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1994.8.17 佐渡夏紀行(2日目)

投稿日:1994 年 8 月 17 日 更新日:

実走日:1994年8月17日(水)
コース:小木~真野~佐和田~長手岬~佐渡金山~尖閣湾

 二日目も朝から快晴でとても暑い。今日の走行は尖閣荘YHまでの約60kmである。かなりアップダウンが多く、きついコースだ。小木から国中平野に出るにはどこから行っても一山越えなければならない。地図を見るとYHの前の道は沢崎燈台に向かう道で、小木港まで戻らなくても国道350号線に合流できるようだ。YHまで少しでも標高を稼いでいるので、一旦下りて上り直すよりは楽だろうと思い、さらに上り始める。しかし上りはなかなか終わらず、1km以上もだらだらと続いた。やっと尾根上に出て標識のある交差点を右折し、小木港方面に向かう。国道350号線に合流するまではだいたい下り調子で、こんなことなら小木港から上り直した方が楽だったかとも思う。

 国道350号線に入るとまた上り坂となる。しばらくの間は標高100m少々の丘陵地の上を走るため、起伏が多い。佐渡へ来てよく目につくのは面白い看板だ。「スピード違反10000円、佐渡わかめ800円」や「駐車違反9000円、佐渡するめ500円」など意味ありげな看板をよく見かける。まわりは木に覆われていて展望はきかないが、時々ちらっと前方に高い山並みが見える。あれが大佐渡山地だろうか。それは島の中にあるとは思えない実に堂々たる広がりを見せる。

 やっと道が下りになると、ヘアピンカーブの連続で一気に海岸まで下る。ここからしばらくは海岸沿いを走る。しかし、もう一度上りが待っているのでまだ気は抜けない。平坦になったのも束の間、再び急な上りが始まる。坂を上り切ったところが鉄砲鼻で、ドライブインがある。ここで写真を撮って少し休憩する。真野湾方面の眺めがよい。

高崎付近

 鉄砲鼻を過ぎてもなおもだらだらと上りが続く。終わりそうでなかなか終わらず、いい加減嫌になる頃やっと下りになって一気に海岸まで下る。ここからは円弧状の真野湾に沿ったほぼ平坦な道となる。真野の市街地がはるか遠くの方に見える。単調な道を淡々と走ること数kmで真野の市街地に入る。

 市街地を抜けて国府川を渡るとすぐ佐渡博物館があり、暇つぶしと涼みがてらに見学する。中に入ると冷房が効いていて涼しい。博物館には佐渡の自然、文化、歴史に関するものや美術品が展示されている。特にトキに関する資料が目を引く。学名をニッポニア・ニッポンといい、かつては人里近くで普通に見られた鳥だったそうだ。しかし、それゆえに作物を食い荒らす害鳥として厄介者扱いされ、農業の近代化によって急速にすみかを追われたという。そして今では手厚い保護の下にわずか2羽の年老いたトキが静かに絶滅の時を待っている。これも人間の身勝手さの最たるものであろう。

 博物館は涼しくて一度入ると出る気がしないが、1時間ほど滞在して完全に汗が引いてから出発する。外に出ると相変わらず暑い。市街地なので交通量もかなり多い。

 まもなく佐和田の市街地に入る。大変にぎやかな商店街があり、どこかの地方都市に来たかのような錯覚を覚える。しかし路上駐車が多く、非常に走りにくい。

 ようやく佐和田の市街を抜けると国道350号線と別れて県道に入る。ここから3.5km先の沢根で道が二手に分かれる。右に行けば最短距離で相川に行けるが、景色が良さそうなので左の海岸沿いの道を行くことにする。しかし地図では平坦な道に見えるが、この道は相当アップダウンが多い。ツーリング中と思われるMTBを追い抜くが、後でまた抜き返される。荷物を背負っていると、ロードレーサーと言えども空荷のMTBには勝てないのだ。

 やがて二見港を過ぎ、嫌になるほどアップダウンを繰り返すとようやく長手岬の標識があり、左折して少し行くと岬である。このあたりの海岸は岩礁が多い。さっきのMTBも先に着いているが、サイクルキャリアを付けた仲間の車が停まっている。一人を運転手にして交代で走っている様子だ。これで荷物がない理由がわかった。

