1993.11.14 東吉野から室生へ~杉木立の道~

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自転車

実走日:1993年11月14日(日)
コース:室生ダム~榛原~古市場~鷲家~平野~染谷峠~室生寺~室生ダム

 11月14日、昨日の大雨が嘘のように朝から晴れ渡った。しかし、午前10時頃にはまた雲が多くなってきて風がやや強く、少々肌寒い。室生ダムには駐車場や休憩所があるのでカーサイクリングに便利である。昼食を済ませて11時45分に出発する。

 室生ダムの堰堤を渡って室生湖の湖岸を走る。ちょうど紅葉(というより黄葉)が盛りで、黄色や茶色に彩られた木々が美しい。しかし昨日の大雨でダム湖は泥色に濁っている。それほど大きな湖ではないが、湖岸が入り組んでいるためかなり回り道をさせられる。アップダウンも少々ある。室生ダムから数えて3つ目の水色の橋を渡って右折すると上り坂となり、国道165号線に出る。ちなみに橋を渡らずにまっすぐ坂を上って行っても国道369号線を経由して榛原に出ることができる。昨年走ったときはこのコースをとったが、こちらの方が景色は良い。今回違うコースをとったのはこの上り坂を回避しようとしたからであるが、どうも地図を読み違えていたようで、下り坂と思っていたのが上り坂で結局かなり上らされる羽目になってしまった。

 国道165号線に出て2kmほど西へ行くと、近鉄のガード下をくぐって国道369号線との交差点に出る。このあたりは道が入り組んでおり、どれが国道なのかを見きわめるのが難しい。商店街を抜けて郵便局の前を通ったら正解である。郵便局を通り過ぎて、まもなく菟田野8kmの標識を見て県道へ左折する。ここから菟田野までは芳野川に沿ったほぼ平坦な道である。そのまま県道をまっすぐ進んでもよいが、途中比布のバス停で左折して芳野川沿いの道を行った方が少々遠回りにはなるが、アップダウンがないので自転車には楽である。民家が多くなってきたところでもとの県道と合流し、国道166号線に出る。ここが菟田野町の中心街である。菟田野町は毛皮の加工が主な産業の町であり、毛皮製品の店が多い。

 国道166号線は立派な2車線道路であるが交通量は少ない。佐倉峠までは坦々とした道が続く。峠と言っても勾配はゆるやかで、難なく峠に到達することができる。佐倉峠を越えると急な下り坂となる。直線状の下りなので非常にスピードが出る。ここで現在までの最高速度59.0km/hを記録した。坂を下り切ったところが鷲家で、短いトンネルを抜けると再びダラダラ上りが始まる。新木津トンネルの手前から勾配がきつくなり、トンネルまで一直線の上りが続く。自転車にとっては最も疲れる坂であり、結構こたえる。トンネルの入口には休憩所があるのでひと休みする。新木津トンネルは最近開通した立派なトンネルであり、長さは500mほどある。しかし、またライトを忘れてしまった。照明はあるが中央部は暗く、路面が見えにくいので怖い。

 トンネルを抜けるとまず高見山の鋭鋒が目に飛び込んでくる。このあたりではひときわ目立つ美しい山である。そしてまたダラダラ上りが始まる。途中旧道と新道に別れるがどちらを通ってもよい。出合で室生方面の標識を見て左折し県道28号線に入る。道は平野川に沿ってゆるやかに上って行き、ログハウスがたくさんあるところが平野である。道はさらに川に沿ってゆるやかに上って行くが、やがて鬱蒼たる杉林の中を行くようになると勾配がきつくなる。しかし、体が慣れてくると上り坂にもかかわらず結構ハイペースで飛ばせるようになる。杉林を抜けて一旦開けたところが滝野である。

杉木立の道

 滝野を過ぎて谷尻方面への標識を見るとさらに勾配がきつくなる。ここから再び深い杉林の中に入る。あたりには木の香りが漂い、森林浴気分が楽しめる。昨日の雨で路面はずっと濡れており、枯れ葉が溜まっている。なかなか雰囲気の良い道で、特に夏などは非常に気分がよいだろう。峠までは時々8%程度の上りが現れ、休むことなく上りが続くのでかなり苦しい。峠に近づくとやや勾配が緩くなり、少し開けた感じになる。このあたりは道の両側に広がる杉林の間をシダ類が埋め尽くし、原生林を思わせる雰囲気である。やがて明るい光が見えてくるとようやく峠である。標高は700mである。5万図に峠名の記載はないが、昭文社発行の山と高原地図「赤目・倶留尊高原」によるとこの峠は「染谷峠」という名称になっている。東吉野村と室生村の境になっており、村名を示す標識がある。峠ではわずかながら木の間越しに展望が開け、紅葉した山々が日に照らされて美しい。

染谷峠

 峠から国道369号線に出るまでは急坂に加えてヘアピンカーブの連続なので、ブレーキかけっぱなしの状態である。国道369号線にぶつかると右折してゆるい下りを2kmほど下っていく。途中工事中でかなり長いダートがありうんざりする。電話ボックスがある辰尾橋のバス停で国道369号線と別れて県道へ左折する。ここからしばらくは急な下り坂で、しかも道が狭いので注意を要する。道が広くなると勾配もゆるやかになり走りやすくなる。

 かなり下った頃、室生寺の門前に到着する。ちょうど紅葉の盛りということもあって道は観光客であふれ返っている。外から紅葉が見えるが、余りにも人が多いのでとても入る気にはなれない。そのまま室生寺を通過してしばらく行くと予想通り車が渋滞している。道が狭いのでバス同士のすれ違いに苦労しているのだ。余りにも狭いので自転車でも横をすり抜けることができず止まらざるを得ない。時々2車線になるのでまた流れ出すのだが、道が狭くなるたびに同じことの繰り返しでいらいらさせられる。小さなアップダウンを過ぎると室生ダムを示す小さな標識があり、それに従って左折する。ダムというのは必ず高いところにあるので最後の最後で上らなければならない。距離にして1kmほどだが、かなりの急坂で疲れた足には結構こたえる。何とか上り切ってようやくゴールである。ちょうど湖水が夕日を反射してきれいだった。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
59.53km 2:50:29 21.0km/h 59.0km/h 710m
染谷峠
460m
片雲の風に誘われて