TPUチューブは是か非か?

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パーツ自転車

最近流行りのTPUチューブというものを試してみたくなりまして1セット購入してみました。何と言っても通常のブチルチューブに比べて圧倒的に軽量で、ホイール最外周を大幅に軽量化できます。以前は高価で1本4000円くらいしたみたいですが、最近は安価なものが出回ってきてブチルチューブとほぼ同じ価格で買えるようになりました。このくらいの値段なら一度試してみようかという気にもなるわけです。

実は買ったのが2月で使わずに2ヶ月ほど放置しておりました。自分は結構慎重なので、いろんな人のレビューを見ていると怖くなって使用を控えていたんですね。でもまあ一度は使ってみないと買った意味がないので、最近やっと重い腰を上げてテストに踏み切りました(笑)。

購入した商品

最近はAmazonでいろんなメーカーからTPUチューブが発売されていますが、その中でも最近人気が出てきた中国のCYDYというメーカーのものを購入しました。ロードバイク用は2本で1980円という安さ。これならブチルチューブと変わらないので気軽に買えますね。バルブ長は45mm/65mm/85mmの3種類があり、価格は同一です。自分はローハイトリムなので45mmを選択。

発売当初はバルブ径が太くてバルブ穴に通らないというトラブルがあったようですが、1ヶ月も経たないうちに改良されて現在発売されているものは全く問題ありません。こういう対応の早さはさすが中国だなと思いますね。


商品はこのようなパッケージで届きます。公称28gのようです。

中身のチューブ


チューブはこんな感じで畳まれています。サイズを比較する物がありませんが、すごく小さいです。ブチルチューブの比ではありません。TPUチューブの色はオレンジ、ピンク、グリーンなどが多いようですが、これはパープルとちょっと変わった色です。


おまけとしてチューブ補修用のパッチキットが1回分付いてきます。TPUチューブは専用のパッチが必要になるので、これは親切ですね。


チューブを広げるとこんな感じ。文字が印刷されている方がタイヤの外側になります。ブチルより対応幅は広くて、これ1本で23Cから32Cまでカバーします。グラベルでも細めのタイヤなら使えますね。


バルブは黒い樹脂製でネジ切りはありません。ほとんどのTPUチューブはそうですね。バルブの根元は補強されているのがわかります。チューブはたいがいバルブの根元からリークすることが多いので、この辺りの耐久性が気になります。なお白いリングは外さずにリムの内側に収めるようにとの説明がありました。

実測重量を比較

一番気になる重量を今まで使っていたブチルチューブと比較してみました。


こちらがTPUチューブ。29gと公称よりわずかに重いですが、このくらいは誤差の範囲でしょう。


次にブチルチューブ。103.6gもありました。

その差は74.6g! 2本なら約150gの軽量化になるわけですね。ホイール最外周でこの差は結構大きいと思いますね。

チューブ装着作業

初めてのTPUチューブということでちょっと緊張しましたが、普通のブチルチューブと特に違うことはないですね。新品の時はペラペラなので入れにくく感じますが、ほんの少しだけ空気を入れてやれば入れやすくなります。これは咬み込み防止にも役立ちます。

ただしTPUの特性上、いったん膨らませると元に戻らないので、チューブ単体では0.5bar以上入れてはいけません。それとタイヤをはめて空気を入れるときは一気に入れず、最初に少しだけ膨らませた状態でチューブがビードに咬んでないか全体に確認をしてから空気圧を上げるようにします。TPUチューブが派手な色になっているのは咬み込みを見やすくするためです。とにかくTPUはペラペラでブチルより咬み込みやすいため、これだけは注意が必要です。

空気抜けの早さ

初物ですから、交換していきなりライドに行くのは不安ですよね。そのため2日前に交換して空気を入れたまま放置し、空気抜けがないか確認しました。同時にブチルチューブとも比較しています。

ブチルチューブの場合、1日平均で約10kPaの減りでしたが、TPUチューブの場合は約25kPaも減りました。他の人のレビューではブチルに比べて大差はないという意見が大半ですが、明らかにTPUの方が早いという結果になりました。もちろん個体差もあるかもしれませんが、自分的にはこれはちょっと許容しがたい数値です。当日しか乗らないのであれば別に問題はありませんが、数日にわたる旅行では使えないレベルです。

実走インプレッション

今回は試しにリアだけ交換してライドしてみました。つまり75gの軽量化です。なぜ両方交換しなかったかというと、万が一フロントがパンクしたら怖いからです。そのくらい自分はまだ信用してません(笑)。

