登山

和佐又ヒュッテから大普賢岳・七曜岳・無双洞

投稿日:1998 年 5 月 31 日 更新日:

■コースタイム
和佐又ヒュッテ=0:15=和佐又のコル=0:35=笙ノ窟=0:20=石の鼻=0:15=小普賢岳=0:25=大普賢岳=1:00=国見岳=0:15=七曜岳=1:00=無双洞=1:20=和佐又のコル=0:15=和佐又ヒュッテ【total 5:40】

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 今日は朝から文句なしの晴れで、最近にない上天気。まるで今までの天候不順を取り戻すかのようだ。今年最高の好天の中、昨年から持ち越しになっていた大普賢岳へ行くことにする。午前6時に出発し、改良が進んだ国道169号線を初めて通って8時前に和佐又ヒュッテに到着した。時間的にはずいぶん近くなったような気がする。ヒュッテ前の駐車場はすでにほぼ満車の状態。すごい人気である。1台分だけ空いていたスペースに駐車する。ヒュッテに入って駐車料金500円を払い、登山届を記入して8時15分に出発。

 駐車場からコンクリート舗装された車道を歩いていく。やがて地道になって広い駐車場に出る。道標が何もないので本当にこの道で合ってるのだろうかと不安だったが、駐車場の向こうに大台ヶ原方面との分岐点があって、そこに道標があった。道標にしたがって登山道に入る。この山は登山口からすでに自然林なのが嬉しい。ゆるい坂を登っていくとまもなく和佐又のコルに着いた。ここは無双洞方面との分岐点になっている。大峰全域の案内図があるが、それによると大普賢岳まで3時間10分と書かれている。本当にそんなにかかるのだろうか。

 美しい緑が降り注ぐ中をゆるやかに登っていく。今日は湿度が低くてあまり汗をかかず、実に快適だ。時々弥山もちらちらと見える。やがて先行の単独男性を追い抜く。何やらメモを取っている様子だ。結局この人とは最後まで抜きつ抜かれつだった。あまり大した登りもなく、いつの間にか指弾ノ窟に着いた。オーバーハングした岩の下に窪みが開いているのでこのように呼ばれている。ここを過ぎると初めての鉄梯子が現れる。すぐに朝日窟を過ぎ、間もなく笙ノ窟に到着。ここは最も規模が大きく、中には不動明王が祀られている。

 笙ノ窟を過ぎてすぐ鷲ノ窟がある。ここも規模が大きく、上からのしかかってくるようなすごい迫力だ。そこを過ぎるといよいよ鎖場もある厳しい登りが始まる。ジグザクに急登すると日本岳のコルに着いた。山名板があるものの、ここは山頂ではないはず。日本岳からは鉄梯子が多くなる。またこのあたりにはイワカガミの群落がたくさんあり、かたまって可憐な花を咲かせている姿は見事である。写真を撮る回数が多くなり、なかなか進まない。険しい岩場にかけられた鉄梯子を3つくらい続けて登ると石の鼻に着いた。岩の上に登ると大台ヶ原や弥山の眺めが実に素晴らしい。今日は視界が良いので北部台高や笠捨山まではっきり見える。目指す大普賢岳も目の前だ。あまりの展望の良さにここで10分休憩。この場所がとても気に入った。


石の鼻より北部台高を望む

 石の鼻を過ぎると今までに見たことのないようなイワカガミの大群落があった。次々と人が通るのを気にしながら写真を撮る。そこからはわずかの距離で小普賢岳に到着した。写真を撮っていなければ石の鼻から10分くらいだろう。ここにも山名板があるが、日本岳と同じく頂上ではないはずである。遭難碑を見送って梯子のある急坂を下り、鞍部に出る。ここからいよいよ鉄梯子が連続する最後の登りだ。今日はトレッキングポールを持ってこなかったのは大正解。持ってきたら邪魔にしかならないであろう。いくつも鉄梯子を登ると今度はジグザグの登りとなる。道がジグザグなので見た目ほどは急ではない。すでに花の終わったシロヤシオがいっぱい落ちている。やがて大峰奥駆道と合流するとほぼ平坦となり、ほどなく大普賢岳の山頂に着いた。時刻は午前10時20分。写真をいっぱい撮りながら、そんなに飛ばしていたわけではないのにコースタイムよりだいぶ早く着いてしまった。


大普賢岳山頂

 山頂は思ったほど人がいなくて、先客は中年男性2人だけ。ほとんどの人はさっさと七曜岳へ向かっているのだろう。山頂からの展望はまことに素晴らしく、稲村ヶ岳が正面に見え、弥山から釈迦ヶ岳までがすっきりと見渡せる。たなびく白い筋雲が実に美しい。山頂にはシロヤシオが少しだけ残っていた。まだ時間は早いが、朝が早かったのでここで昼食にする。そうこうしているうちに次々と人が登ってきてにぎやかになった。さて本来はここで引き返すつもりだったのだが、あまりの天気の良さにだんだん欲が出てきてしまう。予想よりも早く着いてしまったので、このまま下山するのも少し物足りない。かといって七曜岳を回ると最後に200mの登り返しが待っているのでどうも気が進まなかった。少し悩むが、このコースを回るには日の長いこの季節が最適であり、しかもこんな好天はなかなかないだろう。だいたい周りを見渡すとここで引き返す人など誰一人いないのである。ということで勢いで七曜岳への道を踏み出してしまった。


