旅と物欲

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雑記

最近、KAY.Tさんがマラソン日本縦断の旅とか、天神橋5丁目さんが北海道一周ツーリングとか壮大な計画を間近に控えておられます。身近な人達がそういう旅に出発されるのは正直羨ましいなとは思うのですが、一方で自分もやろうと思えばいつでもできる立場にいながら何もやっていないことに引け目を感じてしまうのです。

二人とも長年の勤めを辞して自分の夢を実現するため新たな一歩を踏み出されたばかりで、今が一番楽しいときであることは十分伝わってきます。かつて自分にもそういう時期がありました。会社を辞めたらあれもやりたいこれもやりたいという希望はありました。やろうと思えば日本一周どころか世界一周でも何でもできたでしょう。しかしそれから早8年半、何か人生の糧になるようなことをしたわけでもなく、仕事が軌道に乗ったわけでもなく、結局何もしないままに時間だけが過ぎたという虚しさが残ります。まあ会社を辞めて楽しいのは最初の半年だけですよ。その後はどうやって生活するかという現実面ばかりが気になって旅行どころじゃないという気分になってきます。

だいたい旅行というものは忙しい中で時間を作って行くからこそ楽しいのです。ヒマな時に行っても楽しくも何ともありません。会社を辞めた翌年はうれしくて旅をしまくりました。行きたかったところはすべて行き尽くしたと言っても過言ではありません。その後、ヒマになるとまったく旅行しなくなりました。行きたい気持ちがなくなるのです。そして3年ほど前、一時的に勤め人だった頃は旅行したくてウズウズしてました。そして辞めた後、昨年はその反動でずいぶん旅行しました。しかし今はいつでも行ける時間があってもモチベーションはまったく上がりません。旅行なんて考えただけでめんどくさいです。家の中でパソコンにかじりついてる方がよっぽど楽しいです。究極のインドア大好き人間になってしまいました。ヒマはそれほどまでに人間を堕落させます。

時間に飢えているとき、人は旅に出たくなります。かつて僕が人並みのサラリーマンだった頃は休みさえあれば旅行に出かけてました。モノを買うよりは、旅行することに優先的にお金を使っていました。なぜならモノはいつでも買えるけど、旅は今しかできないかもしれないからです。金より時間の方がはるかに貴重なものだったのです。残業なんか好んでする人間ではありませんでした。残業代欲しさに残業してる人間はバカとさえ思ってました。お金には困ってなかったので、もちろんモノもいろいろ買いました。何だかんだ言って月に10万くらい(生活費以外に)は普通に使ってたように思いますね。欲しいモノを我慢するということはありませんでした。欲しいモノがポンポン買えてしまうと案外物欲は溜まらないものです。その頃はお金は別に欲しいとは思いませんでしたね。金はもういいからとにかく時間をくれ!というのが正直な気持ちでした。

ところが今はどうでしょう。ヒマは捨てるほどあります。一日中パソコンの前でボーッとしてても何とも思わなくなりました。もはや廃人です。できることならこのヒマを誰かに売りたいです(爆)。そして家にこもっていると金もないのに物欲ばかりが肥大してくるのです。あれも欲しい、これも欲しい、しかしこれを買ったら今月の生活費が・・・と葛藤の毎日です。そうやって欲しいモノを我慢していると物欲はそれを栄養にしてさらに成長していきます。結局、人間とは常に自分にないものを欲するようにできているのです。これが廃人生活8年半で得た悟りの境地でした。(爆)

もしもですよ、僕がビジネスで大成功して寝るヒマもないほど忙しくなったとしたら、やっぱりあのとき旅をしておけばよかった・・・と後悔するときが来るのでしょうか? いやそんなことは絶対あり得ないですけどね(笑)。結局、旅に出たいという気持ちの原動力は「今しかない」と思えるかどうかにかかってるんですね。まあ帰る日が決まっている「旅行」じゃなくて、毎日が旅という芭蕉みたいな生活には憧れますね。だからこそ二人の出発には羨望の眼差しを向けてしまうのです。そしてやろうと思えばいつでもできるのに何もしない自分がまた情けなくなってくるのです・・・

片雲の風に誘われて

コメント

  1. KAY.T より:

    おっしゃることの意味が最近よく分かってきました。

    廃人ってのはちょっといいすぎな感がありますが、今日はちょっと廃人チックな一日…と思うことが最近増えてきていますから…。

    ただ、どんどん人が年をとっていく中で、何か変わるためのきっかけはつくらないとダメなんでしょうね。

    SORAさんがそうやって自分自身を客観視できるのは鋭いと思いますし、そう思わずにダラダラする人も実際は多いのじゃないでしょうかね。

    自分の場合は、とにかく旅が人生の一部というか、人生は旅…というところから始まっていますので、生きている限り人はいろんなところにいって、いろんなことを実体験するべきだという思想ですね。

