癖を取る要領です。輪ゴムで留め、3時間くらい放置しておけばほぼ直るようです。

それでスキャンした結果がこれです。写真屋に出すのと何ら変わらない仕上がりに大満足でございます。(笑)

こうやって書くとずいぶん面倒臭そうに見えますが、本質的にモノクロ現像と何も変わりません。要点は温度管理をきっちりすることだけですが、そんなにシビアにならなくても±2℃くらいは許容範囲です。どっちかというと高めの方が失敗は少ないと思います。モノクロなら夏場に20℃を保つのはかなり大変ですが、30℃を保つのは非常に簡単ですね。モノクロ現像の経験がある方ならいとも簡単にできると思いますよ。

僕は初めからモノクロの現像セットを持っていたので、初期投資はナニワカラーキットだけですが、これから始めようとすれば少なくとも現像タンク、ダークバッグ、温度計くらいは買い揃えなければなりません。でもあとは100均で買えるものがほとんどなので、そんなにお金もかかりません。モノクロを飛ばしていきなりカラーでも全然問題なくできると思いますよ。

モノクロにはモノクロの良さがありますが、やはり色鮮やかな風景はカラーで撮りたいと思うのが人情というもの。カラー現像ができればもう最強なんですよね・・。こんなめんどくさいことやってられるか!という人がいるかもしれませんが、慣れれば全工程1時間あればできることですよ。僕に言わせれば、写真屋に持って行って、もう一度引き取りに行く方がよっぽどめんどくさいですね。コストもさることながら、何よりも自分で現像することの満足感がたまらないんですよ。趣味とはつまるところ、「無駄を楽しむ」ことですからね。こんな楽しいこと写真屋にやらせるなんてもったいない!(笑)

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