どこ行くかわからない道は通るべからず

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自転車


決死の搬送作戦は成功したかに見えたが・・・


あまりのひどい仕打ちにへたり込むしかなかった・・・

今日は自転車仲間4人で三重県の「飯高北奥林道」を走ってきた。
月出の集落から上るといきなり「通行止」の看板に出くわしたが、落石で車は通れないものの、自転車なら難なく乗り越えることができた。
飯高北奥林道そのものは展望も素晴らしく、思ったほどきつくもなく、全ては順調に進んでいた。
標高800mのピークを越え、奥福本方面へしばらく下ったところの三峰山登山口でふと立ち止まると左へ上っていく別の林道が目に留まる。
その林道は「三峰局ヶ岳線」といって、どの地図にも全く載っていない新設林道のようだ。
本来、どこへ行くかわからない道など入るものではないが、行けるところまで行ってみようという軽い気持ちで誘われるように足を踏み入れてしまったのだ。
入口にあった「通行止」の標識も無視して・・・
しばらく山腹に沿うように上りが続いたが、やがてピークと思われる地点に達して下り始めると雄大な展望が開け、あまりの素晴らしさに感嘆の声を上げていた。
この時点で一行はすでに引き返そうという気も消え失せ、必ずどこかへ抜けられるという確信に変わっていった。
2つほどの小ピークを越えると道は下りに転じ、いよいよ集落へ向かって下り始めるように思われた。
ところが突然現れた崩落現場を前に一行は立ち尽くした。
道が土砂に押し流されて完全に崩落しており、向こうへ行くには沢を渡るしかない。
これまでだいぶ下ってきたので、また上り返すことはどうしても避けたい。
しかし足場が大変脆く、自転車を担いで渡るのは非常に困難に思われた。
しかし4人いれば何とかなるもので、バケツリレー式に自転車を搬送し、無事崩落現場を突破することができたのだ。
誰もがこれで一安心、と同時にこんなところは二度と通りたくないと思った。
この先にまた崩落があったらどうしよう・・・とか冗談を言いつつ順調に下っていった。
ところが、である。その冗談が現実になった。
いきなり出現した通行止のゲート。その向こうにはどう見ても道はない。万事休す。
一行はあまりのショックにしばらく動くこともできず固まっていた。
あきらめの悪い二人が林の中を歩いて道の続きがないか探しに行ったが、あるはずもなく帰ってきた。
林道というものは下から延びていくので、まさか下りの林道が途中で終わるとは誰も予想しなかったのだ。
しかし、その予期しなかったことが目の前の現実にある。
この時点で一行は引き返す覚悟を決めた。
これまで下ってきた道のことを思い返すと気が遠くなる。それよりもあの崩落現場をもう一度渡り直すのが何よりも気が重い。しかしそれより他に帰る方法はない・・・
まさかまた通るとは思わなかった崩落現場をもう一度渡り直す。最も安全と思われるルートでやはりバケツリレー式に自転車を搬送する。多少手際が良くなったようだ。
そこを越えてしまえばあとは上るだけ。まぁ上りはいつかは必ず着くのだからもう心配はない。景色をもう一度楽しめると思えばそれはそれで良い。
多少しんどかったが、まだ余力もあり無事分岐点まで戻ることができた。
結局、飯高北奥林道の500mに加えて、三峰局ヶ岳線の上りと上り返しで累計標高差1000m以上は上ったはずである。
今日の件で得られた教訓は「どこ行くかわからない道は通るべからず」ということだった。
「どこかへ抜けるはず」という確信は絶対に持ってはいけない。
山で道に迷って疲れているときなど、往々にして「この道を行けば里に下りられるはずだ」という確信を抱きがちである。
これは非常に危険なことだ。夕方が迫っていたりするとどうしても気が焦る。そういう時、自転車を担いで無理やり斜面を下ったりするのは愚の骨頂。遭難するのは確実だ。
いくら疲れていても「元来た道を引き返す」・・・これが鉄則である。
今日は誰も愚かな判断をする者はいなかった。

片雲の風に誘われて

コメント

  1. FSR より:

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    おおっ早速のレポートですね!
    いろいろあったけど、楽しませてもらったです。
    簡潔にまとめられてていいっすね。あのときの衝撃と落胆が甦りますわ。
    「どこ行くかわからない道は通るべからず」なるほど、この道に入ったときにSORAさんが、「どこへ下りるかわからへんしなぁ」とつぶやいていたのを聞き逃しませんでしたヨ。
    一人だったら、絶対泣いてますヨ。4人だったから、笑い話で済んだのかも。
    ちと反省したっす。