1994.4.16 奥香落・伊勢本街道

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自転車

実走日:1994年4月16日(土)
コース:青蓮寺ダム~夏見~太郎生~敷津~菅野~掛~太良路~青蓮寺ダム

 青蓮寺ダム管理所の横には乗用車5~6台が駐車できる無料駐車場があり、ここを起点とする。輪行の場合は近鉄名張駅が起点となる。コースは右回りとしたため、まず名張駅方面に向かって県道を下っていく。橋のところで国道368号線に出て、右折する。

 ここからしばらくの間はややきつい上り坂が続く。そして滝之原2kmの標識があるあたりから工事中でかなり長いダートがある。砂利が多いのでパンクを気にしながらもほとんど乗ったまま通ってしまった。ところが何度も通っている道にもかかわらず、こんなところで道を間違えてしまった。何となく風景に見覚えがないのとやけに上りが続くのでおかしいと思い、1kmほど行ってから地図を見たらやっぱり間違っていた。どうもさっきの砂利道に気を取られて右に曲がるところを見過ごしてしまったらしい。確か標識はなかったような気がするので初めての人は特に間違いやすいと思う。

 間違えた道を引き返して国道に戻り、上比奈知あたりまでほぼ平坦な道を走る。比奈知ダムの建設事務所まで来ると8~10%くらいのきつい上りが始まる。ここが全コース中で最もきつい上りである。現在比奈知ダムの建設に伴い、国道368号線の付け替え工事が進んでいる。以前この道は谷底を走るほぼ平坦な道だったのだが、ダムが完成すれば水没するため、川よりかなり高い所を通るように付け替えられた。まったくサイクリスト泣かせである。きつい上りが一段落してもう一度上ったところで新しい上比奈知トンネルを通過する。

 トンネルを抜けると非常に見通しの良いきれいな2車線道路となる。走っていて非常に気持ちがよい。道が右に大きくカーブして少し上ると、谷をまたぐ大きな橋とくねくね曲がりながら谷底に下りていく道が見える。なかなか豪快な景観だ。しかし、せっかく上ったのにまた下りなければならない。現在新道の工事中であり、これが完成すれば下りなくても済むようになる。

 さっき見えていた道をくねくねと曲がりながら下っていくと旧道に合流する。道が狭い上に路面が荒れていて走りにくい。また現在新道の工事中のため、風景が殺伐としているのが残念である。工事区間を過ぎるとようやくのどかな山村風景となる。ここから先は名張川に沿ってゆるやかに上っていく気持ちの良い道だ。交通量はきわめて少なく、きつい上りはほとんどない。追い風のせいだろうが、上りにもかかわらず25km/h以上で走れて快適である。平地の桜はほとんど散ってしまったが、このあたりは今がちょうど満開で、今週も花見を楽しむことができた。また黄色い菜の花が心をなごませてくれる。

 上長瀬の集落を過ぎると美杉村となり、太郎生の集落に入る。茅葺き屋根の民家が点在するのどかな山村である。このあたりから左手にはこんもりとした大洞山を望み、そして右手には室生火山群の盟主・倶留尊山が屏風のようにそそり立つ。上太郎生で道が二手に分かれるところがあるが、「奥津」の標識に従えば間違いない。

 太郎生の集落を抜けると奈良県御杖村となる。ここは奈良県の最東端に位置する村である。道が2車線となり、明るく開けた所に出るとまもなく信号のある敷津の交差点に着く。ここに御杖村観光案内所の無人小屋があるので中に入って昼食にする。休憩にはちょうどよいポイントである。近くにある丸山公園というところが桜の名所らしいのでちょっと寄り道してみたが、山桜なので残念ながらまだ花は咲いていなかった。でもこのあたりは何の物音もしない静かな山里で、一日中ボーッとしていたい気分になる。

大洞山

 敷津の交差点から国道369号線(伊勢本街道)に入る。ここは左の旧道にそれた方が楽で風情もある。佐田峠という小さな峠を越えると再び国道369号線の新道と交差するが、ここも直進して川沿いの旧道を通った方が、距離は長いがアップダウンがないので自転車には楽である。この旧道は通る車もなく本当に静かである。

 やがて菅野の集落に入ると左から新道が接近してきてくるが、そのまま旧道をまっすぐ行けば自然に新道に合流する。桜峠までは一直線の上りで精神的につらいが、勾配はそれほどきつくない。インナーローで回転をキープしながら上れば難なく着くことができる。国道の桜峠は何もない峠だが、近くに旧桜峠入口の標識がある。MTBなら担いで上ってみるのもいいかもしれない。

 桜峠を越えるとあとは多少のアップダウンはあるものの、だいたい下り調子である。土屋原、桃俣と集落を通って行くが、このあたりは1車線区間であり、旧街道の雰囲気が残っていていいところである。道が2車線になったあたりで曽爾村に入り、コンクリート工場が見えてくるとまもなく掛の交差点に着く。ここで国道369号線と別れ、名張に至る県道に入る。

 ここからは明るく開けた川沿いの道となり、右手には奇怪な姿の古光山から亀山峠を経て、美しい倶留尊山までを一望のもとに見渡せる。5月になれば亀山峠付近は緑の絨毯を敷き詰めたような一面の草原となり、登ってみたい衝動にかられる。このあたりの景観は近畿には珍しくスケールの大きな景観だ。

 小さなアップダウンの後、今井の集落に入ると突然目の前に岩肌を露出した鎧岳の異様な姿がパッと現れる。誰もがアッと驚くことだろう。何度来ても感動する光景だ。鎧岳は近くにある嶽見橋の上から眺める姿が最も美しい。

鎧岳

 曽爾高原への分岐点を過ぎ、太良路の集落を抜けるともう一度軽いアップがあり、あとはずっと下りとなる。川沿いを快調に下っていくとやがて山が前に迫ってきて、本コースのハイライト香落渓に入る。コンクリート舗装のため、ロードではちょっと走りにくい。ここからは柱状節理の見事な岩肌が次々と展開する。小太郎岩、屏風岩など一つ一つの岩に名前がつけられている。秋は紅葉の名所であり、多くの観光客で賑わう。

 香落渓を抜けるとまもなく深緑色の湖水をたたえた青蓮寺湖が見えてくる。このあたりはハイカーの姿も多い。湖岸沿いにも桜並木があり、ちょうど満開である。出発地点の青蓮寺ダムが近くに見えている割には道が曲がりくねっているので意外に時間がかかる。ワインディングロードを楽しみながら、赤い弁天橋を渡ればゴールはもうすぐである。

 なおコースを逆回りにしても上りの距離はほぼ同じだが、最後に急坂が待っているので精神的につらいのと、鎧岳が現れた時の感動が薄れるのであまりおすすめできない。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
63.09km 2:54:41 21.8km/h 50.0km/h 560m
桜峠
360m
片雲の風に誘われて