1995.7.9 丹波路・原峠

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自転車

実走日:1995年7月9日(日)
コース:保野田~田原~四ッ谷~佐々江~美山~大野ダム~市場~下山~胡麻~保野田

 先週からの長雨がようやく上がって夏の太陽が顔をのぞかせた。雨で延び延びになっていた丹波路のツーリングにやっと出かけることができた。アプローチは国道9号線・八木から府道25号線経由で日吉町の殿田駅前へ。しかしカーサイクリングの常で駐車場を探すのに苦労する。しばらくうろうろしたあげく、線路沿いに2kmほど胡麻寄りに行った明治鍼灸大学前に広い駐車場があったのでそこに決める。通学用の駐車場らしいが、特に何も書いていないし、日曜日で車もほとんど止まっていないので問題はないであろう。

 出発が遅くなって11時30分頃になってしまった。車で来た道を少し引き返してJR殿田駅前まで戻る。ここで前方にレーサーを発見したが、自分とは進路が違うようだった。京北・美山の標識を見て殿田駅前の交差点を左折する。田原川沿いの道はほぼ平坦で、集落が絶えることなく続く。ごく緩い上りの割には30km/hくらいの速いペースで走れるのは追い風のせいだろうか。しかし、このツケは後でしっかり回ってきたのであった。

 四ッ谷あたりまで来ると集落もまばらになってくる。典型的な過疎の村という感じだ。丹波路を走っていると、どこか懐かしさを感じさせる風景に出会うことがよくある。ここもそんなところだ。日常の喧噪などまるで別世界の出来事に感じられるほど平和な風景である。四ッ谷を過ぎたところで最初の休憩をとり、さらに緩やかに上って佐々江の分岐点に着く。

 佐々江では美山の標識を見て左折する。ここから本日のメインイベント原峠への上りが始まる。取り付きからいきなり三段式のヘアピンカーブで上っていくが、勾配は緩やかである。すぐに道は杉林の中に入り、暑さをやわらげてくれる。あたりには樹木の香りが漂い、実に気分がよい。幅員の狭い道はほぼ等高線に沿う形で緩やかに、しかし着実に上っていく。10km/h以下に落ちるような急坂がないのがありがたい。この道は本当に峠道らしい峠道である。しかし、この上りは結構しつこい。地図で見ると峠まですぐのように見えるが、行けども行けども上りは続く。あのカーブを曲がったら峠かなと思ったらまだ上りが続いていて裏切られる。それでも何とかノンストップで上り切って、峠に着いたらヘロヘロになる。峠からは美山町側の展望が広がる。

原峠

 峠で休憩してとりあえず昼食用のおにぎりを1個だけ食べる。どうもおにぎりというのはお茶がないと食べにくいのである。残りは自動販売機のあるところまで行ってからということで下り始める。この下りもまた実にいい雰囲気である。ただカーブがきついのでかなり慎重なブレーキングを要求される。坂を下り切ると原の集落に着く。ここでは佐々江と直結する神楽坂トンネルの工事が行われている。このトンネルが開通すればいずれ原峠も忘れ去られていくのだろうか。

 さらに下っていくと茅葺き屋根の民家が現れ始める。美山町は全国的にも茅葺き民家がたくさん残っているところとして知られており、町のあちこちで見ることができる。かつては日本のどこでも見られたであろう風景だが、最近は農村も近代化が進み、どこも同じような風景になってしまった。そんな中で古き良き時代のものが残っているのはうれしい限りである。純粋に自然のものだけで作られた家は、周囲の緑の中に溶け込んで完全に自然の一部となっている。そこにあることが何の違和感も感じさせない。これこそが自然と調和して暮らしてきた日本人の原風景であろう。

 板橋付近で酒屋の前に自動販売機を見つけたので、お茶を買って昼食にする。ちょうど丸太でできた椅子も置かれていたのでもってこいの場所だった。宮脇のバス停がある分岐を左折する。ここは標識がないのでうっかりすると行き過ぎる。狭い道を最初少し上ってまた下りとなる。少し下ったところで「新田の名水」を発見し、立ち止まる。ボトルの水がぬるくなっていたので水を入れ換える。これでまた冷たい水が飲める。暑いときは思いがけず名水に出会えるとうれしいものである。

 やがて美山町役場の前を過ぎると由良川沿いの府道に出る。左折して和知方面に向かう。この道はずっと追い越し禁止の2車線区間である。このあたりの由良川は大野ダムで堰止められているため川幅が広く、流れはほとんどない。このため、別名「虹の湖」とも呼ばれている。岩肌を露出した渓谷的な眺めはなかなかダイナミックである。しかし、この道に入ってから遅々として進まない気がする。どうも向かい風ではないか。川沿いだが結構アップダウンが多く、上りになるとてきめんにスピードが落ちる。

 小渕という集落で「美山ハイマートYH」の前を通過する。このYHは昨年オープンしたばかりで一度泊まってみたいと思っていた。一応場所をチェックしておく。茅葺きの農家を改装した建物で一見普通の民家と変わらない。少し下るとやがて大野ダムに到着する。車がたくさん止まっていて売店等があるのは少々興醒めである。ちょっと先の駐車場で休憩するが、かなり時間がかかっているので早めに出発する。

 大野ダムを過ぎるとしばらく下りが続き、篠原で仏主方面への分岐を右に見てさらに直進する。ここから国道27号線に出るまでがもろに向かい風でやたら長く感じられた。国道27号線に出て左折すると方向が変わるから向かい風が止むと思いきや、相変わらずついてくる。なんてしつこい風だ。なぜ帰りにはいつも向かい風に悩まされるのだろうか。

 国道27号線は京都と若狭を結ぶ幹線道路だが比較的交通量は少ない。しかし結構アップダウンがある。向かい風の上りは最悪である。下山までの5kmがやたら長い。山陰本線の鉄橋の下をくぐり、下山グリーンハイツへの道に入る。いきなり急坂である。なぜこんなところに入るかというと、ちょっとでも近道するためである。このまま山陰本線に沿って行けば最短距離で殿田に戻れるのである。しかし予想通りというか、やっぱり道に迷った。こういう団地の中に迷い込むと方向感覚が麻痺してあらぬ方角へ行ってしまうのである。やたら坂を上って行ったあげくに行き止まり。旧道らしきものが見えたので少し引き返して何とかその道に出る。そこまでは良かったのだが、実は右折と左折を間違えて正反対に進んでいたのだった。やたら下りが続いてもとの方向に戻っているような気がしたのでおかしいと思い、地図で確認する。しかし、この地図が2輪車ツーリングマップのため、そんな細かいところまでわからない。もうこの際勘に頼るしかないということで、一度下った道をまた上り直す。何という無駄だ。結局、本来の道を逆走していたのだった。少し行くと胡麻の標識があり、間違っていないことを確信した。

 少し上りが続き、日吉町に入ると京都・園部の標識があったのでそれに従って左折したがどうも様子がおかしい。本来、線路に沿って行くはずなのにどんどん山の方に向かっている。しかも新しくできた感じのする広域農道だ。また道を間違えたと思い、とりあえず線路の方向に向かって下ってみる。しばらく下ると商店街があって胡麻駅前に出た。どうもこれが本来の道らしい。少し慣れてくると昔ながらの道かそうでないかは直感でわかるものである。昔ながらの道というのは概して一本道であることが多い。 とんだロスをしてしまったが、胡麻から先は一本道で快調。15時40分頃、車のデポ地点に到着した。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
64.01km 2:56:41 21.7km/h 44.5km/h 430m
原峠
310m
片雲の風に誘われて