1996.4.28 新緑の北川村と馬路村

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自転車

実走日:1996年4月28日(日)
コース:野友~二又~久木~馬路~船倉~安田~北町~野友

 四国上陸二日目、今日も朝から快晴だ。室戸岬の最御崎寺YHを8時に出発し、車で国道55号線を奈半利村へ向かう。山あいの北川村から馬路村にかけては前から行ってみたいと思っていたところであった。9時頃奈半利村に着くが、駐車できる場所が見つからない。しかたなく国道493号線を北川方面に向かう。なるべく標高の低い地点にデポしたかったのだが、結局4kmほど入った北川村役場の近くにある橋のたもとにデポすることになった。しかし全く期待していなかったコンビニを見つけたので食料を調達できた。

 9時半頃野友の橋を出発し、奈半利川に沿って国道493号線をさかのぼって行く。ちなみにこれは今まで走った国道の中で最も番号の大きな国道である。川沿いには発電所があり、3kmほど行ったところには中岡晋太郎の生家があるが、少し寄り道になるので立ち寄らなかった。川沿いの道はゆるやかな上りできわめて快適である。まぶしいばかりの新緑の中を行く。特にカエデの新緑が美しい。絶えず鶯の声が聞こえ、春の歓びを全身で表しているかのようだ。土佐路はいま最も美しい季節を迎えた。

奈半利川

 ゆるい上りにもかかわらず、なぜか25km/hを越えるハイペースで走れるのは追い風のせいだろうか。それにしても今日は天気が良すぎて夏のような暑さだ。和田の集落を過ぎ、小島の北川温泉森林センターを過ぎると急に勾配がきつくなってくる。きつい上りが1kmほど続いたかと思うと平鍋ダムが見えた。この上りはダムがあるためだった。ダム湖を回るようにして少し下っていくと平鍋の集落に到着する。季節柄、鯉のぼりがたくさん見られる。街の中ではなく、新緑に映える鯉のぼりは実に風情がある。

平鍋付近

 平鍋の集落を過ぎると川の上流に向かうにもかかわらず、なぜかまた下りになる。こういう下りはまた上らなければならないことがわかっているので全然うれしくない。やがて落合の分岐点に着いた。ここで東洋町方面に向かう国道と別れて魚梁瀬方面に向かう県道に入る。さらに奈半利川に沿ってゆるやかに上っていく。相変わらず道幅は狭く、交通量は少ない。やがて馬、島という変わった地名の集落に着く。もう昼なのでそろそろ昼食にしたいと思うが、なかなか適当な場所が見つからない。この先自動販売機など期待できそうにないのでとりあえず昼食用にお茶を買っておく。そしてさらに上流へさかのぼって行くがやはりいい場所がないので、しかたなく轟の手前の道端で昼食にする。

 昼食を済ませてからさらに上りにとりかかる。この先久木ダムの手前で最もきつい上りが待っているはずだ。短いトンネル2本を抜け、深い木立の中を久木へと上っていく。 久木からはやはりきつい上りになったが、それも1kmほどで終わり、やがて久木ダムが見えてきた。ずいぶん下の方にダムが見える。ここは魚梁瀬方面との分岐になっていて「魚梁瀬7km」の標識がある。 ここからは魚梁瀬ダムは見えない。魚梁瀬は日本三大美林の一つに数えられている。たまに通る車は魚梁瀬の方へ行くことが多いようだ。馬路への道は上ってきた道を180度折り返すような形で続いている。

久木ダム付近

 この先久木トンネルへはまだ上りが続くと予想していたのだが、予想に反してほぼ水平だった。 わずか2kmほどの間だったが、それは新緑に包まれた素晴らしい水平道であった。こんな気持ちのいい道にはなかなか出会えないものだ。地図に載っている手前の短いトンネルは通った記憶がなく、ほぼ水平のまま最高地点の新久木トンネルに入った。実にあっけないくらいであった。

新久木トンネル

 峠のトンネルを抜けるといよいよ馬路村に入る。実に快適な下りが続く。こういうときはあまり止まりたくないが、新緑があまりにもきれいだったので写真を撮っておく。

東川付近の新緑のカエデ

 かなり下った馬路地区には三角屋根の物産センターがある。そこからもう少し下ると馬路村の中心地である馬路温泉に着く。ちょっとした高台から馬路の町並みを見下ろすことができる。馬路は杉の産地だけあって木材の加工場が多い。

馬路付近

 馬路の町を過ぎると今度は安田川沿いにゆるやかに下っていく。この川もまた美しい清流である。国道55号線と村の中心をつないでいるだけあって、この道は国道493号線に比べるとやや交通量が多いようだ。やがて馬路村を後にして安田町に入る。あとは太平洋に出るまでゆるやかに下っていくだけなのだが、向かい風が強くて下りにもかかわらずなかなか進まない。上りで向かい風になるよりはまだましだが。前半あれだけペースが速かったのはやはり追い風のせいだったのだ。安田町に入ってからがずいぶん長い。

安田川

 河口が近づくにつれて山が開けてきて、海が近づいたことを感じる。しかし相変わらず向かい風が強くてなかなか進まない。道が平坦になりだしてからずいぶん長かった。安田の市街地に入り、ようやく国道55号線に合流する。安田の交差点を左折して奈半利方面に向かう。市街地なのでかなり交通量が多い。1km少々走ると田野町に入る。最初この町が存在することを全く知らなかった。安田町と奈半利町の間に挟まれた非常に小さな町である。

 田野町の役場前で国道55号線を離れ、奈半利川右岸の道に入る。あと5kmほどで出発点の野友に戻れるが、ゆるい上り坂でずいぶん長く感じる。最近都会ではあまり見かけなくなった鯉のぼりだが、この辺は実に鯉のぼりが多い。これほど多くの鯉のぼりを今まで見たことがない。しかもこの地方独特の風習なのか、どの家にも鮮やかな絵を描いた大きな四角い旗が一番下に揚げられている。ずいぶん長かったが、やがて見覚えのある橋が見えてきて出発点に戻ってきた。地図上の計算では総距離は約64kmと見積もっていたのだが、サイクルコンピュータを見ると72kmを示していて8kmも長かった。2時半頃次の宿泊地定福寺YHに向けて出発する。

野友の橋

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
72.74km 3:28:09 20.9km/h 37.9km/h 400m
新久木トンネル
400m
片雲の風に誘われて