eTrex Legend HCxファーム2.50はNG

GPS

昨日の曽爾高原ヒルクライムでは赤目口から椿井峠を上りましたが、ここが非常に谷が深く、ログの異常を見るには絶好の場所です。今回はファームのバージョンを2.50に上げて初めての実験でしたが、予想通り見事に不具合が再現しました。
昨日の全プロフィールマップ
赤目口~鬼ヤ坂の平面ログ


山水園を過ぎたところから深い谷間に入りますが、早くも異常発生。正確な高度を見るためにたびたびリセットしましたが、いくらリセットしてもすぐに異常が再現します。このくらいの深い谷間になるといくらリセットしても無駄のようです。ログのギザギザはリセットの結果ですが、放置しておくといつまでも下がり続けます。しかしリセットした直後は正常な高度を示しているので、絶対的な精度としてはかなり高いものを持っているはずなのです。平面ログでは多少道から外れてますが、このくらいの地形では普通のことで、Foretrex101だったらロストしまくりでほとんど飛んでしまうところです。この場所でログが取れるということ自体、すごいことなのです。
鬼ヤ坂を越えて再び谷間を上っている間は異常が発生していますが、椿井峠への上りにさしかかると異常は発生しなくなりました。要するに片側が開けた斜面であれば異常は発生しないということが明らかになりました。さらにみつえ高原牧場から曽爾高原にかけての見通しの良い斜面では異常はまったく発生していません。誤差は10m以内に収まっており、気圧高度計を上回るくらいの精度が出ています。このことからも絶対的な精度としては非常に優秀なものを持っていることがわかります。谷間に入るとある程度精度が落ちるのはGPSの特性上やむを得ないことですが、問題なのは条件によって突然挙動が不安定になり回復不能になってしまうことなのです。これさえなければ誤差を考慮しても十分実用になる性能を持っています。
日本語版では不具合が出ないという情報もありますが、ハード的なポテンシャルとしては十分高いはずなので、やはりファームの不具合としか考えられなくなってきました。今回バージョン2.30から2.50に上げていますが、特に2.40では多くの項目が修正されています。2.50での修正は本質に関係ないところなので、たぶん2.40に問題があると考えられます。
Changes made from version 2.30 to 2.40: (released 09/26/2007)
1. Changed odometer calculation to more closely match track log distance.
2. Change number of lines of text in the address field on map feature review page from 4 to 6.
3. Limit number of custom POI bitmaps to 64 to ensure enough memory resources.
4. Added better compatibility with Mac computers in USB mass storage mode.
5. Improved pedestrian route calculation for shortest distance method.
6. Changed datum used in the SWEREF 99TM grid from GEO_NAD83 to GEO_NONE_GRS80.
7. Changed datum used in the Estonian grid from GEO_NAD83 to GEO_NONE_GRS80.
8. Fix potential shutdown when using TOPO West 1999.
9. Fix potential shutdown on track setup for data card when track log files have long file names.
10. Corrected French translation for ‘Log track points’.
11. Improve track log recording for sensor products to continue recording sensor data even when GPS doesn’t have a fix.
12. Fix potential shutdown when propagating in a cul-de-sac across a map boundary.
13. Add A905/D900 unlock code communication protocol.
14. Make route recalculation on MPC maps (MapSource Custom maps) behave like City Navigator maps.
15. Fix second power on issue.
16. Fix WebUpdater issue of GPS firmware.
Changes made from version 2.40 to 2.50: (released 12/19/2007)
1. Removed the turn backlight on action when unit is initially powered on.
このうち赤字で示した部分が最も関係ありそうな気がします。要するにGPSがFIXしていないときのログ記録を改善したということなのですが、この辺でアルゴリズムが変わった可能性があります。谷間で受信状況が悪くなると何か別のアルゴリズムに切り替わる仕組みになったのかもしれません。
今回バージョン2.50以上はダメということが明らかになったので、再び2.30に戻しました。前回このファームバージョンで天理ダム~福住を上った実験では異常は再現しませんでした。しかし偶然という可能性もあるので複数回の検証を行ってみる必要があります。本来なら自転車でなければ異常は発生しませんが、今日は雨で仕方がないので車で行ってきました。(^^; コースは前々回高度が海面下まで下がる異常を起こした天理ダム~藤井町を走ってきました。できるだけ自転車に近い条件にするため、車が来ないのをいいことに20km/h以下の低速で走行しています。(^^; それでも自転車に比べれば速いです。僕にはこの激坂を15km/h以上で上ることは不可能です。(爆)
天理ダム~藤井町往復のプロフィールマップ(自動車で走行)
まず必ず異常が起こるポイントとしてわかっている滝本町付近では15km/h程度で走行しましたが異常はまったく発生せず。そこから天理ダムまでも高度はよく追従しています。そして天理ダムを過ぎて藤井川に沿った上りになると高度が上がらず一定の状態がしばらく続きました。しかし下降することはありません。龍王山への分岐を過ぎると上空が少し開けるので高度が急激に上昇し、正常値に戻りました。これはForetrex101でも一時的に受信状況が悪くなったときに見られる現象で、まったく正常です。その後、藤井町まできわめて正確な高度を示しています。下りもやはり同じ場所で誤差が発生していますが、一時的なもので自然に復帰しています。
自転車ではないので何とも言えませんが、どうやらファームが怪しいという結論になりそうです。バージョン2.40以上がダメってことですね。おそらくファームのアップデートをしないユーザーは多いと思うので、それで誰も気づかないのかもしれません。とにかくこれからはバージョン2.30で使い続けることにします。数回自転車で走ってみれば結論は出るでしょう。これで不具合が出なければ儲けものってことですが・・
Legend HCx日本語版を持っている方にお尋ねしたいですが、電源をONした時の起動画面でバックライトは点灯していますか? 点灯するなら英語版の2.40以前のバージョンということになります。現在、日本語版のファームは2.10と聞きましたが、いいよねっとのサイトでは新しいバージョン2.50も公開されています。僕の予想では2.50に上げるとたぶん不具合が発生します。(^^; 誰かやってみますか?(爆)

