Garmin Instinct 2Sのレビュー(心拍計精度)

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さて今回はいよいよ核心の心拍計精度に迫ります(笑)。そもそもスマートウォッチを買い換えようと思った理由は、今まで使っていたAmazfitの心拍計精度があまりにもダメだったからです。最初のうちはうまく取れてるんですが、いったん休憩するとグチャグチャになって何を測っているのかわからなくなります。スマートウォッチを使う最大の目的は心拍計測にありますから、それが信用できないとなるとお話になりません。鬱陶しくても胸ベルトに頼るしかありませんでした。

Amazfitだからダメなのか、Garminでもダメなのか、いろんな噂は聞きますが、本当のところは自分で使ってみないとわかりません。ただInstinct 2(S)には水中心拍にも対応した新世代の心拍センサーが搭載されており、もしかしたら?という期待はありました。これでもダメなら売却決定です(笑)。

心拍精度が低下する理由

Garminのサイトに詳しく書いてありますが、スマートウォッチに搭載されている光学式心拍計は皮膚の表面にある毛細血管に光を当て、反射してくる光をセンサーで感知することにより、微小な血流量の変化を読み取って脈拍を推定しています。

しかし血流量が変化する要因は心拍だけでなく、たとえば大きな筋肉が動いただけでもそれに同期した血流量変化が生じます。したがってセンサーが感知するデータにはノイズがいっぱい乗っかっているわけです。その中からノイズを取り除いて心拍だけを正確に抽出するのは相当困難な技術で、メーカーによってノウハウの差があると思われます。

Amazfitの心拍精度がダメだったのは、おそらくノイズが効率的に分離できてないからでしょうね。初めのうちはちゃんと取れていても、いつの間にか足の筋肉の運動を拾ってしまっているのかもしれません。つまり心拍とは関係のない別のものを測っている可能性が高いのです。安静時にはちゃんと測れるのですが、激しい運動をするとグチャグチャになるのはそういうことでしょう。

検証方法

心拍計精度を検証するには信頼できる正確な心拍計が必要です。胸ベルト式の心拍計は原理的に最も精度が高いと考えられるため、それをリファレンスとして使用しました。

胸ベルト式センサーをeTrex 30xにペアリングしてログを記録し、GPXに出力してRide with GPSに取り込みました。Instinctも同様にGPXに出力してからRide with GPSに取り込みました。これで同じ環境で比較できるわけです。グラフは横軸を距離にすると距離の誤差によってズレてしまうため、横軸は時間で固定しました。これでピッタリ重ね合わせられます。

今回もできるだけ念入りに検証するため、2回にわたって比較データを取りました。

検証結果

ちょっと見づらくて申し訳ありませんが、濃いブルーがInstinct、薄いブルーが胸ベルトを表します。


まず1回目の結果がこちらです。グラフが直線になっている部分はトンネルや休憩でデータが記録されていないためですので気にしないで下さい。

トンネル以外の部分では見事に一致しています。こんなにトンネルだらけのコースを選んだのはちょっと失敗だったかもしれません(笑)。


2回目の結果がこちらです。トンネルはほとんどないので、直線になっている部分は主に休憩中と思って下さい。自動ポーズを使用しているので停止中はデータが記録されません。

こちらも完璧な精度で一致していますね。Amazfitでよく見られたように、休憩後に心拍がグチャグチャになる現象も全く見られません。ライド再開するとすぐに心拍が上昇します。

正直ここまできれいに一致するとは思いませんでした。非の打ち所のない精度です。実際、走行中に両方のデータを見比べてみましたが、数秒の遅延は認められるものの完全に一致することを確認できました。さすがは最新式センサーの恩恵でしょうか。

やっぱり長年にわたるノウハウの蓄積があるメーカーと、にわかに立ち上げたメーカーとではノウハウの差がはっきりしてるんでしょうね。それはスペックには表れない部分です。餅は餅屋なんだなと妙に納得してしまいました(笑)。

もはや胸ベルトは不要

胸ベルトは非常に鬱陶しくて嫌いなんですが、これだけ精度が高いともう胸ベルトから卒業してもいいと思います。秒単位の反応性を要求するシビアな用途でない限り、これで十分すぎます。胸ベルトも時々接触不良でバグることがあるので、必ずしも良いとは言えないんですよね。

Instinctは心拍転送モードにも対応していますから、他のサイコンを使っている時も心拍センサーとして利用できます。荷物を一つ減らせると思ったら良いじゃないですか。

これですべての不満点が解消されたので、売却は免れました(笑)。

片雲の風に誘われて