最近のYH事情

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旅行

僕は旅行するときYH(Youth Hostel)をよく利用していますが、最近YHも年々減ってきまして、ここ数年は年間3泊くらいしか利用してませんでした。かつてあったところでもすでに廃業しているところが多く、嫌でも他の宿泊施設に頼らざるを得なくなっています。まあYHの衰退は今に始まったことではありませんが、特にここ5年ほどの間は急速に数が減っているように思います。その主な原因はオーナーの高齢化によるもので、後を継いでくれる子息がいない場合、廃業に追い込まれるケースが目立っています。そしてもう一つの原因はYHの利用者減少による経営難から来るものです。

特に若者のYH離れが深刻になっています。昔はYH利用者の主流は大学生と相場が決まってましたが、今ではYHで大学生を見かけることなどめったにありません。youthと言いながら、若い人はまったくいません(笑)。それに代わって一番幅を利かせているのが還暦を過ぎた定年族の人たちです。かつてバックパッカーが流行った時代に青春時代を過ごした人たちが昔を懐かしんでYHに戻ってくるケースが増えているようです。まあそれはそれで良いとして、なぜこれほどまでに若い人が来なくなったんでしょうか?

今の若い人はお金を持ってるからYHなんかよりもっとリッチなホテルとかに泊まるのかと思えば、どうやらそうでもないようです。要するに若い人が旅行そのものをしなくなったというのが真相のようです。まあ昔と違ってレジャーが多様化した時代ですから相対的に旅行の需要は少なくなるのかもしれませんが、「旅をしたい」という欲求は決してなくなるものではないと思います。ある調査によると、若者の休日の過ごし方としてトップ3に入るのは「インターネット」「DVD鑑賞」「ビデオゲーム」らしいです。(^^; なんだかなぁ・・って感じですが、最近の不景気により経済的に余裕がないということも若者の旅行離れに追い打ちをかけているようです。

かつての主力であった大学生がYHに来なくなったので、YH側でも何とか利用者を増やそうと「規制」を緩めていきました。たとえば飲酒をOKにする、ミーティングを廃止する、皿洗いを廃止するなどがその一例です。まあそこまでは別に本質的なことじゃないですからいいんです。でもそれでもなかなか利用者は増えず、ついに越えてはならない一線を越えてしまいました。それは「会員外でもOK」にしたことと、「個室利用」を認めてしまったことです。昔は会員証を持っていなければ泊まれませんでしたが、今は誰でも泊まれて、会員は割引料金になるに過ぎません。また家族で一室を占有することも認められています。僕に言わせれば、これをやってしまったがためにYHの衰退により拍車をかけているのだと思います。

僕がYHの利点と思っていたのは、一人客でも絶対に断られることがないのと、盆やGWなどの繁忙期に予約なしで行ってもたいがい泊まれるという安心感でした。ところが最近これができなくなっています。繁忙期はある程度早めに予約しておかなければ泊まれません。それはなぜか? 会員制というハードルが取り払われたことと、家族で一室を占有されるために夏休みなどはあっという間に満室になってしまって一人客が入る余地がないからです。こうなると他の旅館や民宿と何も変わらないじゃないですか。実際、観光案内所では他の宿泊施設が満室のとき、YHを紹介するケースが目立っています。

ただでさえ利用者が減ってるのでそこまでしないと経営が成り立たないというのは理解できますが、あまりにも大衆迎合的になってしまうと結局、一般の宿泊施設と何も変わらなくなって同じ競争の中に巻き込まれてしまうことは必至です。今どきちょっと安いくらいでは競争に勝てませんよ。YHはこれまで会員制という枠組みに守られていたために独自性を保ってこられたのですが、それをなくしてしまったことでYHの特色が失われ、「青少年の旅をしたいという夢をかなえる」という本来の趣旨からどんどん逸脱する結果になり、YHの衰退にますます拍車をかけていることに違いありません。

僕も最近は「旅行しない人」になってしまってたのでYHに泊まることも少なくなってましたが、今年は勤め人を辞めたので「旅行するぞ」の年になっております。先月までにすでに7泊しました。できれば月に一度くらいはどっか行きたいですねえ・・。この前会津へ行ったときなんですが、久しぶりにYHで若い人を見ました。何と高校三年なんだって・・。夏休みってこともあるんでしょうが、大学生はおろか高校生なんて今までめったに見たことないですよ。それもグループじゃなくて一人旅で・・。今どきの高校生といえば人と話もせずケータイの画面をじーっと眺めてるイメージしかないですが、さすがにしっかりしてましたわ。まだYHは死んでなかったんだって、ちょっとだけうれしくなりました・・

