1999.5.2 開通直後のしまなみ海道

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自転車

日付:1999年5月2日(日)
コース:生口島垂水~多々羅大橋~大三島橋~伯方・大島大橋~宮窪~吉海~来島海峡大橋~波止浜(往復)

 午前8時半、 生口島垂水の瀬戸田しまなみYH(旧称生口島シーサイドYH)を出発する。 国道317号線に出れば早くもサイクリストがひっきりなしに走っている。サイクルウェアで固めたロードレーサーをはじめ、マウンテンバイクの若者、重装備のツーリスト、レンタサイクルの観光客、軽快車の地元のおばさんまで老若男女を問わず島内は自転車であふれ返っている。まさかこれほどの自転車が来るとは予想していなかったので正直言って驚いた。やはり自転車で本州と四国を往来できるようになったということは画期的なことなのだろう。 まさに「しまなみフィーバー」である。

多々羅大橋

 約3kmほどで多々羅大橋の自転車道入口に着く。ここからつづら折れを繰り返しながら多々羅大橋まで上っていくのだが、自転車向きに非常にゆるやかな勾配になっており、なかなかよくできている。やっと橋の上まで上がると休憩所があり、記念スタンプなどが置かれている。ここで一息入れていよいよ最初の橋である多々羅大橋を渡る。自転車の通行料金は100円となっているが、 料金箱が設置されているだけで人はいない。いわゆる「無人販売方式」であるが、それでもほとんどの人は自転車を止めて100円を投入している。 まるでお賽銭のようなものである。自転車道は歩いている人もかなりいてあまりスピードは出せないが、さすがに一番外側を通るだけあって海の眺めは最高である。風もさわやかで実に心地よい。国道を走る車が小さく見えるほどずいぶん高いところを通っている。

多々羅大橋橋上

 数分で多々羅大橋を渡り終え、大三島に入る。ここからもう愛媛県だ。こちら側にも休憩所があって、自転車道はくねくねとカーブしながらゆっくりと下っていく。再び国道に出ると向かい側にはイベント会場があり、自転車道は国道の海側に移る。国道に併設された歩道のようなものだが、道幅は2mほどあり、段差が全くと言ってよいほどないので自転車が快適に走れるようになっている。 この辺はなかなかよく考えられているようだ。大三島の東海岸を4kmほど快調に走り、 自転車道の標識に従って狭い旧道に入る。 ここから小刻みなカーブを繰り返してかなりの急勾配で上る。ここは旧道をそのまま利用しているため勾配が自転車向きでなく、変速のない軽快車にはつらいだろう。きつい坂をやっと上りきると大三島橋のアーチが見えてくる。自転車の通行料金は50円。この橋は今回のコース中では最も規模が小さく、自転車道と原付道が同じ道の中でレーンで区分けされている。歩行者も少ないので走りやすかった。

大三島橋

 橋を渡り終えるとまた狭い旧道をくねくねと下り、しばらく山の中を走っていく。そして再び国道に合流して西瀬戸自動車道の下をくぐる。自転車道はまた国道沿いの歩道となるが、 グリーンに塗装されていてわかりやすいようになっている。ちょっとした坂を越えて伯方島の西海岸に出る。このあたりは道幅が広く、 快調に走れる。しかし伯方島の区間はわずか3kmほどしかなく、あまり印象に残っていない。やがて伯方・大島大橋が見えてきて、国道から別れて自転車道の上り口に入る。ここは新しく作られた専用道であり、やはり勾配がゆるく作られているので走りやすい。橋まで上りきると休憩所やトイレがある。この辺まで来ると車はかなり渋滞していて、ほとんど動いていない。ここも自転車道と原付道がレーンで分けられているだけだ。やはり歩行者は少ないので快適に走れる。橋を渡りきったところに料金所があって、通行料金は50円だ。

伯方・大島大橋

 いよいよ大島に入って、また新しく作られた専用道をゆっくり下っていく。この途中にある休憩所からは伯方・大島大橋の眺めがよく、斜面に咲いている菜の花も美しい。坂を下りきると県道49号線に出て、しばらく海岸沿いの気持ちよい道が続く。遠ざかるにつれて伯方・大島大橋の全容が見えてくる。宮窪町役場の前で右折して、 再び国道317号線に入る。ゆるやかな坂を上っていくと西瀬戸自動車道の宮窪ICに出る。ここから国道の交通量が急に多くなり、渋滞が始まった。というのも宮窪ICから大島南ICの間はまだ自動車道が開通していないからである。しかし自転車道は国道の両側に付けられており、そんなことは全く気にせず走れる。ここからがこのコース中最大の難所と言える区間で、宮窪町と吉海町の間にある峠を越えなければならない。標高は100mにも満たないのだが、ダラダラとなかなかこたえる上りである。かなり押す人も出てきたようだ。やっとピークを越えると今度は長い下りだ。最もスピードの出せる区間で、渋滞する車を横目に時速40km以上で走れる。あっという間に坂を下りきり、 吉海町の中心部に入ってきた。 この辺はさすがに賑やかでスーパーなどもあり、何か島の中を走っている気がしなかった。そして大島南ICを過ぎると再び30mほどの上りがあって、 それを越えればいよいよ来島海峡大橋が見えてくる。橋の真下には「いきいき館」という吉海町の施設があり、公園、レストラン、売店などがあって少し休憩していく。