弥山・八経ヶ岳と釈迦ヶ岳の眺め


国見岳付近より大普賢岳の勇姿

 山頂で50分の休憩の後、11時10分に出発。山頂から急坂を一気に下ると、駐車場で見かけたはずの青年とすれ違った。まさかと思ったが、逆回りでここまで3時間で登ってくるなんてとても信じられん。下りが一段落すると美しい樹林の中の快適な稜線歩きとなる。涼しい風が吹き抜けて実に気分爽快である。多少アップダウンはあるが、概ね歩きやすい。美しい笹原の広がる東側が開けた場所があり、大台ヶ原の眺めが実に素晴らしい。ここから見ると台地状の地形がよくわかる。弥勒岳を過ぎて、サツマコロビと呼ばれる鎖場の急坂を下る。最も難所と言われるだけに慎重になる。そこを下ると国見岳への登りとなるが、さほどきつくはなかった。頂上の少し手前に大普賢岳から日本岳までピラミッド型のピークがいくつも並ぶ絶景を眺められるところがある。あそこまで登ったのかと思うと感慨深い。国見岳の山頂は展望も全くなく、通過点という感じだった。そこから少し下り、七曜岳の尖ったピークが見えた。なかなか険しそうである。七曜岳直下の岩場にはまた鎖場があり、岩の間に靴が挟まったりしてちょっと苦労させられた。そして岩をよじ登ったところが七曜岳山頂だった。岩ばかりの山頂であり、ちょっと足がすくみそうな断崖絶壁の上である。ここからはバリゴヤ谷ノ頭の鋸歯状の稜線が正面に見え、弥山・八経ヶ岳が圧倒的な重量感をもって横たわる。歩いてきた大普賢岳からの稜線もはるか上に見える。やっぱりここまで来てよかったと思うのだった。


稲村ヶ岳(中央)とバリゴヤ谷ノ頭(左)


七曜岳山頂

 七曜岳で15分休憩して午後12時40分に下山開始する。少し下ったところにサラサドウダンが咲いていたので写真を撮る。ほとんど落花しているものが多いが、ここだけ少し残っていた。そしてどんどん下っていったが、どうも様子がおかしいのに気づいた。疲労のせいで判断力が低下しているのか、無双洞への分岐を見過ごして尾根を直進していたのである。危うく奥駆道を縦走するところだった。地図を見てあわてて引き返し、幸い1~2分で分岐点まで戻れて最小限のロスで済んだ。道標のある分岐点から無双洞への道に入ると、標高差600mの急降下が始まる。薄暗い感じの樹林の中で、人に会うこともなく、ちょっと不安な気がする。木の根が多くてかなり歩きにくい道だ。ところどころ木の梯子があるが、こういう梯子は登りより下りの方が怖い。途中で少し道が不明瞭になるところがあるので、「コース」と書かれた赤い矢印を見失わないように注意する。やがて沢の音が聞こえてきて無双洞が近いことを感じるが、行けども行けども急な下りは続く。これを逆に登るのはさぞかし大変であろう。すでに標準コースタイムをオーバーし、膝がガクガクになる頃、ようやく大きな滝のある無双洞に着いた。七曜岳からちょうど1時間。やっぱり下りは標準コースタイムより遅くなってしまう。ここでは何組かのグループが休憩していた。七曜岳から全然人に会わなかったので何となく安心した気がする。無双洞は人ひとりがやっと通れるくらいの狭い洞窟で、真っ暗なのでどこまで続いているのか何もわからない。その下の岩には穴が二つ開いていて、すごい勢いで清水が湧き出している。すくって飲んでみるとうまい。水が切れかけているのでありがたかった。

 無双洞で少し休憩して最後の登り返しにとりかかる。滝のある急流を渡らなければならないが、円柱状のコンクリート製の飛び石が作られていて容易に渡渉することができる。そこを渡るとなおも少し下ってやっとだらだら登りが始まる。登りのつらさよりも、もう下らなくていいと思う方がありがたい。途中崩壊したガレ場があるので少し上を迂回する。そこから大きな石がゴロゴロした沢に出て約20mほど沢を登り、右の道へと入る。ここは道標にちゃんと書かれているので迷うことはない。ここからいよいよ急な登りが始まる。しかし登りになると俄然ペースが上がって先行者を追い抜き始める。ジグザグの道を登り詰めて壊れた道標のある場所に着くと、また鎖場が現れた。この鎖場はかなり長い。相当な急斜面なので鎖につかまって半分くらい手の力で登る。標高差100mを一気によじ登るとまただらだら登りとなり底無井戸というところに着いた。なるほど円形の洞穴を上からのぞき込んでみると真っ暗で底が見えず不気味だ。そしてここからは登りもゆるくなり、また明るい自然林の中の気持ちよい道となる。等高線にほぼ沿う形だが、若干登りになっている。ここまで来ればもう楽勝だ。途中ものすごいブナの大樹に出会って写真を撮る。28mmレンズでは収まりきらない大きさだ。そこから少し行って道がゆるやかに下り始めると間もなく見覚えのある和佐又のコルに着いた。ここで残っていた水を飲み干して最後の休憩。そこから10分少々でやっと和佐又ヒュッテに帰ってきた。標準コースタイムの2時間を大幅に短縮した。結局下りの遅れを登りで取り戻して予定より早く下山。しかし思いっきり疲れた。

 登山届に下山時刻を記入してヒュッテを後にする。心配していた大台ヶ原渋滞もなく、スムーズに2時間で帰れた。今日は最高の天気に恵まれ、予定以上のコースを踏破できて充実しすぎた山行だった。大峰のすばらしさをしみじみと味わった一日であった。山頂を往復するだけなら大したことはなかったので、今度は秋の紅葉の頃にまた登ってみたいと思う。

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