それともう一つ意外だったのは単独の「おばちゃん」がいたことです。それも二人も・・。だいたいおばちゃんって一人旅に一番縁がなさそうな人種じゃないですか。団体旅行でギャーギャーうるさいイメージしかないですよ。(^^; 50代~60代のおばちゃんが「青春18きっぷ」で一人旅なんかするんや!と、こっちの方がすご~く意外で感心してしまいました。(笑)

片雲の風に誘われて

コメント

  1. taketon より:

    高校時代に夏休みで一人で北海道をウロウロしていた時、安いこともありユースに泊まり歩いてましたが
    ミーテイングなどが妙に鼻について(憂鬱で)また出席が半強制的な感じでそれが旅行の開放感を台無しにするような気がしてそれ以降は泊った覚えがありません。
    (ただ各ユースの手書きの特色ある宿泊確認の返信はがきはなぜか今でももっていますが・・)
    その時でも若者は少なく、20代後半から中年層、外国人の方が多かったですね。
    泊る側も他の宿泊者やペアレントの方とフレンドリーに接する心構えがないと
    ちょっとしんどいなぁ~と個人的には思ったりします。
    いまは会員外でも泊れるのですね。
    今の年齢になった自分としては、他の宿泊者の方と会話などを交わしながら
    昔よりは楽しんでユースで宿泊できそうな気がしますがね・・

  2. SORA より:

    @taketon さん

    高校生くらいだとどうしても萎縮してしまうでしょうね・・
    ミーティングが盛んに行われていたのはもっと古い時代の話で、僕が大学生だった頃にはすでにミーティングはほとんど行われなくなってましたよ。
    でもなぜかミーティングの悪いイメージだけが一人歩きしてるような気がしますね。(笑)

    今のYHはおとなしくなりすぎて何か面白くないですね。
    別に馬鹿騒ぎがいいとは思いませんが、昔のノリはそれはそれで良かったと思います。
    今は今でお年を召した方の人生訓みたいなものを聴けるのは面白いと思いますが・・
    まあ今は普通の民宿と何も変わらないですから、変な先入観をもたずに気軽に飛び込んだ方がいいと思いますよ。

  3. KAY.T より:

    こんにちは。ご無沙汰しています。

    YHは海外でも頻繁に利用しました。

    国内では80年代に主に利用していましたが、北海道の某クレイジーYHでは野球拳が行われていたり、ハチャメチャなペアレントさんやアルバイトの従業員の方もおられたりしてそれなりに楽しかったですね。

    80年代には恐らく全国に500くらいあったと記憶しています。今は閑古鳥でしょうか。

    外国から来られているツーリストたちと国際交流するには最適の場でしたね。

    誰とでも気軽に話ができるのもYHのメリットでした。

    ひとりで遊ぶデジタル世代には、あまり旅というものの魅力が感じられないのでしょうか。

    旅を利用して成長してきた自分には何か悲しい話です。

  4. SORA より:

    @KAY.T さん

    ご無沙汰しています。
    今でも外国の方はYHをよく利用しますね・・
    僕がYHを利用し始めた80年代後半にはすでに馬鹿騒ぎはほとんど行われなくなってたのですが、昔はもっと若い人が多くて活気がありましたね。
    今では当時の半分近くまで数が減ってると思いますよ。
    最近はインターネットで何でも情報が手に入る時代ですからわざわざ旅に出る動機も低いのかもしれませんが、それは違うだろ?と思いますね。
    目的地そのものよりそこに至るまでのいろいろの方が印象に残ってますし、それは決してインターネットで得られるものではないはずですね。

  5. Indigo より:

    やっぱり減ってきてるんですね・・・(^^;)
    ネットで探してみても確かに数は少ないです。

    僕は大学3年生の時にランドナーで近畿1周ツーリングをしよう!!と心の中で決めて普段からいろいろ計画なども考えているのですが、旅先でのメインの宿泊場所は道の駅orキャンプ場で、3日~4日に一度ぐらいは民宿で素泊まりor国民宿舎、そしてYHを利用したいと考えています。

    僕の周りの自転車乗りもロードがメインで、特に同世代でランドナーやキャンプしたりYHで宿泊して長い距離を走るという人はほとんどいませんね。

    一気に増えすぎるのも困りますけど、もう少しランドナーに乗る人(特に若い人)が増えてYHの利用客も増えてくれたないいなぁと感じます。

  6. SORA より:

    @Indigo さん

    貧乏ツーリストにとってYHは強い味方なんですけど、衰退の一途をたどってますよ。
    特に近畿は減り方が激しく、紀伊半島などは壊滅状態です。
    Indigoさんが大学生になるまでにさらに減るんではないかと危惧します。
    やっぱり自転車の世界でも旅よりレースが主流なんですかね・・