 長手岬からもう少し北に行くと夫婦岩がある。伊勢にも夫婦岩があるが、それよりずっと大きい。夫婦岩からさらに1kmほど先の大浦でまた上りとなり、フロントをインナーに落とす。しかしチェーンがBB側に外れて、落ちている棒切れを使って直してから上り始める。さっきのMTB2台がまた抜いて行った。それにしてもこれほどアップダウンがあるとは予想もしていなかった。太陽はジリジリと照りつけ、すぐ汗だくになる。この辺から予定変更という考えが頭の中をちらつき始める。すでに両津港から新潟経由で帰ることが可能であるかを考え始めていた。

 最後の上りをクリアするとようやく相川の市街地に入る。しかしこれから佐渡金山に立ち寄るため、また上りが待っている。

 佐渡金山がある大佐渡スカイラインへの入口は観光道路とは思えない狭い道である。かなり急な上りもあり、フロントをインナーに落としたらまたチェーンが外れた。どうもフロントディレーラーの調子が悪いので、ストロークを調整する。

 2kmほど上って山間に入ると川沿いのゆるやかな上りとなる。ときどき前方に「道遊の割戸」が見える。これは江戸時代の露天掘りの跡で、金を掘り進むうちに山が真二つに割れてしまったものだ。

道遊の割戸

 佐渡金山の駐車場の中に入るとまた上りがきつくなってきて、フラフラになりながら上る。どこかで休憩していたのか、長手岬のMTBがまた追いついてきた。坑道入口の直前まで上り、自転車を置いてやっと一息。ここで標高は150mくらいである。

 入場券を買って坑道の中に入ると、ひんやりとしてとても涼しい。一気に汗が引いていく。ここも一度入ったら出たくなくなる。間歩(まぶ)と呼ばれる坑道の中では電気仕掛けの人形が動いて江戸時代の採掘の様子を再現している。声も出るのが面白い。この金山は平成元年まで採掘が続けられていたことは意外と知られていない。

 ところが涼しくなったのも束の間、ちょうど観光バスの団体が押し寄せてきて最悪。じっくり説明を見ることもままならない。人に押し出されるようにして坑道の外に出る。出たところは資料館になっていて、金の鋳造の様子がミニチュア模型で展示されているが、ここも団体客で大混雑している。敷地内には金山そばがあり、遅めの昼食をとる。冷水器もあって、これ幸いとばかりに水を5杯くらい飲んでしまった。そうしている間にさっきの団体客はまるで台風のように過ぎ去っていった。

 佐渡金山を後にして、来た道を相川まで引き返す。下りはあっという間だ。相川から尖閣荘YHまではあと8kmくらいである。ゆるやかなアップダウンを繰り返しながら、のんびりと行く。達者の集落の手前でツーリストの一団とすれ違い、お互いに挨拶を交わす。このすれ違う時の一瞬の連帯感こそ来て良かったと感じる瞬間である。達者の集落からもうひと上りして姫津のバス停を左折し、午後4時頃尖閣荘YHに到着する。例によってここもまた坂の上にある。

 YHに入るとまた冷房がなくとても暑い。しかも扇風機もないため昨日よりもっと暑そうだ。夕方、外は風があって結構涼しいのに中は熱気が抜けなくていつまでも暑い。ペアレントさんの話によると、普通の夏なら最高気温は28度くらいで過ごしやすいのだけれども、今年は連日32度くらいあって異常に暑いそうだ。

 今日の宿泊者は15名くらい。東京から新幹線でMTBを輪行してきたという女性のサイクリストもいる。夕食後、ちょうどきれいな夕日が見られた。今日は全く雲がなく、水平線に沈む夕日を見ることができた。水平線に沈む夕日を見たのは初めてかもしれない。感動的な光景である。

 夜になって宿泊者全員でYHの裏の海岸へ「夜光虫」を見に行く。棒で岩をたたくと蛍のようにほのかに光り、幻想的である。海には変わった生き物がいるものだ。YHに戻り10時頃に就寝するが、扇風機がない分昨日よりさらに寝苦しい夜となった。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
63.95km 3:21:13 19.1km/h 49.0km/h 150m
佐渡金山
150m

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