川上辻より三津河落山・大和岳

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登山

■コースタイム
川上辻=0:10=名古屋岳=0:15=如来月=0:05=三津河落山=0:15=大和岳=0:15=三津河落山=0:30=川上辻【total 1:30】


 長い梅雨の憂さを晴らすかのように朝から清々しい青空が広がった。約1ヶ月ぶりの山行である。午前6時に出発、ドライブウェイから大峰山脈の展望を楽しみながら8時10分に川上辻に到着する。最初、川上辻というのがどこなのかわからなかったが、道路左側にある案内板と道標ですぐわかった。向かい側には10台くらい軽く置けそうな空き地がある。すでに先客は2台いる。

 8時25分に川上辻を出発する。久しぶりに見るスカイブルーの空。もう梅雨は明けたのではないだろうか。 筏場への道を右に見送って、 左の笹原の道を登っていく。カエデと針葉樹が入り混じった原生林の中だ。途中、倒木を迂回しなければならない箇所があり、赤テープを見失わないように注意する。約10分の登りで名古屋岳に到着。特に展望はない。三津河落山へは「一旦鞍部へ下り、急登!!」と書いてある。


名古屋岳山頂

 その道標の通り、山頂で直角に折れて急斜面を下っていく。一見道のようには見えないが、ちゃんと赤テープはあるので間違いないのだろう。この道は苔生した岩がゴロゴロしていて歩きにくい。しかも大変な急斜面だ。滑らないように慎重に下る。急斜面はわずかの間で終わり、あとはだらだらと下って鞍部に出る。このあたりブナとカエデの原生林でいい感じだ。今度はまた如来月への登りである。ここが最も登りらしい登りだろう。それでも鞍部から10分ほどで如来月の山頂に着いた。ここが最高地点であるが、樹林に覆われて展望はなく、わずかに木の間から大峰山脈を望めるのみである。「如来月」とは変な名前だが、何か由来があるのだろうか。ちなみに「如来月」に混じって「三津河落山1654m」と書かれたプレートもある。

 如来月からはシャクナゲの木が多い尾根道をたどる。このあたりはまさに原始林の雰囲気が漂う。少し倒木があるが、5分ほどで三津河落山に着いた。このパッと開けた笹原に飛び出す感じが何ともいい。ここで初めて人とすれ違う。また同じ道を戻る予定だが、曇ってくるかもしれないのでとりあえず今のうちに写真は撮っておこう。木に取り付けられた山名板の下には「君心静かにして畏れてぞ聴け・・・」の詩文が記されている。


「君 心静かにして畏れてぞ聴け 緑濃き 此の大地深く 我らが山河うるおす 母なる三川の 潺々たる産声を」
・・・・・山名板より


三津河落山付近の稜線

 三津河落山からはうれしくなるような笹原の道が続く。このあたりも正木嶺付近と同じく立ち枯れしたトウヒが目立つ。はっきりした道というものはなく、低い笹原なのでどこでも歩けそうな感じである。一応踏跡らしきところをたどっていく。やがてロボット雨量計の小屋を見て日本鼻のピークに着く。ここでまた2人組とすれ違った。ここまで来れば大和岳はすぐそこだ。鞍部へ下って行くが、やはりはっきりした道はなく、倒木を避けるようにして笹の中を下る。鞍部からは細いながらも明瞭な道があり、わずかの登りで大和岳に着いた。


大和岳山頂

 山頂には大きな岩が二つあり、これがいい感じである。展望は大峰から北部台高にかけてがよく開けている。釈迦ヶ岳から八経ヶ岳、大普賢岳、山上ヶ岳に至るまで主たる山々のパノラマを楽しめる。北部台高は薊岳と国見山のあたりがよく見える。白髭岳の鋭鋒もすぐ近い。さらに遠くには三峰山の平らな稜線、そして局ヶ岳の頭を確認できた。南に目を転ずれば熊野灘あたりまで何とか見えているようだ。大きな岩の上に座って30分ほど展望を楽しむ。この間誰も人が来なかった。


 大和岳より大峰山脈のパノラマ

 まだ午前10時と早いが、車道を歩くのもだるいので同じ道を引き返す。三津河落山まで15分で戻り、かなり早い昼食にする。やはり雲が多くなってきたようだ。笹原に座っていると風が実にさわやかで、暑さを全く感じない。今ごろ下界は灼熱地獄だろうな。また地図を取り出して山座同定を始める。ここからは北部台高の展望が実に素晴らしく、白屋岳、ジョウブツ山、薊岳、国見山、桧塚奥峰、池木屋山、迷岳などすべて同定できる。唯一見えないのは国見山の陰に隠れている高見山くらいだ。南東の方を見れば仙千代ヶ峰が意外なほど近く、その向こうには総門山・南亦山のあたりもよく見えている。さらに三峰山の左肩に小さく見えるのはどうも倶留尊山らしい。室生の山からも大台ヶ原が見えるというのは意外だった。一時は雲が広がっていたが、また青空が広がってきてカンカン照りになった。どうも今日は一日持ちそうな気配だ。先にいた二人組が出発してからは誰も人が来なくて全くの静寂境である。いつも人であふれ返っている日出ヶ岳からは想像もできないが、こんないいところがあるのを誰も知らない。結局11時半まで山頂を独占して大休止。その後30 分で下山してちょうど正午に川上辻に着いた。今日は十分満足できたのでこれで帰ることにしよう。


 北部台高のパノラマ

片雲の風に誘われて