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Ride with GPSのクセを知っておこう

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3月31日でルートラボが終了になって以来、代替のサービスとしてstravaかRide with GPS(以下、RWGPS)が注目されているようです。僕はstravaをメインで使っているのですが、RWGPSも根強い人気があり、こちらの方が使いやすいという人もいます。ここではstravaのことはちょっと置いときまして、RWGPSを使ってみて気付いたこと、注意すべき点についてまとめてみたいと思います。

RWGPSの方が優れている点

stravaより動作が軽い

stravaは動作がやや重い傾向があり、マウス操作から若干反応が遅れるのが気になります。RWGPSはstravaより軽快で、ほとんど気になることはありません。

Googleマップが使える

stravaはオープンストリートマップをベースにしていますが、RWGPSでは背景の地図にGoogleマップを選ぶことができます。慣れ親しんだGoogleマップが使えるだけでなく、店舗などの情報も豊富なので、特に市街地をメインに走行する人には使いやすいと思います。

ESRI topoが使える

ESRI topoというのは米国ESRI社が提供する等高線入りの地形図です。国土地理院の地形図と同等の等高線が表示されるため地形が把握しやすくなり、山間部を好むサイクリストにはこちらの方が向いているでしょう。

ベースマップによる違い

RWGPSでは現在、GoogleマップやOSMをはじめ、全部で9種類のベースマップを選ぶことができます。これがRWGPSの大きなアドバンテージでもありますが、実はベースマップによって挙動が異なることを発見しましたので以下に報告します。

獲得標高

獲得標高はサイクリストにとって重要な情報ですが、Googleマップとそれ以外では精度に違いがあることがわかりました。例として僕がよく行っている福住ヒルクライムコースを作成してみました。

まず下のスクリーンショットはGoogleマップを使用した場合です。

ここでは獲得標高が496mとなっていることに注目して下さい。次はOSM Cycleを使用した場合です。

全く同じルートであるにもかかわらず、獲得標高は451mと出ています。次はESRI topoを使用した場合です。

獲得標高は453mと出ましたが、実質的にOSM Cycleと同じで誤差の範囲と考えられます。

すべてのベースマップ(USGSは日本では使えません)で試してみましたが、Googleマップとそれ以外では獲得標高が明らかに異なることがわかりました。一般的にGoogleマップの方が獲得標高が大きめに出る傾向があるようです。

次に比較用として、stravaでも同じルートを作成してみました。この場合、獲得標高は447mとさらに低めに出ています。

では実際にはどちらが現実に近いのでしょうか? このルートではGPSによる実測データがありますので、それを元にして「轍」で解析した結果を以下に示します。

走行距離 8.12km 移動時間 00:52:42
移動平均速度 9.2km/h 最高速度 32.3km/h
獲得標高 ↑438m ↓2m 出力エネルギー 358.0kJ
平均パワー 111.0W 最大パワー 202.7W

獲得標高は438mと算出されており、これは実感に近い数値です。このルートではアップダウンがほとんどなく、上り一方ですから単純に最高点と最低点の標高差で求められるはずですね。国土地理院の標高データによると、スタート地点の標高が82mで、ゴール地点の標高が515mでしたから、標高差は433mとなり、これがほぼ正確な獲得標高であると考えられます。したがって、現実に最も近いのはstravaであると言うことができます。少なくともRWGPSでGoogleマップを使った場合は60mほど盛られているということがわかりました。

ルーティング

ルーティングというのは経路探索のことですが、これもGoogleマップとそれ以外で二つに分かれることがわかりました。つまりGoogleマップではGoogleが提供するルーティングAPIを利用しているのに対し、それ以外ではOSMが提供するルーティングAPIを利用していると思われます。どちらのAPIを使うかによってルーティング結果に差が出てきます。

とりわけ問題となるのは、OSM系のルーティングデータにはかなり高い頻度でエラーが含まれる場合があるということです。具体例として下の地図を見て下さい。

ここでは本来、スタート地点とゴール地点を最短距離で結びたかったのですが、なぜか大きく迂回させられてしまいました。この原因は何かと言いますと、よく見ると本来通るべき道路は2ヶ所で線が切れてますよね。このため、「この道は通れない」と判断され、迂回してしまったのです。

こういう問題はOSMを使っているとかなり高い頻度で見つかりました。OSMというのはユーザー参加型の地図サービスですから、人為的ミスにより接続不良などのエラーが起こりやすくなっています。根本的な解決策は、エラーを発見したら自分で修正しておくことです。そうすれば他の人の利益にもなります。ただ修正がいつ反映されるのかはよくわかっていません。実際には数ヶ月かかることもあるようです。

別の回避策としては、ルーティングを解除してマニュアルでなぞっていく方法です。ルート作成画面右側にあるOverviewでDraw Linesに切り替えると道路を無視して任意の直線を引けるようになります。これで切れた部分をつないでやればよいのです。

