2004.5.25 鯖街道と京都北山ツーリング

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自転車

実走日:2004年5月25日(火)
コース:安曇川~市場~葛川梅ノ木町~久多~能見~広河原~大布施~周山~魚ヶ渕~中地~神吉~八木

 このコースはもともと10年くらい前から構想はあったのだが、往復の輪行が不可欠となるため長い間実現できずにいた。最近MR-4での輪行もかなり慣れてきたので、そろそろ行ってみようかという気になった。かなり長距離になるため、日の長いこの時期に行っておかなければまたチャンスを逃してしまう。折しも今日は文句なしの快晴で絶好のツーリング日和だ。平日とあって混雑が予想されるため、6時台の一番早い急行で出発したが、それでも京都に近づくにつれてかなり混んできた。といってもまだ空間は十分にある。あと一本遅らせればもう駄目だろう。京都7:07発の湖西線に乗り換えて7:57に安曇川駅に到着。

 自転車を組み立てて8:15頃安曇川駅を出発。駅西側の通りを北へ進み、五番領の交差点を左折して県道小浜朽木高島線に入る。ところがいきなり強い北西の風にあおられてまともに向かい風。これでは上り坂と同じだ。ぜんぜん進まない。この道は若狭方面と結ぶメインのルートであることから結構交通量もある。長尾あたりまではひたすら向かい風に耐えて進むしかなかった。長尾を過ぎると山間に入り、ゆるやかな上り坂となる。荒川橋のたもとにある休憩所で最初の休憩をとる。

県道小浜朽木高島線・荒川橋

 10分ほど休んで安曇川の蛇行部分に入る。ここまで来ると進行方向が変わるのでやっと向かい風から解放された。上荒川から先は川の左岸を通るバイパスができている。何気なく走っていると自然にこちらへ入ってしまう。予定では朽木の中心部を通らずに対岸の道を走ることになっているので、朽木ゴルフ場の看板があるところで橋を渡って対岸に移る。ここから宮前坊の集落までほぼ一直線の気持ちいい道が続く。坊で市場方面から来る道と合流してそのまま国道の対岸道を進む。多少のアップダウンはあるが、交通量はほとんどなく、木陰の中の感じの良い道である。まっすぐ行けば桑野橋で国道367号と合流する。

朽木村宮前坊付近

 国道367号に入ると安曇川沿いにゆるやかに上っていく。新緑に包まれた山々が美しい。鯖街道を走るのはこれで3回目くらいだが、上り方向はこれが初めてである。土日は結構交通量があるのだろうが、今日は車は少ない。朽木村内の国道沿いには随所に休憩所があって観光客の便宜を図っている。村井、栃生と集落を過ぎ、大津市葛川地区に入る。梅ノ木町の橋を渡って県道麻生古屋梅ノ木線に入るが、この分岐は標識がなく、うっかりすると見過ごしてしまう。「朽木渓流センター」の看板が目印だ。

国道367号・栃生付近

 県道麻生古屋梅ノ木線に入るといきなり10%くらいの急坂が続く。以前にも下りで一度通っているはずだが、こんなにきつい印象はなかった。予期しなかった急坂に苦しめられる。おそらくここが全コース中で最もきつい上りだろう。幸い長くは続かず、60mほど上って川合町の分岐で上りは落ち着く。ここからは初めての道となる。川合町を過ぎ、久多川沿いに上っていくとやがて久多の集落に入る。このあたり茅葺き屋根の民家が多く残っている。こんなのどかなところでも京都市左京区なのだ。上の町方面への道を右に見て大谷川沿いにゆるやかに上っていくと集落のはずれに立派な茅葺きの民家がある。ここは物産販売センターとして使われているようだ。

久多集落の茅葺き民家

 茅葺き民家を過ぎたところから能見峠への本格的な上りが始まる。谷を詰めるきつい上りが終わったところで大きく右へカーブし、斜面を這い上がっていく。少し上ったヘアピンのところから先ほどの茅葺き民家のあたりがよく見える。この時点ですでに100m上っている。この先も山腹に沿って上っていくが、それほど急なところはない。上るにつれて展望が開け、とても楽しい上りだ。久多の集落がはるか眼下に見えるところがあったので写真を撮っていたら、そのすぐ上がもう峠だった。何かあっけないほど簡単に着いた感じだ。能見峠からは南東方向に展望が開け、京都北山や久多の集落の眺めが素晴らしい。ちょうど昼なのでここで昼食をとりながら休憩する。通る車もほとんどなく、全くの静寂に包まれる。実に贅沢な時間だ。

能見峠

 30分ほど休憩して去りがたい峠を後にする。能見側の下りは比較的短く、すぐに川沿いのゆるい勾配となる。北山杉の美林の中を行く雰囲気のいい道だ。

北山杉の美林を行く

 林間を抜けると能見の集落に着く。このあたりも茅葺き民家が点在している。すっかり風景に溶け込んでいる感じだ。

府道久多広河原線・能見付近

 そのまま川沿いに下っていけば広河原で府道京都広河原美山線に合流する。ここを左折して花脊方面へ向かう。ここから先は以前走ったことのある道だ。といっても10年近く前の話なので記憶も薄れかけている。左折してすぐのところに感じのいい茅葺き民家があったので撮らせてもらった。同じ田舎でもこのあたりは紀伊半島の山奥とは明らかに雰囲気が違う感じがする。何というか、京都市内だけあってしっとりと落ち着いた雅な雰囲気を感じる。

