2004.5.6 伊勢南街道・高見越えツーリング

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自転車

実走日:2004年5月6日(木)
コース:榛原~菟田野~木津~波瀬~七日市~有間野~粥見~波多瀬~小片野町~下茅原~鍬形~相可~多気

 かつての伊勢街道である国道166号は奈良県側と三重県側はそれぞれ走っているが、高見トンネルを挟む杉谷~木梶間が未走のままになっていた。というのはこの区間を周回で走るためには100kmを超える山岳コースになり、輪行しない限り無理だったからだ。最近はMR-4での日帰り輪行が面白くなってきたので長年の懸案だったこのコースに挑戦することにした。本来ならば自宅から自走したいところだが、東吉野方面へ行くには西峠か女寄峠という非常に凶悪な峠を越えなければならないので、近鉄で榛原まで輪行し楽させてもらうことにした。これならば距離は90km弱、上りの標高差は300m強の手頃なコースとなる。

 JRと近鉄を乗り継いで輪行し、榛原には9時ちょうどの到着。自転車を組み立てて9:15頃に榛原駅を出発する。日帰り輪行ならば荷物はフロントバッグ1個だけで済み、背中に何もないのは気持ちがいい。ここから東吉野までは何度も通り慣れた道。NTT局舎前を過ぎて県道榛原菟田野御杖線に入る。いつものように比布のバス停のところで左折して芳野川沿いの道に入るとちょっとだけ楽だ。しかし何度も通ってるはずなのにいつも迷ってしまう。まっすぐ行くと内牧方面へ行ってしまうが、途中で右折するところがわかりにくい。楽するはずなのにちょっとうろうろしてしまって時間ロス。芳野川右岸沿いに走っていって宇太水分神社前の旧道を通って国道166号に出る。松井のローソンに寄って食料を調達。ここのローソンはおにぎり売り切れでいつも泣かされているが、今日は珍しくあった。ここが最後のコンビニになるので貴重なのだ。あとは佐倉峠までゆるやかに上っていく。特にきついところもなく、ウォーミングアップには最適だ。難なく佐倉峠を越えて一気にダウンヒル。こちら側の下りは結構きつい。ここでよく最高速度記録を出しているのだが、さすがにMR-4だと安定感がなくちょっと怖いので50km/h程度で抑えておく。鷲家トンネルまで下り切ると新木津トンネルまでまた上りとなるが、これが結構つらい。新木津トンネルを抜ければ秀麗な高見山が眼前に現れる。

木津付近より高見山を望む

 ここから平野方面との分岐までは平坦で、いつ走っても気持ちのいい道だ。県道吉野室生寺針線との分岐で新道と旧道に分かれるが、今日は新道を行く。どちらを通っても高度的には同じ。このあたりから高見峠への上り勾配が始まっている。杉谷の高見山登山口には売店とトイレがあるが、今は売店も閉まっている。そして神社の赤い橋を過ぎればいよいよ本格的な上りが始まる。道は杉谷川をまたいで大きく左にカーブしながら上っていく。勾配はだいだい6%くらいで一定しており、それほどきついところはないので上りやすい峠だ。杉谷から先、県境を挟む区間は本当に交通量が少ない。だいぶ道が改良されたとはいえ、県境を越えた人の流れが少ないということだろう。トンネルが開通した今も台高山脈が奈良県と三重県を分断していることには変わりない。

高見トンネルへの上り

 杉谷から約150m上ると、短い新杉谷トンネルが見えてくる。それを抜ければ高見トンネルはもう目の前だ。トンネル入口には開通記念碑と休憩所がある。ヘッドランプとテールランプを点灯して、自転車では初めての高見トンネルに突入。このトンネルは長さが2470mもあり、新川合トンネルが開通するまでは奈良県最長のトンネルだった。奈良県側からは右側に幅の広い歩道があるのでそちらに移る。ところが歩道は凹凸や漏水のため大変走りづらく、車もめったに来ないのですぐ左側の車道に降りる。やっぱりこちらの方がよっぽど走りやすい。このトンネルは中央から三重県側にかけてやや下りになっているため、40km/h以上の高速で走り抜ける。トンネルを抜ければこれより伊勢路、待望の長い下りが始まる。

 トンネルからすぐ高見峠ループ橋に入る。もちろんここを走るのも自転車では初めて。一度ここを走ってみたかったのだ。ジェットコースターのような豪快な下り、自転車からだと眺めもいい。ループ橋の下をくぐれば間もなく木梶の集落に入る。下りはなおも続き、波瀬まではあっという間だ。

国道166号・高見峠ループ橋

 波瀬の郵便局前でちょっと休憩し、また快調に飛ばし始める。この先勾配はぐっとゆるくなるが、やはり川に沿って下り基調だから楽なことには違いない。このあたりも改良が進んで完全2車線になってしまったが、交通量が少なくとても走りやすい。快走ロードと呼ぶにふさわしい道だ。今日は風も爽やかでとても気持ちがいい。ちょうど正午頃、県道蓮峡線との分岐となる森の交差点に到着。ここに「もり公園」という小さな公園があるので、東屋の下で昼食にする。

国道166号・乙栗子付近

 休憩後12:20頃、再び出発する。いつも昼食の後は心なしか足が重い。ここから先は下り勾配がほどんどなくなり、時々上りも出てくる。それに加えてかなり強い東風が吹いてきた。これはひょっとすると終始向かい風に苦しめられるのではないだろうか。このあたりから正面に三峰山の雄大な山稜が見える。七日市から栗野にかけては今もなお1.5車線区間が残っている。

