自転車

1994.5.2 窪川から中村へ~四万十川を下る~

投稿日:1994 年 5 月 2 日 更新日:

実走日:1994年5月2日(月)
コース:窪川~大正~江川崎~口屋内~川登~佐田~中村

 5月1日(日)、高知県窪川町の岩本寺YHに宿泊する。このYHは遍路宿を兼ねていて、今日はお遍路さんとホステラーで一杯である。建物は清潔だし、食事はお遍路さんと同じで豪華版なのでお薦めである。また、このYHはなぜかサイクリストが多い。多分、地理的に高知から足摺岬にかけてのちょうどいい中継点になるからだろう。今日も3人ほどサイクリストが泊まっていた。その晩は坂出からロードレーサーで走ってきたと言うツーリストと自転車の話で盛り上がった。

 翌5月2日も朝から快晴だ。ここに泊まるツーリストはたいてい同じコースを通るようで、昨日知り合ったツーリストも僕と同じコースで四万十川YHまで行くという。YHまでは60kmしかないので早く着きすぎると困るからのんびり行くと言っていた。彼のロードレーサーはDE ROSAのフレームにCampagnoloのコンポを装備した正真正銘の"Made in Italy"である。何でもジロ・デ・イタリアを見に行ったときに注文したフレームだそうだ。その自転車に対する熱の入れようは大変なものだ。それをツーリングに使うとは何という贅沢。彼は午前8時頃、先に出発していった。

 車のトランクから自転車を取り出して組み立て、8時10分に岩本寺YHを出発する。窪川は小さな町なので3分も走れば市街地を抜けて四万十川沿いの国道381号線に出る。朝のさわやかな空気の中を一路江川崎に向かって走る。

 国道381号線は広い2車線で勾配もほとんどなく、きわめて快調に30km/h前後で飛ばす。左手には終始四万十川の水面がきらめく。このあたりはまだ上流で岩が多い。対岸にはJR予土線が走る。たった1両のディーゼルカーが向こうから来て鉄橋を渡って行った。普通の車両より車長が短く、まるでバスのようだ。

 1時間ほどで大正町の轟崎に到着する。国道439号線との交差点には轟公園があり、立ち寄ってみる。ものすごい急坂を上ると広場があり、石の風車が立っている。直径1.8mもあり、風の強い日には本当に回るそうだが今日は回っていない。ここで先に出発したロードレーサー氏に出会った。風車の前で写真を撮ってもらう。しばらく景色など眺めつつ、彼よりちょっと遅れて出発した。道をはさんだ向かい側にはミュージックトイレなるものがあるが、入ってみたらただ歌が流れるだけだった。しかし「四万十の青き流れを讃えたい」というフレーズが妙に耳に残っている。

 もう少し行くと大正町の中心地、田野々に着く。ここから国道381号線は工事中でダートの箇所が多くなる。かなり長いダートでロードではちょっとつらい。トンネルを2つほど抜けて、屋敷峠の手前で再びロードレーサー氏に追い付く。恐ろしいことに彼は50リッターの登山用ザックを背負っている。これでは自転車を背負って走っているようなものだ。バリバリのレーシングウェアにサングラス、レーサーシューズといういでたちはどう見てもツーリストには見えない。

 ここから二人で走り、JR十川駅前で四万十の春の風物詩、鯉のぼりの川渡しを見つけて休憩する。川に渡した綱に百尾余りの鯉のぼりが泳ぐ様は壮観である。ここで何枚か写真を撮る。彼はお決まりの自転車を持ち上げてのバンザイポーズで記念写真を撮ってくれと頼む。それにしてもただでさえ荷物が多いのに、重たい一眼レフカメラを持ってきているのにはあきれるのを通り越して感心した。

鯉のぼりの川渡し

 さらに走って広瀬まで来るとだんだん道が狭くなってくる。ここで道端でお茶席を開いていて、彼が暇つぶしにお茶でも飲んで行こうというので一服する。そういえばこのあたりは茶畑が多い。地元の農協が四万十のお茶をPRするために茶席を開いているそうである。お茶菓子付き200円で摘みたてのお茶を入れてくれるのだが、茶碗はどう見てもお猪口くらいしかなく、ちょっと上品過ぎるんじゃないか。それにしても今日の高知は暑い。じっとしているだけで汗が吹き出してくる。じっとしていると余計に暑いので20分ほど休憩して出発する。