広河原にて茅葺き民家

 桂川に沿って下りというほどでもないごくゆるい下りを快調に流していく。ところどころ見覚えのある風景を眺めながら大布施の交差点に着く。ここには農協があって自動販売機がある。それを覚えていたのでポカリを補給。

大布施交差点

 大布施からは国道477号を周山へ向かう。ここも過去に二度通ったことのある道。京北町に入る上黒田までは1.5車線区間が続く。国道477号は大変路面が良く、ほとんど無音で走れるのが気持ちいい。ゆるいながらも下りだから30km/h前後で快調に走る。左に見える桂川の流れも美しい。こんな道が一番好きだ。

国道477号・上黒田付近

 井戸で常照皇寺への道を右に見て、少し開けた比賀江の水田地帯に出る。ゆったりと流れる桂川が郷愁を誘う。以前車のデポ地に使った京北町運動公園も確認。もうこんなところまで車で来る気にはならないなぁ。

比賀江付近の桂川

 やや向かい風に悩まされながら、ほぼ直線上の道を疾走して周山に到着。京北町役場の隣にある木工センターでちょっと長めの休憩をとる。そろそろ帰りの電車の時間が気になるところだ。ザウルスに入れておいた時刻表をチェックし、八木駅16:03発の快速に目標を定める。あと20km少々だからゆっくり行ってちょうどくらいだろう。

国道477号・周山交差点

 八木方面へは国道477号を進むが、そのまま行くと山越えがあるので魚ヶ渕を経由する川沿いの道へ迂回する。多少遠回りになるが、山越えすることを思えば楽なものだ。この道はほぼ1車線で車もほとんど来ない。魚ヶ渕付近では渓谷美を楽しめる。柏原でまた国道477号に合流し、ほぼ平坦な道を日吉橋まで走る。日吉橋を渡ったところにロードパークがあるのでまたちょっと休憩。

魚ヶ渕付近の桂川

 能見峠からここまでは約40kmにも渡って下り基調が続いたが、この先神吉までは細野川沿いに170mほど上らなければならない。70kmを超えてからの上りになるからプランニングの段階で最も懸念された部分だ。ロードパークを出るといきなり上りとなる。川沿いだから大したことはないだろうと思っていたが、これが結構な急坂である。川沿いとは言いながら川は全く見えず、ずっと下の方を流れているようだ。薄暗い林の中をジリジリと上っていく。このあたりはほぼ1車線となっている。疲れているときなら相当堪える上りだろうが、今日はまだ余裕がある。こんな上りも楽しめてしまう。この先に待っているまだ見ぬ風景への期待を膨らませながら。

細野川沿いの国道477号

 川音が再び近づいてくる頃、谷を上り詰めて峠らしきところに着く。そして少し下っていくと薄暗い山中からパッと明るい平地に飛び出す。この出会いは実に劇的だ。サイクルツーリングにおける至福の瞬間と言えよう。神吉とは地図を眺めてまず目に付いた興味深い地形である。下の亀岡盆地から約200mも高いところに広大な盆地が広がっているのだ。概してこのような特異な地形の場所は古くからの伝承地、いわゆるパワースポットであることが多く、地名に「神」が付くことからも間違いないだろう。この盆地に向かって四方から道が集まり、この地が占める重要な地位が伺える。特に八木方面からは3本の峠道があるのが興味深い。盆地内には日吉神社・阿祇園寺といった立派な社寺があり、古くから信仰を集めてきたのだろう。このような地図から伺える特徴からこの地を訪れてみたいという気持ちが高まり、ツーリングの目的の一つとなった。そして実際にこの場所に立ってみると不思議なほど明るい感じのするところだった。山裾に沿って固まるように集落があり、盆地には広大な水田が広がっている。ただそれだけのだだっ広いところなのだが、これが下界と隔離された山上にあることを思うと何か不思議な気がする。

神吉の集落

 名残惜しい神吉を後にして、帰途に就く。神吉の盆地を抜けると廻り田池という小さな池の畔に出る。ここからまた京都市に入るのだが、左の立派な2車線道が嵯峨方面へ向かう道であり、右の細い道が国道477号である。

嵯峨方面への分岐・右の狭い方が国道477号

 この先は三俣川に沿ってずっと下りとなる。しかし道が狭い割に結構車が多い。写真を撮るためにちょっと止まったら後ろからダンプカー2台に抜かれた。そこまではよかったのだが、この狭い道だから対向車が来るたびに一騒ぎとなる。その都度ダンプカーの後ろに行列ができてしまうのだ。せっかくの下りが楽しめない。ああ、先に行かせるんじゃなかった。また小さな池が見えてくるあたりで道幅が広くなり、ようやく渋滞から解放される。やっと亀岡盆地に出て素直に国道をまっすぐ行けばよいものを、近道しようとして三俣川の堤防を走ったら途中で道が途切れ、結局国道まで戻る羽目になる。その後、大堰橋を渡ってさらに国道9号を渡るとすぐ前に八木駅がある。15:35頃到着。16:03発の快速に余裕で間に合った。

 京都からは混雑する近鉄を避け、JRの「みやこ路快速」で帰る。奈良でも接続が良く、18時前に帰着することができた。車では絶対行く気がしない地域であるが、輪行なら比較的短時間でアクセスすることがわかったので、機会があればまたこの方面を走ってみたいと思う。最近奈良方面に偏りがちでマンネリ化しているのだ。今日は大変盛りだくさんなコースで快晴の下、暑くもなく寒くもない陽気の中で思う存分楽しむことができて大満足だった。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
93.49km 5:07:37 18.2km/h 40.5km/h 653m
能見峠
563m
片雲の風に誘われて