2003.4.28 室戸岬ツーリング(3日目)

スポンサーリンク
自転車

実走日:2003年4月28日(月)
コース:日和佐=(輪行)=宍喰~東洋町~室戸岬~羽根岬~奈半利=(輪行)=高知

 今日も朝から快晴だ。コンビニで調達しておいたおにぎりを食べて8時過ぎに日和佐YHを出発。今日はまず日和佐駅から8:52の列車で宍喰まで輪行する。本当は室戸岬の最御崎寺YHに泊まりたかったのだが、4月末まで休館中とのことで泊まれなかったのだ。それで計画を変更し、一気に高知まで行ってしまうことにした。しかしそれでは距離が100kmを超えてしまい、かなりハードなスケジュールとなる。そこで少々ズルをかまして宍喰まで輪行でショートカットすることにしたのだ。これで約30kmの短縮となる。しかもこの区間は山越えであまり見るべきところもなく面白くない。

海部行き普通列車

 と、とにかく理屈を付けて海部行きの普通列車に乗り込む。車内はガラガラで乗っているのはほとんどお遍路さんばかり。ローカル線の雰囲気満点である。この車両は運転席の後ろまで座席があるため意外と輪行袋を置く場所に困り、写真のようにドア横の手すりにくくりつけて固定した。

輪行中のMR-4F

 海部で阿佐海岸鉄道と6分で連絡しており、一両編成の気動車に乗り換える。車内はお遍路さん専用列車みたいな感じだった。わずか一駅だけ乗って宍喰駅で降りる。9:46到着。高架になっていて近代的な造りの駅舎である。自転車を組み立てて、国道55号に出たところにあるサンクスで昼食とポカリを調達。そして店から出てくるとタイミング良く昨日会ったJimmy&ayacoさんとバッタリ再会した。昨日は牟岐で泊まっていたらしい。これから宍喰温泉に入るということで、しばし雑談して見送る。

 ここから甲浦へは国道55号を行けばトンネルを抜けて近いが、あえてトンネルを迂回し、左側の海岸線を行く。宍喰大橋を渡ってすぐ、一旦右折して橋の下を回り込んで県道に入る。山に入るとすぐに化石蓮痕という地質学上貴重な露頭がある。板のように張り出した露岩の表面に波によって浸食された凹凸がはっきりと残っている。そこからもう少し行くと「水床湾」の看板があり、パッと海の風景が開ける。そこは小島が浮かび、エメラルドグリーンのとてもきれいな海。風光明媚と呼ぶにふさわしく、やっぱりこちらへ回ってきた甲斐があった。「国民宿舎みとこ荘」への道を左に見てもう少し上ると竹ヶ島への分岐があるが、そちらへは行かず国道55号に下る。

水床湾にて

 下りきったところは水床トンネルの出口で、すぐ前に高知県との県境がある。いよいよこれから土佐路となる。すぐ甲浦大橋を渡り、白浜海水浴場を過ぎるとしばらくアップダウンやトンネルの続く道となる。次の大きな集落である野根を過ぎ、伏越ノ鼻と呼ばれる小ピークを越えると淀ヶ磯の長い長い海岸線が始まる。

これより土佐路

 淀ヶ磯はかつては交通の難所として知られ、風の強い日には岩が波によって動かされ、ゴロゴロと音を立てることもあるという。室戸市の佐喜浜までは民家が全くなく、潮騒だけが聞こえる全くの無人地帯が続く。岬が幾重にも重なり、どこまで行っても同じ景色を見ているような錯覚にとらわれる。しかしこんな寂しい場所でもいったい何人のお遍路さんを見たことだろう。自転車なら数時間で通過する道も、歩きでは丸一日かかっても次の札所にたどり着かない。こんなところくらいバスに乗っても良さそうなものを歩き通すとはいったいどのくらい強固な意志が必要なのだろう。歩き遍路さんに敬意を表しながら何人も追い越していった。途中水場があったのでちょっと休憩していく。