    こんな生活がずっと続くとは思いませんが、せめて今仕事をしないでもいい時間を与えられていると感謝しつつ、平成のこの今の時代が少しでもよくなるようなアクションをしていくことで、世の中はほんの少しでもプラスになってくれたらと願ってやみません。

    物欲…これは天神橋五丁目さんもtwitterでつぶやいてましたね。

    自分も同じです。働いている時はとにかく無意識の内でも「ぽち」してました。

    アマゾンとか楽天から届いた品物見て、「何でこんなの頼んだの?」とか「覚えてないなー」という場面がありましたから…。

    物欲を消すために旅に出るのかも知れませんね。

    新しく買ったもので満足することが大切なのですが、買い与えたおもちゃで満足できずに、さらに要求が高くなってきて、やがてそれもエンドレスに…。

    いっそ出家でもしますか…。

    この世で与えられた時間は限られています。明日死ぬことが分かってたら苦労はしませんから。

    だから現世で楽しめるだけ楽しむことでしょう。それもエゴイスティックな楽しみ方じゃなく、みんなも同時に楽しめたら…。楽しみを共有する人生を求めたいところですね。

  2. SORA より:

    @KAY.T さん

    準備は万端であとは出発を待つだけ・・・というところでしょうか。

    僕はKAY.Tさんみたいにストイックなことはできないし、世の中を変えるためとか大それた目的もないんですよね。ただ自分が楽しめればいいというか。せめて読者の方と楽しみを共有できるような旅ができればいいんですけどね・・

    旅は人生、人生は旅という考え方は僕も共感しますね。サラリーマン時代はやりたいこともせず将来のために自分を犠牲にして働くなんてあり得ないと思ってました。今が一番大事なんだと思ってました。だから何の未練もなく会社を辞めました。でも実際ヒマになってみると違うんです。とにかく生活するだけで精一杯で、明けても暮れてもカネのことしか考えないしょーもない人間になってしまいました。

    人間ヒマがありすぎると時間が無限にあるかのような錯覚に陥るんですよね。でも実際にはこうしている間も残りの時間は確実に減っているわけです。たとえ僕が超多忙にならなくても、病気になって自由の利かない身体になっているかもしれません。もし一ヶ月後に死ぬことがわかっていたら、有り金を全部使って旅行したいと思います。

    問題はその与えられた時間がどれだけあるのかわからないことですね。旅はできるうちにしておけと思う反面、生活のためにお金は残しておかなければなりません。常にそれとの葛藤ですね。金のあるときはヒマがなく、ヒマのあるときは金がなく、人生は思うようにならんものです。大事なことは「いつまでもあると思うな、ヒマとカネ」ってところでしょうか。

  3. KAY.T より:

    「いつまでもあると思うな、ヒマとカネ」

    名言ですね。

    生きる死ぬは自然現象で、これにとらわれていては何もできませんね。

    この世に何をするために生まれてきたか…必死になって今それを模索する日々です。

    旅が終わって、少しはそのヒントでも見つかるといいのですが…。

    やりたいことを、やれる時期に、やりたいだけやっておくのがベストとは思いますが…。

  4. SORA より:

    @KAY.T さん

    僕の旅はそんな高尚なものではないんですが、「いつでも行ける」と思ってるとモチベーションが上がらないんですよね。
    「明日はないかもしれない」と心に銘じたいと思います。

    とはいうものの、明日を生きるためにはお金が必要・・・というジレンマに陥ってしまう小市民なのでした。(笑)

  5. shin より:

    仕事と家庭に縛られてぜんぜん一人旅ができてません・・・
    自分を取り巻く環境があると、いざ一人になっても昔のようにときめきのある一人旅の心境になる前に
    「はやく帰らないと悪いなぁ」と考えてしまい、そんな自分が情けなくなり、それが旅の邪念となります。
    そういうのが面倒くさいのでもう一人では出掛けなくてもいいやぁ〜!と投げやりなこの頃です。
    一人で充実した旅をしても帰ってくれば子供もいるし余韻にひたりブログなどにする時間もないし・・・
    一気に現実で、その落差にまた凹みます。いつか全部捨ててまた自由な(人生)旅人になってやるぞと
    乱暴なことを考えることもあります。一緒に頑張りましょう。

  6. SORA より:

    @shin さん

    うーむ、旅を阻害する要因には仕事と病気のほかに「家庭」もありましたね・・
    家庭を持ってしまうと一人のときのようにふらふらと旅に出てしまうわけにもいかないですしね。
    まあ僕にはあり得ない話ですが・・(苦笑)

    しかし今自由な旅ができるというのはある意味奇跡であると思わなければなりません。
    「旅はできるうちにしておけ」、「借金してでも旅をせよ」を心に銘じたいと思います。(爆)