栗野付近に残る1.5車線区間

 九十九曲の狭い区間を抜ければ再び2車線となり、田引地区に入る。やや長い田引トンネルを抜ければ赤桶で国道422号と分岐し、作滝地区に入る。櫛田川が蛇行する部分は切り立った岩肌が迫る渓流となっており、とてもダイナミックな眺めだ。そこを過ぎれば再び櫛田川を渡り、間もなく道の駅飯高に到着する。ここでまたちょっと休憩。すぐ隣は役場となっている。高見トンネルを抜ければ飯高町なのだが、役場は飯南町との境のほぼ近くにあり、ここまでずいぶん長い。

 道の駅で小休止して走り出すが、ますます向かい風が強くなってきたように思う。道の駅から1kmほど先の黄色い橋を渡り、対岸の県道片野飯高線に入る。橋を渡ればもう飯南町だ。この先の国道166号はアップダウンが多くなり、交通量も次第に増えてくるので、右岸の県道がおすすめだ。

道の駅を過ぎてこの黄色い橋を渡る

 有間野付近からは田植えが済んだばかりの水田の向こうに局ヶ岳の雄姿を望める。こちら側の道はアップダウンが少なくて走りやすい。向粥見付近からは鬱蒼とした林間の道となり、夏場は木陰が気持ちいいところだ。

水田と局ヶ岳・有間野付近にて

 本郷で突き当たる形になり、左折して橋を渡る。まっすぐ行けば粥見で再び国道166号に合流する。国道368号との分岐にある道の駅茶倉を過ぎ、生辺付近にある千歳橋を渡る。ここからもやはり対岸の道を走った方が交通量やアップダウンが少なくて走りやすい。実はこの道は出発直前にcancanさんから教えてもらった。

本郷の橋から見た櫛田川

 橋を渡ってから入口がわかりにくく、行き過ぎて生辺の集落まで入ってしまった。あまりに道が狭すぎて気づかなかったが、入口は橋を渡った直後にある。しばらく林間の気持ちいい1車線道が続く。この道は近畿自然歩道にもなっているようだ。そして林間を抜ければ右側から疎水の流れが近づいてきて、この先ずっと疎水に並行して走る。ということはアップダウンがほとんどないということで実に快適な道だ。波多瀬付近には茶畑が広がり、向かいには白猪山がそびえている。実にいい眺めだ。対岸の国道は結構交通量が多く、こちらに来て大正解だったと思う。波多瀬を過ぎると二つほど分岐があるが、いずれも左へとっていけば自然に国道に出られる。

疎水沿いの道・波多瀬付近

 再び国道166号に戻り、小片野町でスーパーがあったので店頭の自販機でポカリ500mlを調達。この先、Y字形の交差点で県道小片野駅部田線と分岐する。左にとれば松阪で、帰りの便を考えるとこちらの方が便利だが、少し上り返しがあるのと交通量が多いのでやはり多気へ向かうことにする。分岐を右にとって長く走ってきた国道166号とお別れする。このあたりから帰りの列車の時刻が気になり始める。今からだと多気発14:43の列車に間に合うかどうかは微妙なところだ。これに乗れれば接続良く帰れるのだが、相当急がないと間に合わない。ちょっとした峠を越えて上茅原で六呂木川沿いに出る。さらに下って下茅原の郵便局手前の斜め分岐を右に入れば県道茅原丹生線となる。実はこの付近、過去に伊勢本街道ツーリングで一度走っており、その時は分岐を見落として対岸の県道小片野駅部田線を走ってしまった。この分岐は標識がなく大変わかりにくい。前回ミスコースした悔しさがあるので、今回はしっかり立ち止まって地図を確認した。都留で櫛田川を渡り、ほぼまっすぐに走って伊勢自動車道の下をくぐると県道勢和兄国松阪線となる。この先は櫛田川右岸に沿ってほぼ平坦な道が続くが、かなり強い東風に苦しめられている。このペースでは14:43の列車はとても無理だろうとこの時点であきらめる。井内林を過ぎればもう町中の道。三疋田、四疋田と面白い町名が続く。

県道勢和兄国松阪線・鍬形付近

 そして国道42号を挟んで伊勢本街道の相可宿が続く。このあたりはやはりしっとりとした町並みがいい。国道42号のバイパス下をくぐると右から紀勢本線が並行してきて、相可から来る2車線の道に合流する。左にとってまっすぐ行けば間もなく兄国(えくに)地区に入る。ちなみにJRを挟んで向こう側には「弟国」という地名があり、何か興味深い。兄国を過ぎれば間もなく佐奈川を渡り、多気駅まで一直線である。15時ちょっと前に到着した。今からだと15:34の列車になる。ゆっくり自転車を畳んで列車を待つ。

相可の町並み

 多気駅は駅員配置駅だが、切符の自動販売機がなく、たとえ松阪までであっても窓口で切符を買うのは今どき珍しい。駅員さんがコンピュータに入力して名刺大の切符を発行してくれる。何かちょっと得したような気分。この後、松阪と桜井で約30分の待ち時間があり接続が悪いが、それでも18時半頃には家に帰れた。この方面のツーリングは近鉄を利用すればとても便利なのだ。最後は向かい風に苦しめられたが、90km近く走った疲労はほとんどない。長年の懸案を実現できて充実した一日だった。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
88.95km 4:20:18 20.5km/h 51.5km/h 630m
高見トンネル西口
615m
片雲の風に誘われて