淀ヶ磯

国道55号クロイソ付近

 この区間は結構アップダウンもあるので疲れる。ガードレールに1kmごとにキロポストが設置されているが、1kmがやけに長く感じる。室戸市に入り、佐喜浜まで来るとようやく人家が現れてくる。何かほっとした感じがする。12時を過ぎ、そろそろ昼食にしたいのだがなかなか適当な場所がない。折しも向かい風が強くなってきてなかなか進まない。佐喜浜の集落を抜ける頃にはかなり疲れが出てきてしまった。なかなかベンチのありそうな場所などはなく、尾崎付近で海岸に降りられる場所があったのでやっとそこで昼食にする。

 海を見ていると結構波が高く、海岸ではたくさんの若者がサーフィンを楽しんでいた。そこで30分くらい休憩して再出発。しかしその間に向かい風がますます強くなっていて足が重い。そこから2kmほど進んだ鹿岡鼻という場所に「夫婦岩」がある。道端で自転車の二人が休憩していたのでよく見るとJimmy&ayacoさんであった。食事している間に追い越されたらしい。向かい風が強いなぁという話をしながら健闘を祈って別れる。

尾崎の海岸にて。向こうに見えるは夫婦岩。

 この辺まで来るとようやく室戸岬が遠くに見えてくる。しかし相変わらず向かい風との戦いだ。庭先の鯉のぼりが南に向かって元気良く泳いでいる。ということはまともに向かい風なのだ。これはもう観念するしかない。先を急がず、16km/hの低速走行を維持しながらのんびり走る。これではずっと坂を上っているのと同じだ。向かい風ほど辛いものはない。三津まで来ると室戸岬がかなり大きく見えてくる。でもなかなか進まない。

室戸市三津付近。室戸岬が見える。

 向かい風と戦いつつ、高岡まで来ると白亜の青年大師像が見えてきた。弘法大師が悟りを開かれたというゆかりの地である。ここまで来ればもう室戸岬の一角である。見事な岩礁が続き、海岸には遊歩道が付けられている。

青年大師像

 そしてついに中岡晋太郎像が立つ室戸岬に到達。時間は午後2時頃であった。予定より1時間ほど遅れている。ここで日和佐YHで一緒だったスイス人の青年と遭遇。自分は輪行でズルしたにもかかわらず、もう追いつかれてしまった。しかし長身の外人さんがロードレーサーに乗ってるとカッコ良く見えるなぁ。彼は高知まで行くみたいで猛スピードで走り去っていった。

中岡晋太郎像

 室戸岬は過去に二度ほど来たことがあるので観光はそこそこにして2時半頃出発する。ここから奈半利までは約30kmあるので、今から出れば16:06の列車に間に合うかどうか微妙なところだ。しかし輪行準備の時間を含めるとおそらく休憩なしで走り続けなければ無理と思われる。どうせフェリーは夜遅いので急ぐことはない。急いで結局間に合わなかったら悔しいので一本遅らせて17:15の列車に乗ることにしよう。

室戸岬の岩礁

 室戸岬を回り込むと進行方向が北西に変わる。これで追い風になるかと期待したのだが、確かに楽にはなったもののあまりスピードは上がらない。風そのものがほとんどなくなってしまったようだ。室戸スカイラインとの分岐を過ぎて4kmほど行くと室戸の市街に入る。ここでは国道を外れ、左の旧道に入ってみる。この方がちょっとだけ近い。旧道沿いには二十五番札所の津照寺がある。そして再び国道55号に戻るが、室戸市街を過ぎてからは交通量が多くなってくる。あと4kmほどで行当岬に着く。

行当岬を望む

 行当岬を回ったところに道の駅「キラメッセ室戸」があり、時間調整の意味もあって約15分休憩。そこから3kmほど進むと吉良川の集落がある。ここは古い街並みが残っているところで、国道を外れて旧道に入ってみる。約2kmほどの間、雰囲気の良い旧道を楽しんだ。