上の例では切れた箇所だけを直線で結んでもうまく行きませんでした。おそらく2ヶ所が切れてどこにもつながっていない道路は存在しないものと判断されるのでしょう。この場合は仕方ないので、道路に沿ってチマチマと線を引いていくしかありませんでした。

なおGoogleマップを使った場合はこのような問題はまず起こりません。上の例においても普通に2点を指定するだけですんなり引けました。余計なことにわずらわされたくなければGoogleマップを使った方が効率的と言えるでしょう。

獲得標高が異なる原因を考察

Googleマップとそれ以外で獲得標高が異なる理由については2通り考えられます。一つの可能性としては、ベースとなる標高データのソースが違うということです。Googleマップの場合はおそらくGoogleが提供するElevation Serviceを使用している可能性があります。それ以外ではおそらくOSMが提供する標高データを使っているのでしょう。標高データはメッシュの大きさなどがサービスによって異なるため、精度に差が出てきます。

もう一つの可能性としては、ルーティングの精度そのものに違いがあるということです。これは実際やってみるとわかりますが、全く同じルートを引いたとしてもピッタリとは重なりません。微妙にずれるのが普通です。酷い場合は完全に道路から外れてしまう場合もあります。これは元となる道路データが間違ってるのでしようがないのです。当然ながら、たとえ同じ標高データを使用したとしても、ルートの座標そのものがずれていればそこから得られる標高は違ったものになります。確かGoogleマップは以前ゼンリンの地図データを使っていましたが、最近はGoogle独自のものに変わったので精度が低下している可能性があります。Googleマップで獲得標高が高めに出る原因は案外これかもしれません。

いずれにせよどっちが主因なのか、あるいは両方ともなのか、実際のところはわかっていません。

ヒルクライマーにはESRI topoを推奨

ルーティングのエラーを考えるとGoogleマップを使った方が確実性が高いのですが、一方で獲得標高がいい加減なのはヒルクライマーにとっては気になるところです。ヒルクライマーはあらかじめ獲得標高を見積もった上で走りに出かけます。それが実際より盛られていればかなりショックが大きいですからね(笑)。

Googleマップを使うと簡単ですが、僕はあえてESRI topoを推奨しますね。なぜかというと、サイクリストにとって地形の把握は基本中の基本だからです。Googleマップには等高線がないので起伏は全く読めません。そして何よりもこちらの方が獲得標高は正確です。

ただOSM特有のルーティングエラーは起こりやすいので、そういう場合はあきらめて上で説明した回避策を試してみましょう。

ルート探索方法はWalkingかDrivingのみ

ルート作成画面右下にOptimize for:という項目があって、これで徒歩・自転車・自動車に最適化したルートが自動的に選ばれるようになります。ただし自転車のルートデータは日本国内ではほぼ整備されていないため、選んでもエラーになって使えません。基本的には徒歩か自動車のみです。

一般的なサイクリングではDrivingを選ぶのが便利ですが、裏道を通りたい場合などでも強制的に幹線道路に迂回させられて鬱陶しいこともあります。そのようなときはWalkingに切り替えると最短距離で選んでくれます。ただし自転車が通れない山道に案内されてしまうこともあるので、適宜切り替えて使うのがコツです。

トンネルで起こる問題点

これはよく知られている問題で、RWGPSだけでなくstravaでも同じように起こります。下のスクリーンショットはトンネルを挟んだ区間を作成してみた結果です。

トンネルがある場合、道路の標高ではなく地表面の標高をなぞってしまうため、獲得標高が実際より大幅に大きく出てしまうという問題が起こります。上の例ではトンネルの標高は650mほどしかないのですが、最高980mまで上ることになってしまいます。そのため獲得標高が300m以上も大きく出てしまいました。

この問題はルートラボではちゃんと補正してくれていたのですけどね、RWGPSもstravaもどっちもダメです。これを補正するにはトンネルがどこにあるかという地物データを参照する必要があるため、やっぱり日本のサービスでないと難しいかなと思います。何だかんだ言ってもルートラボは偉大だったんですね(笑)。

この問題を回避するにはトンネル前後でルートを分割して後から足すか、カシミール3Dなどを使ってトンネル部分のデータを間引き、標高補正するしかありません。いずれにせよとても面倒です。

個人的にはstravaが好き(笑)

RWGPSには良いところもあるのですが、肝心の獲得標高が正しくないのでstravaの方が好きです(笑)。またstravaにはユーザーデータに基づいたルート推奨機能や平坦優先モードがある点が強みです。グローバルヒートマップといって、ユーザーからアップロードされたGPSデータを集め、サイクリストがよく通っている道を色分け表示する機能も面白いです。これを眺めてると、「こんなマニアックな道を走ってる奴がいるな」とニヤニヤすることもできます(笑)。

今回はRWGPSの話だったんですが、上記の理由で個人的にはstravaを強く推しておきます(笑)。

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