コメント

  1. かくげ太 より:

    http://www.iiyo.net/support
    いいよねっとのサイトでは、eTrex HCx日本語版の最新ファームはバージョン2.60、最新ソフトはバージョン2.50ですね。特に不具合はありません。

  2. SORA より:

    不思議なのはGPSチップのバージョンは同じなんですよね・・
    にもかかわらず日本語版と英語版で差があるのはやはりソフトバージョンの違いとしか思えないのですよ。
    実験した結果では2.30と2.50では明らかに差があるという感触を持っています。
    おそらく不具合がないのではなくて、気づかないだけなのだと思います。
    都会しか走らない人はまず気づかないですしね、山と言ってもいろいろあり、これほど深い谷間は紀伊半島に特有のものなのかもしれません。
    それと激坂を20km/h以上で上れる人であれば不具合は発生しません。(爆)
    要するに上りが遅い人だけに現れる現象なのです。

  3. くま より:

    検索していて偶然見つけましたがおもしろいブログですね。
    この問題はまさにご指摘(赤字のNo.11)のファームウェアの問題だと思いますが、バグではなくて仕様というレベルのものです。GPSのアルゴリズムはどこかを改善しようとすればどこかが悪くなることもあり、このくらいのことは仕方がないと考えて下さい。山の谷間のような環境の悪いところでは、無理矢理座標を出しているので、位置が出るだけでもありがたいと思うくらいが妥当だと思います。GPSの内部処理のアルゴリズムに速度フィルターを使っているので、「不具合」の発生は移動速度にも関係してきますね。
    Garminにメールで報告すると、意外に技術者の人が読んでいて、新しいファームで対応してもらえることもありますよ。

  4. SORA より:

    くまさん、はじめまして。
    おっしゃる通り、バージョン2.30→2.40で測位アルゴリズムが変更されたとほぼ確信を得ています。おそらく見かけの精度を良くするために受信状況が悪くなった時には位置予測アルゴリズムに切り替わるのでしょう。そうだとすれば無限下降ループに陥ったり、高速移動時に誤差が少ないという現象の説明がつきます。
    低感度のForetrex101ではロストしまくりで測位さえできなかった場所で位置がわかるのは確かにありがたいことですが、皮肉なことに高さの精度はForetrex101に大きく劣ります。勝手に高度がどんどん下がっていくため、今何メートル登ったのかまったくわからないのです。
    バージョン2.40で高速移動時の精度が上がったとしても、低速移動時の精度は明らかに下がっています。アウトドア用品という性格から考えると低速移動時を優先すべきと思います。位置予測などという余計なことをしなければ不安定な挙動は起こらないはずなのですから・・
    現状バージョン2.30で使えるならば問題ないのですが、新しいファームでは従来のアルゴリズムに戻してほしいです。GARMINにメールすれば聞いてもらえるのかもしれませんが、英語ができないもので・・

  5. くま より:

    Garminなどの一般用GPSの位置が正確に出ているのは速度フィルターの効果が大きいです。低速移動時はそれがうまく機能しないので、一般的に移動時の精度は悪くなります。どうやら新バージョンのアルゴリズムは、速度フィルターへの依存を高めて、(衛星状況が悪いときの)高さ方向の精度を犠牲にして、座標を出しているようですね。Garminの技術者のいる国の環境に最適化してフィルターも「味付け」されているので、紀伊半島では問題が起こるということもあると思います。もしフィルターで「位置予測」をしなければ、GarminのGPSの精度はとんでもなく悪いものになり、山で使うと測位点が50~100mくらい飛びまくるという結果になるでしょう。そういうわけで「位置予測」は必要なものなのですが、あまりこれに頼りすぎると、ご指摘のような現象が起きるということで、そのあたりトレードオフだと考えた方がいいでしょう。