羽根岬にて

 再び国道に戻り、羽根川を渡ったあたりで海岸に公園を見つけ、またちょっと休憩。もう羽根岬はすぐ前に見えている。15分ほど時間調整して出発する。すぐに羽根岬を回り、いよいよ奈半利の街並みが見えてくる。あと7kmくらいのラストスパートだ。しかしここへ来てなぜかまた向かい風になってきた。足もかなり売り切れ気味で20km/hよりペースが上がらない。 結構アップダウンも多くて嫌になる。何とか奈半利の市街に入り、まだ時間があるので自販機前でコーヒーを飲んでちょっと休憩。そして駅へ向かうが、最近できたばかりなので地図には載っていない。役場を過ぎてもまだ駅は見つからないので不安に思っていたが、中学校の角のところに標識があってやっと見つかった。午後3時半頃、最終目的地の奈半利駅に到着。

近代的な奈半利駅

 土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線はJR土讃本線の後免駅と奈半利を結ぶ鉄道で、2002年7月に開業したばかりである。全線が高架で駅舎も近代的な造りになっている。ホームは3階にあるが、エレベーターが設置されているので自転車を持ち上げるのも楽だ。自転車を畳んで17:15発の高知行き快速列車に乗り込む。一両編成だが車内は広々としていて輪行袋を置くスペースがふんだんにある。一番後ろの壁にくくりつけて固定する。最新鋭の気動車は乗り心地も上々。発車するとバスのようなギアチェンジ音が聞こえスムーズに加速する。気動車とは思えないスピード感だ。窓も大きくて景色もよく見える。約1時間半の列車の旅を楽しんで18:39に高知駅に到着。すでに薄暗くなっている。

土佐くろしお鉄道の気動車

 再び自転車を組み立て、食事ができそうな店を探す。しかし飲み屋ばかりで適当な店が見つからず、結局はりまや橋横のカレーハウスに落ち着く。21:20のフェリーに乗るので、20時前に店を出る。

がっかり名所の代表はりまや橋。この後パンク。

 はりまや橋とは名ばかりで実際には川などない。いわゆる「がっかり名所」の代表なのである。はりまや橋から桟橋通りをまっすぐ行くが、意外と街灯が少なくて道は暗い。ライトは不要と思って外したが、やっぱり取り付けて点灯した。そしてはりまや橋から2kmほど行った頃だろうか、後輪からガタガタと音がするので止まって見たら何とパンク。よりによってなぜこんな時にパンクするのか。夜はパンクしやすいというセオリー通り、路面に注意が行きにくくなっているのだろう。空気は完全には抜けていないようなので携帯ポンプで入れてごまかしてみるが、やっぱりすぐ抜けて駄目だった。チューブ交換するにもこの暗がりではできないし、フェリーの出航時間も迫っている。下手をすると乗り遅れかねない。このまま家まで帰っても駅からは近いので歩いても知れている。これはもう歩くしかないと判断した。しかし港まであとどのくらい距離があるのか見当が付かない。フェリー乗り場への案内板も見当たらず、歩きながら不安になる。自転車ならわずかの距離なのにもどかしい。そして行き当たりの三差路でようやくフェリー乗り場の標識があり左折する。そこからあと1kmほどであった。何とか出航40分前くらいに港に到着し切符を買う。大阪南港まで二等5,000円と自転車900円。

 大阪高知特急フェリーは21:20に高知港を出航し、疲れもあってすぐ寝てしまった。翌朝6:30定刻通り大阪南港に入港。ここでパンクを直しても良いのだが、もたもたしていると電車が混んでくるので直さずに押して駅へ向かう。しかしフェリーからニュートラムまで結構距離があった。フェリーターミナル駅で再び自転車を畳み、すぐ入ってきたニュートラムに乗り込む。他にも輪行袋を担いだ人がいた。この後、地下鉄中央線と近鉄を乗り継いで9時前に帰宅。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
74.07km 4:07:59 18.0km/h 43.0km/h 40m
水床湾付近
40m
片雲の風に誘われて