2002.11.29 押しと担ぎの山の辺の道ポタリング

スポンサーリンク
自転車

実走日:2002年11月29日(金)
コース:天理~石上神宮~夜都岐神社~長岳寺~景行天皇陵~桧原神社~大神神社~三輪

 山の辺の道は部分的には何度も歩いているが、天理~三輪間を通しで歩いたことは一度もなかった。このコースは歩けば一日がかりとなるので結構大変である。しかし自転車ならば半日くらいで行けるだろうと急遽思い立って、小春日和に恵まれた初冬の一日に実行する。山の辺の道は車も通る舗装路と山道が入り混じっていて、もちろん自転車で全線走破するのは無理である。そこを無謀にも完全オンロード仕様のMR-4Fで突破することにする。乗れない部分は押したり担いだりすればよい。軽量なMR-4Fなら担ぐのも楽々だ。半分ハイキングのつもりで行こう。

 10:30に自宅を出発。国道25号を東進して石上神宮前のローソンで昼食を調達。店から出てきたら作業員風のおっちゃんに「珍しいロードやなぁ」と声をかけられる。やっぱりMR-4Fはかなり目を引いてしまうらしい。昔ロードに乗ってたとかでやけに詳しい。自転車を眺めながらいろいろ感心していた。それで10分くらい立ち話して、石上神宮へ向かう。参道は自転車を押して歩き、拝殿前で写真を撮る。池の前には休憩所があって、名残の紅葉がきれいだ。

石上神宮
 池の横を通って境内を抜けると狭い舗装路に出て国道25号の下をくぐる。そして左へ折れると間もなく永久寺跡に着く。

永久寺跡付近

 永久寺跡といっても今は池があるだけで何も残っていない。そこからしばらくいい感じの細い舗装路が続く。この辺は完全な山の中で、結構きつい上りが続く。園原町に下る手前は石畳の急坂でさすがにここは降りて歩く。天理観光農園を過ぎて広い車道を少し下り、左折してまた細い道に入る。少し押しも入って夜都岐神社の前に出る。

茅葺き屋根の夜都岐神社

 鳥居の前には歌碑が立ち、小さな池がある。鳥居をくぐって境内に入ってみると茅葺きの素朴な拝殿がある。池の前にある名残の紅葉がきれいだった。夜都岐神社からは古い町並みの中の舗装路を走る。このあたりはとても趣がある。町並みを抜けると田んぼの中の細い舗装路となり、間もなく竹之内町に着く。ここは環壕集落があったことで知られている。

竹之内町~萱生町間にて

 竹之内町でいったん車道を横切り、直線状の舗装路を快走する。右手を見ると田んぼには稲架掛けの藁がたくさん並んでいた。この藁の束ね方は地方によっていろいろなスタイルがあり面白い。やがて萱生町に入ると池の向こうにこんもりとしたミカン畑が目に入る。この丘も実は古墳なのだ。このあたりは古墳が果樹園となっているところが多い。

 萱生町の町並みを抜け、墓地の中を通り抜けると衾田陵の前に出る。ここには柿本人麻呂の歌碑が立ち、向こうに青垣の山々を見渡す絶好のビューポイントとなっている。

柿本人麻呂の歌碑が立つ衾田陵付近

 大和神社の横を過ぎ、中山町に入るとこんな黄色い実をいっぱい付けた木が目に入った。これはいったい何の木だろうか? 車道を横切ってクランク状に曲がり、道標に導かれて長岳寺の門前に着く。

謎の実?