  6. SORA より:

    このような道が米国には存在しないことは確かですね。(笑)
    高さ方向の精度を犠牲にして座標を優先しているというのはちょっと違うと思います。こちらの記事を見ればわかるように、座標も100m以上ずれまくってます。
    http://blog.cyclekikou.net/
    しかし高速移動時の精度は座標・高度ともに恐ろしく高いです。従来機種のForetrex101では逆に低速移動時の精度は非常に高く、衛星が捕捉できている限りはほぼ正確な位置と高度を示します。あのような大ハズレは決してありません。
    したがってバージョン2.40以降のファームでは位置予測に頼りすぎた結果、低速移動時の精度が犠牲になっているという推論が成り立つのです。

  7. くま より:

    この大幅なずれは、衛星数が少ない状況(例えば3衛星)で無理矢理位置は出したものの、衛星の数が少ないので位置が大きくずれてしまったということが考えられます。岩盤などでマルチパスの影響を受けた可能性も大いにあります。
    そして、いったんそのずれた場所が現在地ということになれば、ユーザーが高速で移動したことになるので、その間を埋め合わせるべく速度フィルターが急激に働いて、その場所へと一気に進んでいくのでしょう。垂直方向の落ち込みが大きいですが、GPSの仕組み上、高さ方向のずれは水平方向の数倍になります。
    このような場合、普通に考えれば測位点が一瞬ジャンプするだけですが、Garmin(このeTrexのこのファーム)のアルゴリズムは速度フィルターによってスムーズに測位点をつなぐことに重きを置いているので、そうはならないのだろうと考えられます。
    Foretrex101は速度フィルターが緩いのだろうと思いました。その代わり、測位点がときどき大きく飛んだり、スムーズにつながらなかったりするのではないかと思います。(この機種を持ってないので想像ですが。)eTrexのこのファームは明らかに山歩きには向いてませんね。

  8. SORA より:

    なかなか鋭い御指摘ですね。eTrex HCシリーズは高感度なので、このくらいの地形でも3D測位に必要な4個以上の衛星は確実に捕捉できています。しかし何らかのトリガーによっていったんずれ出すともう止まりません。誤差はますます拡大してあらぬ方向に進んでしまいます。しかし測位点のつながりはスムーズで飛び飛びになることはありません。
    一方Foretrex101は低感度なので山の中ではたびたびログが飛びます。しかし測位が可能な状態では座標・高度ともに信頼性が高く、誤差が出たとしても瞬間的に復帰します。受信状況の悪いときは素直にあきらめ、速度フィルターには頼らず生の座標を出しているような感じを受けます。
    自転車でもこんな状態ですから、山歩きではもっと酷いことになるでしょう。山の中で数百メートルもずれたらそれこそ致命的なことになりますね。アウトドア用品でありながら山歩きよりクルマを優先した味付けにするとは如何なものかと疑問を感じます。

  9. くま より:

    捕捉衛星4個以上であれば、トリガーはマルチパスでしょうね。これは反射波を拾うというものです。高感度GPSでは高感度であるがゆえに、山の斜面の岩盤などで反射した劣化した電波を拾いやすいです。そうなると、位置誤差は100から500mくらい軽くずれてしまいます。このときずれた方向に向かってがんがん進んでいくなんて困りものです。ガーミンはアルゴリズムを改善した方がいいでしょうね。こんなものを持って山を歩くと下手すると遭難しかねませんから。

  10. SORA より:

    トリガーはマルチパスですか・・。稀には市街地でも発生したことがあります。やはりビルの壁などで反射するんでしょうか。高感度であるがゆえの問題というのも確かにありますね。そういえば送電線の近くでも明らかにずれます。
    このGPSを本当に信用していたら遭難してもおかしくないですね。不思議なのは山屋さんから苦情がまったく出ないことです。やはり日本特有の問題なんでしょうか・・。この声を何とかGARMINに届けたいものですがね・・

  11. くま より:

    マルチパスはビルの壁や看板の横などでよく起こりますが、山でも特に谷部では岩などで反射するので起こります。林道など道の法面でも岩や石が露出しているとよく起こります。経験的には木の幹でも起こっていると思います。送電線はあまり経験がないですが、高圧線はよくないという話を聞きます。電柱や鉄塔によるマルチパスもありえます。マルチパスは実際にはかなりの頻度で起こっていますが、GPSがフィルターで除去しているので気がつかないことが多いです。山屋さんから苦情が出ないのは、Garminの機種やファームはたくさんあるので、この機種のこのファームを使っていて、なおかつGPSそのものに強い関心を持っている人が少ないからではないかなと思います。

  12. SORA より:

    こうやって見るとGPSも意外と脆いものですね。山間部でも2車線の幹線道路であれば異常は出たことがありません。樹木や岩盤のスレスレを通る狭い林道などで頻繁に発生するようです。ましてや登山道ではもっと酷いと思います。
    想像するに山屋さんは気圧高度計つきの機種を使っていることが多いので、高度に関しては気づかないことが多いのだと思います。またPCに疎い人であればファームのアップデートをせずにそのまま使っていることが多いのでしょう。

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