  7. かくげ太 より:

    YHの日本の会員は最盛期で63万人以上、今はたったの9万人。これだけマーケットが小さくなれば衰退するのもやむなしですね。しかも今はYH以外にも安価なビジホなどいくらでもあるし、YHの価格優位性はもはやな失われました。(「楽天トラベル」「じゃらん」などで宿を探した方が旅程を組みやすい)

    他の宿泊施設に比べると、YHが勝っているのは「談話室」という交流スペースがあること(これをよい点ととらえる人は限られると思いますが)。そして繁忙期でも一人で泊まれること。それ以外の面では総じて他の宿泊施設に劣るんじゃないでしょうか(個々のYH経営者の商売人としての手腕に依存する)。若者の嗜好の変化以前に、「商品」としてすでに詰んでいるような・・・。

    もし若者が今どきの「巣ごもり消費」志向ではなく旅好きだったとして、YHには彼らをつなぎ止めるだけの魅力はあるんでしょうか?むしろ今の若者が旅好きでなくて、YHの魅力のなさがバレなくてよかったね、と思います^^;

    みんなでお歌を歌うミーティングや、教育というか説教めいた雰囲気(…その頃をリアルタイムには知りませんが)、すなわちYHが教育施設(もっとハッキリいうと「幼稚園」)的な性格を帯びていたその頃に、すでにYH衰退の芽があったんじゃないかと思いますね。

    それにしても昨年夏に佐渡の某YHに泊まったときは、連泊のヤンママヤンパパとその子供たち(しかも複数家族づれ)が宿の中を駆け回っていて、「ここは託児所かーーーっ」とツッコミたくなりました^^;SORAさんが本文で書かれているとおり、定年退職者、工事関係者に次ぐ、今どきのYH宿泊客の第三のスタンダード^^;

  8. SORA より:

    @かくげ太 さん

    確かに 沖縄あたりではゲストハウスと完全に逆転してますし、今はネットカフェなんてものもありますから、価格的な優位性というものはほとんどなくなりましたね。非会員OKにしたことも会員数減少に拍車をかけてるんでしょう。

    価格から見ると今のYHは決して「お得感」はないですね。一人でも泊まれるということを除けばほとんどメリットはないように思います。今の若い人にYHをすすめても魅力は感じられなくて当然だと思います。まあ中には独自のプログラムを企画してリピーターがついているところもありますが、あまりにも工夫のないYHが多すぎます。このまま行けば、近い将来YHは自然消滅的になくなることは避けられないでしょう。

    第三のスタンダードである家族連れ、確か昔は小さいお子様お断りじゃなかったのかな? 中途半端にYHが民宿化、ペンション化していることが許せないです。何のコンセプトもなく、そこまで大衆に迎合しないといけないんならYHなんかやめてしまえと言いたいですね。もうYH協会の存在自体が形骸化しているので、協会を離脱して「とほ宿」みたいな独自のネットワークでやったらいいんだと思いますよ。

  9. かくげ太 より:

    YH協会離脱というのはいいですね!今は「YHなら確実にこういうものが享受できるだろう」という予測が全然できないんですよね。ふつうの民宿かもしれん。託児所かもしれん(小さなお子様お断りの時代があったんですか!)。工事関係者用宿舎かもしれん。予測のできなさという点では、ある意味、ネットカフェやカプセルホテル以上の地雷かも(笑)

    YH協会っていうのもナゾの組織ですね。YHによる★の格付けというのも基準がしょーもないし。これは僕の勝手な予想ですが、YH協会の職員というのは、自らが現役の旅行者ではないのではないかと思います。もし「YHに愛想が尽きた気鋭の元YH」なんていうネットワークがあったら、ぜひ利用してみたい(笑)

  10. SORA より:

    YH協会という組織自体がかなりアヤシイですね。
    ひょっとして天下り先に近いんではないか?という気がします。(笑)

    おそらくすべてのYHが今みたいな形にしたいと望んでいるわけではないはずですが、YHの看板を掲げている限りは協会の方針には逆らえないのです。
    あの格付けもまったくワケのわからん基準ですが、良い評価をもらうためにYH側も協会に媚びるようなところがあるんじゃないでしょうか?(宿泊料金に影響しますから)

    協会自体がYH衰退の原因を作っている現状では、YH本来のあるべき姿を守るためには集団ボイコットするしかないですね!
    実際YHをやめて「とほ宿」に移行したYHは少なからず存在しますよ。