 長岳寺は道から少し遠いので境内には入らず、遠くから写真だけ撮る。門前には最近オープンした天理市トレイルセンターの真新しい建物がある。ここは無料の休憩施設で、山の辺の道に関する資料が展示されている。パンフレットももらえるので一度立ち寄ってみるとよい。

天理市トレイルセンター

 長岳寺を過ぎると崇神天皇陵の横を回り込み、石畳を押して上っていく。すると溜め池があるが、なぜか水がなくなっていた。崇神天皇陵を少し過ぎたところに休憩所があるのでここで昼食をとる。

 休憩所から少し行くと白壁の立派な民家があって川を渡る箇所があるが、そこは180度折り返してとても上れないような急坂なので押し上げる。上りきってから民家の間を抜けるといったん車道と交差してクランク状に曲がる。このあたりから穴師までの間が佳境とも言うべき最も景色の良いところである。至るところに柿の無人販売が見られる。

渋谷町付近の無人販売

 景行天皇陵の横まで来ると向こうに三輪山が大きく見えてくる。東側には刈り入れの終わった田んぼが広がり、のどかな里山風景が広がっている。

景行天皇陵付近の里山風景

 景行天皇陵を過ぎて穴師へ向かう道は三輪山が最も美しく見えるところ。ダートだけれども路面はよく締まってロードでも難なく走れる。傍らには額田王の歌碑が立っている。

額田王の歌碑と三輪山

 直線の道を抜けると穴師の集落に入る。ここで少々道がわかりにくくなり、間違えて笠へ至る県道に出てしまった。正規のルートは集落内の細い道を抜けているようだ。そのまま県道を少し上って再び正規のルートに合流。というよりここは県道がそのまま山の辺の道となっている。 ダラダラ坂を三輪山の裾まで上って鋭角に折り返し、ダートの道に入る。ここからは山の斜面に沿ったほぼ水平な道で、路面もよく締まって走りやすい。すぐ横にはミカン畑が広がり、少し高台にあるので西側の眺めも良い。ダートの道を気持ちよく走っていると間もなく桧原神社に到着。大注連縄から見る夕日が有名なところだ。

桧原神社

 桧原神社からは道はシングルトラックとなり、ずっと押して歩く。少し下り坂になったところは鬱蒼とした林に包まれている。おそらくこのあたりは古代からそのまま変わっていないのであろう。少し下ると「山邊道」と刻まれた石碑がある。ここは写真家の入江泰吉氏も撮影した有名なポイントである。

玄賓庵への道

 もう少し行くと鬱蒼とした林の中に忽然と玄賓庵が現れる。周りは白壁の塀に覆われて風格がある。山門前には石畳が敷かれ、落葉が降り積もっていた。

玄賓庵前の白壁と落葉積もる石畳

 玄賓庵から先は石畳がずっと続き、押しっぱなしとなる。かなり歩いた頃、 狭井神社に到着。境内は鬱蒼とした林に覆われ、荘厳な雰囲気が漂っている。 狭井神社を過ぎるとようやく乗れるようになり、三輪の町並みへ入っていく。

狭井神社

 若宮社の鳥居前を直角に左折すると大神神社の参道に出る。さすがに三輪そうめんの店が多い。

大神神社界隈

 そしていよいよ山の辺の道の終着点・大神神社に到着。ここは三輪山そのものを御神体とする古代信仰の発祥地である。他の神社よりもひときわ大きく、風格を漂わせている。

大神神社参道

 14:25の電車が出たところなので、少し時間調整してから三輪駅へ向かう。こんな距離で輪行したら笑われそうだが、たまには輪行しないとやり方を忘れてしまうのだ。なかなかファスナーが閉まらなかったりして相変わらず要領が悪い。それでも10分で作業完了。やっぱりフォールディングバイクは便利だ。14:53の電車で天理まで輪行帰宅。平均速度を見ると9.1km/hであった。かなり歩いたような気がするが、それでも徒歩の倍以上は速い。たまにはカメラ片手にのんびりしたポタリングもいいだろう。それにしてもMR-4Fを買ってから本格的に輪行したのは一度だけで、あとはこんな近距離輪行ばっかりだなぁ。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
14.63km 1:36:08 9.1km/h 31.5km/h 155m
園原町
95m
片雲の風に誘われて