 橋を渡って再び国道に戻るが相変わらず道が狭い。トラックが前を走っていると対向車が来るたびに車がつまってしまう。まったくこれが国道かと言いたくなるような道である。どうも四国の道は海岸線はよく整備されているが、山間部は狭いところが非常に多い。半家を過ぎるとようやく広い2車線となる。景色も広々としていて気持ちがよい。ここでMTBのツーリストとすれ違い、Vサインを送る。しかし、このあたりから向かい風が強くなってきてペースが落ちる。風向きから見てこの分だと中村までずっと向かい風に悩まされそうだ。

 向かい風に悩まされながら、ようやくカヌーイストのメッカ江川崎に着く。ここで国道381号線と別れ、交差点を直進して国道441号線に入る。中村まで37kmの標識があり、ゆっくり走ってあと2時間だ。ちょうどお昼なのでさらに4kmほど先の川口にある岩城食堂で昼食にする。ここのうどん定食はボリュームたっぷりで550円と安い。店の窓からは四万十川がすぐ下に眺められる。カヌーや釣りをしている人が多い。四万十の流れは非常にゆったりとしていてほとんど流れているようには見えない。しばらくボーッと景色を眺めながら過ごす。

 十分休憩をとった後、再び国道441号線を南下する。道幅はまた狭くなり、対向車を気にしながらの走行となる。このあたりは四万十川で最も美しいところである。川は自然のままにくねくねと蛇行し、白い砂州が美しい弧を描いている。その自然の造形美に感動する。青い空、澄みきった水、目に染みるような新緑、これこそ青い国四国を代表する風景だ。四国の本当の良さは観光地化されないこのような山間部にこそある。願わくばいつまでもこのままであって欲しいと思う。

中半付近

 悠々と流れる四万十川を眺めながらもうしばらく走ると中半の休憩所に着く。ここでも写真を撮ってしばらく休憩する。やっぱりじっとしていると余計に暑い。再び走り出し、もう少し先の口屋内で四万十川YHに向かうツーリストと別れて再びソロツーリングとなる。まだ午後2時半頃だが、彼は早くもYHに着いてしまった。

 鵜の江を過ぎるとアップダウンが多くなってくる。中村までの距離を示す標識がたびたびあり、距離がだんだん減っていくのが励みになる。川登で国道は山の方に入って行くが、川沿いの旧道の方が峠がなくて楽そうなので旧道を行く。サイクルコンピュータの距離はすでに90kmを示している。川幅はますます広くなってくるが、道からは川があまり見えなくなり、町に近づくにつれて景色も単調になってくる。あと13kmほどの距離が結構長く感じる。途中佐田の沈下橋という標識があったのだが、寄り道するのが面倒なので通過してしまった。

川登付近

 アップダウンを何度か繰り返し、入田のあたりでサイクルコンピュータがついに100kmを示した。100kmは自己の一つの目標であっただけに、ようやく初級者の域を脱することができた喜びで一杯だった。市街地の狭い道を抜けて国道56号線から国道439号線に入り、午後3時半頃中村駅に到着した。初めて100km以上走ったけれども疲れは50kmくらい走ったときと変わらなかった。

 これからまた初体験の輪行が待っている。うまく輪行袋に収納できるか不安であったが、所要時間は15分だった。ペダルを外すのに多少手間取っているようで、慣れればもう少し短縮できるだろう。自動券売機で窪川までの乗車券930円と特急券310円を買い、窓口で手回り品切符260円を買う。特急料金はずいぶん安い。そして16時12分発岡山行き特急南風16号に余裕で乗り込む。特急車両なのでデッキに輪行袋を置き、近くの席に座る。大型連休中だが自由席は結構空いていた。窪川までは第3セクターの土佐くろしお鉄道であり、珍しい女性の車掌さんが乗務している。

 列車は約40分で窪川に到着した。改札に出るには階段を上り下りしなければならないが、これが結構しんどかった。階段を上るときは底をぶつけないように持ち上げなければならない。縦型の輪行袋はこういうとき不便だ。小さなローカル駅でこれだから、大きな駅のことを考えると思いやられる。駅を出ると輪行袋が一つ置いてあって他にもサイクリストがいる様子で、どこかに電話しているようだ。駅前で自転車を組み立てているとその大学生風のサイクリストが声を掛けてきて、今晩はどこに泊まるのかと尋ねた。どうやら宿を探しているようだが、岩本寺YHに泊まるけど今日は混んでいるからちょっと難しいでしょうと言って別れた。

 結局組み立ても15分で終了し、YHに向かった。歩いても5分くらいだが輪行袋を担ぐのはちょっとつらい距離である。YHに戻ると今日もサイクリストが多かった。汗をかいているので急いで入浴を済ませた。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
105.68km 4:47:07 22.0km/h 43.5km/h 210m
窪川
200m

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