1994.9.10 伊勢奥津から多気へ~伊勢本街道~

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自転車

実走日:1994年9月10日(土)
コース:伊勢奥津~上多気~仁柿峠~波多瀬~相可~多気

 名松線は2時間に一本しかないため、列車の時刻に合わせて出発時間を決めなければならない。多気14時32分発の列車に乗らなければならないので、走行時間プラス1時間30分の余裕を見て11時出発に決定。予定通り11時前に車で伊勢奥津駅に到着し、11時過ぎに出発する。ここは何度となく訪れているところだが、山の中の小さな終着駅の雰囲気が好きで非常に気に入っているところである。駅前に広い無料駐車場があり、ここを拠点にして走り回るには便利である。

 伊勢奥津駅を出発して国道368号線を東へ向かう。さすがに山の中だけあって涼しい。1kmほどで飼坂峠の上りにさしかかる。飼坂峠は標高差が100m程度だが、上りの距離が約1.5kmと短いのでかなりの勾配である。しかも最近開通したバイパスなので勾配が8%程度で一定しており、直線で上るのでかなりつらい。それでもなんとかノンストップで飼坂トンネルまで上り切った。立派な2車線道路であるが、このあたりほとんど交通量はない。飼坂トンネルは長さが700mあり、トンネルに入ってもペダルが重いところを見ると少し上りになっているようだ。トンネルを抜けると直線の下りを一気に下って国道422号線との交差点に出る。ここで左折して500mほど走り、旧街道の雰囲気を味わってみる。この道は伊勢本街道で、今もその面影が残っていて史跡も多い。とても静かなところで気に入っている。最近できたばかりと思われる美杉ふるさと資料館の前で昼食にする。

飼坂トンネル

 伊勢本街道を引き返して国道368号線に戻り、二つ目の峠を目指す。この峠も標高差は約100mあるが、アプローチが長いため上りらしい上りはほとんどなく、20km/hくらいで快調に上れる。ずっと川沿いで木陰の中の非常に気持ちの良い道である。途中道路工事でダートの箇所があり無理に乗って行ったが、上り坂でタイヤがグリップしなくて結局押す羽目になった。特に苦労することもなく峠に到着する。ここの地名はその名もズバリ「峠」である。案内板によるとこの峠はかつての伊勢本街道の上にあり、伊勢参宮で大変賑わった由緒ある峠だそうだ。またこの集落は昭和50年に廃村したそうで、今は数軒の廃屋が残るのみである。

 峠を越えると飯南町となる。この峠は美杉村側がゆるやかで飯南町側が急傾斜なのが特徴である。もっとも道は曲がりくねっているので勾配はさほどきつくない。しかし国道とは名ばかりでこの道は本当にひどい。道幅は乗用車1台分くらいしかないところもあるし、さらに路肩にはガードレールがない。もしスピードオーバーでコーナーを飛び出したら間違いなく谷底へ一直線である。ここは30km/h以上出すと危険である。もっともスピードさえ十分抑えれば本当に爽快な走りを楽しめる。ここもずっと木陰の中でとても涼しい。時々局ヶ岳などの高峰が見え隠れし、ダイナミックな景観が楽しめる。やがて上仁柿の集落に出てほっと一息である。ここからは2車線の新道もできているが、まっすぐ旧道を行った方がずっと下りなので楽である。下仁柿で新道と合流し、さらに3kmほどで国道166号線に出る。

 国道166号線は櫛田川に沿って走る2車線でやや交通量が多い。小片野あたりまでくるとスーパーなどもたくさんあり、どこにでもある郊外の風景という感じになる。やがて道が2つに分かれ、左が松阪方面へ行く国道166号線、直進が多気方面への県道である。ここで国道166号線と別れ、標識通り直進して県道に入る。最初ちょっとしたアップがあり、再び川沿いになって伊勢自動車道の下をくぐる。しかし予定では下茅原で櫛田川右岸の道に入ろうと思っていたのに、うっかりしていていつの間にか左岸の道に入ってしまっていることに気付いた。庄町のバス停で地図を見たらとっくに分岐を行き過ぎていて、橋はもう国道42号線に出るまでないのでそのまま行く。この辺は何ということはない平凡な道で淡々と走るのみである。しかもこういう時に限って向かい風でなかなか進まない。今日は大して走っていないのに疲労が足に来ているような気がする。峠で無理し過ぎたからか、重いギヤを使い過ぎたからか、それとも夏場のトレーニング不足のせいだろうか。やっと射和で国道42号線に出て橋を渡り、右岸の狭い道に入る。そしてあと4kmほどで道が行き当たったところが多気駅である。13時42分に多気駅に到着。

 輪行作業は11分で終了。最近早くなったがどうも順序が一定していないのが気になる。ギヤをトップに入れるのを忘れていたり、最初にペダルを外すのを忘れていたりでどうもスムーズでない。しばらく待って予定通り14時32分発の松阪行きに乗る。この列車は最近全国的に見られるようになったワンマン列車で1両である。このタイプの列車は後部のドアの横に輪行袋を置くのに恰好のスペースがあって都合がよい。松阪で15時09分発の伊勢奥津行きに乗換える。この列車も1両のワンマン列車である。ローカル線と言っても結構乗客は多く、ほぼ満席の状態である。最初は松阪近郊のごくありふれた平野の中を走るが、家城あたりから乗客も少なくなり本格的にローカル線らしくなってくる。家城を過ぎると上り勾配となり列車のスピードが急に落ちる。美しい渓谷を眺めながら列車は深い山の中へ入って行き、16時23分文字通り終着駅の伊勢奥津に到着。この駅も無人駅である。ここまで乗ってくるのは観光客が多いようだ。古びた木造の駅舎と旧字体で「驛津奥勢伊」と書かれた木製の看板が風格を感じさせる。JRになってから駅舎の建て替えが急速に進んでいるが、このようなひなびた駅舎はいつまでもそのまま残しておいてほしいと思う。鉄筋コンクリートの真新しい駅舎はこの山間の地には似合わない。

伊勢奥津駅

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
39.62km 1:50:29 21.5km/h 58.5km/h 430m
仁柿峠
415m
片雲の風に誘われて