乗った第一印象としては、軽くなったかどうかはちょっとわからないですね。自分が鈍感ということもありますが(笑)、リアだけではさほど実感できないのかもしれません。ただタイム的には過去最も速いゾーンには入ってますね。これが軽量化の効果なのか、プラシーボなのかはちょっとわかりません。もしかしたら普段以上に頑張ってしまった可能性もありますね。

あとよく言われる乗り味が硬いという問題ですが、これも自分にはよくわからなかったですね(笑)。そう言われれば硬い気もするし、変わらないような気もする。ブラインドでテストしたら自分には絶対わからないだろうと思います。

まあ自分が鈍感すぎて全然参考にならないレビューですね(笑)。

結論はブチルに戻す

まだ2回しかライドしてませんが、これはもうブチルに戻すと確信しました。基本的にTPUチューブのメリットは軽いことだけしかありません。それ以外はすべてデメリットとなります。そのデメリットを受け入れても軽量化する意味があるか?が判断の分かれるところだと思います。TPUチューブには賛否両論あるのを理解した上で、自分としてはやはりこれはないなと思いました。以下にその理由を述べます。

空気抜けが早い

ブチルと比較実験したところ、明らかにTPUの方が空気抜けが早いという結果になりました。といっても1日は十分保つレベルなので、その日しか乗らないのであれば別に問題はありません。ただ数日の旅行になるとだんだん減っていくわけですから、これは空気を注ぎ足さないと使えません。自分にとってはこれが大きな問題となるのです。

3泊4日程度の旅行では通常フロアポンプは持って行きません。邪魔になるし、そのくらいの期間であれば十分適性空気圧を保てるからです。もしTPUチューブを使うならばフロアポンプも持参して毎日空気を補充しなければなりません。車ならまだいいですが、もし自転車だけの旅行であればこれはほぼ不可能です。携帯ポンプでは十分に空気圧を上げられないですからね。

したがって、自分がTPUチューブの使用をあきらめた最大の理由はこれです。

過熱が怖い

リムブレーキ車でTPUチューブを使用する場合、リムの過熱によって最悪チューブが溶け、バーストする恐れがあります。もちろんリムブレーキ対応のチューブではそのようなことがないように十分な耐熱性も備えていますが、それでもできるだけ過熱させないようにブレーキングには細心の注意が必要です。

またこれも旅行に関連しますが、自転車を積んだまま夏の炎天下で駐車する場合、過熱によるバーストが心配になります。今までのブチルチューブではそのような経験は全くありませんが、TPUチューブは特性が未知数なのでやっぱり怖いのです。

結局のところ、余計な神経を使うということが自分にとっては一番嫌なのです。

パンク修理はできない

TPU専用のパッチキットというものはありますが、それはあくまでも応急用であって恒久的に使えるものではありません。ブチルのようにチューブとパッチが融合するわけではないので、わずかな隙間から徐々に空気は漏れていきます。まあ家に帰るまで保てばいいくらいに考えた方が無難です。

再利用はできない

TPUチューブの特性上、いったん膨らませると元に戻らないため、より細いサイズのタイヤに流用することは不可能です。太いサイズのタイヤに限り、再利用は可能ということです。たとえ同じサイズであっても再利用はできるだけ避けた方がいいでしょう。

耐パンク性が不明

TPUチューブはブチルチューブより突き刺しパンクに強いと言われてますが、非常に薄い分、そうでもない気がします。実際、金属片が刺さってパンクしたという話はよく聞きます。リム打ちパンクもそうですが、耐パンク性はあまり信用しない方がいいと思います。

エアゲージとの相性がある

これは意外と知られてませんが、エアゲージによっては正しく空気圧を測れないことがあります。自分が持っているパナレーサーのデジタルエアゲージもまさにそうで、TPUチューブでは全く反応せず、思いっきり強く押し込まないと測れませんでした。それでも正しく測れているかどうかは不明です。空気入れに付属のエアゲージの場合だけ正しく測れました。

予備用としてはアリか?

以上より、自分にとってはやはり使い慣れたブチルチューブが一番安心という結論になりました。軽量化してわずかでも速くなったとしても、トラブルが少ない方がより安心できるからです。もちろんTPUチューブは信頼性がないから使うなと言っているのではなく、自分の使い方ではデメリットの方が大きいから即中止という決断ができたわけです。

ただ常用するのではなく、予備用として携帯するのであれば使えるのではないかと思います。自分はいつも予備チューブ1本と複数回パンクに備えてパッチキットを携帯していますが、TPUチューブなら軽いので2本くらい入れておいても全く荷物にはならないわけです。まあ自分はやっぱり心配性なのでブチルチューブを1本は持つと思いますが、それに加えて緊急用としてTPUチューブをバッグに忍ばせておくのはアリかなと思います。

片雲の風に誘われて

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