 これからいよいよハイライトの来島海峡大橋に向かって上っていく。この橋は海面から70mもあるだけあって、 かなり上りごたえがある。もちろんここも新しく作られた専用道であり、ループ状にゆるやかに上っていく構造になっている。これだけを見ても自転車道のためにかなりの金がかけられていることがうかがえる。途中に休憩所もあり、歩いて上ってくる人などで賑わっていた。そしていよいよ橋上に出たのだが、 自転車歩行者道はすでに歩く人であふれ返っている。何と言っても世界唯一の3連吊り橋であるために、ここだけは歩いて渡ろうという人が押し寄せているのだろう。とにかくすごい人で自転車はなかなか進めない。団体でもいようものなら道幅いっぱいに広がってひどいものだ。それでも歩行者の間をすり抜けながら少しずつ追い越していく。もちろん立ちゴケが怖いので、片足ビンディングを外して浮かせている。たまに歩行者が途切れることがあるのでその隙に一気に距離を稼ぐ。やっとのことで真ん中の馬島まで来ると料金所がある。 自転車の料金は200円と最も高い。ここにはエレベーターがあって馬島へ下りられるようになっているようだ。そして料金所を過ぎるとますます歩行者が多くなり、いよいよ進まなくなった。次第にイライラも募ってくる。 結局、4kmの来島海峡大橋を渡り終えるのに30分近くもかかった。普通なら10分で渡れる距離だろう。しかし歩いている人たちはどちらかに車を置いてきているのだろうから、また4kmも歩いて戻るのだろうか。往復8km、 実際はアプローチを含めて10km以上はあるはずなので大変なことである。

来島海峡大橋

 最後の第三大橋を渡り終えるとまたループ状にぐるぐると下っていく。ここも歩行者が多くて飛ばせない。そして公園を過ぎるとすぐ今治市サイクリングターミナル「サンライズ糸山」があったのでちょっと寄ってみる。何とも素晴らしいロケーションではないか。さすがにちゃんと屋根付きの駐輪場も完備している。中に入るとガラス張りのロビーから来島海峡大橋の全容が眺められた。また外に出て写真にも収めてきた。サンライズ糸山を後にして、さらに県道161号線を下っていく。一応正式に「四国の土」を踏んでいくためである。県道沿いの自転車道もまた勾配をゆるくするためにつづら折れ状になっている。そして坂を下りきって信号2つ分走り、国道317号線と合流する地点で折り返しとする。時刻はちょうど正午であった。

 帰りはまた来島海峡大橋まで長い坂を上り、うんざりするような混雑の中、再び長い橋を渡る。ベルをジリジリ鳴らしながらわがもの顔で歩行者の間を突っ走っていくおっさんがいたが、あれはちょっと迷惑じゃないか。帰りもまた30分近くかかってしまった。そして大島の「いきいき館」で昼食にしようかと思ったが、混んでいそうなのでもう少し先まで頑張ることにする。行きに目をつけておいた吉海町のスーパーに入ると、何と弁当類はすべて売り切れ。こんなにサイクリストが多いと全部買って行ってしまったのだろう。しかたなく店頭で焼いている焼きそばとたこ焼きで昼食にする。しかも焼きそばはもう少しで売り切れるところだった。十分休憩をとった後、再び難所の峠を越える。ここを越えてしまえば後はもう楽なものだ。久々のツーリングの割にはあまり疲れもなく、大三島橋まで順調に戻る。橋から少し下ったところで偶然昨日YHで一緒だったサイクリストとすれ違う。こう自転車が多いとたぶんわからないだろうと思っていたが、向こうから気づいてくれた。時間はもう3時頃なのにまだこんなところですれ違うとは予想していなかったが、生口島を回っていたらしい。彼は何と今から松山まで走るそうである。ナイトランになるのは確実だが、どうもご苦労様です。お互いに健闘を祈り合って別れ、あと一息多々羅大橋を目指す。相変わらずすれ違う自転車は多く、まるで大会に参加しているような錯覚を覚える。夕方になって多々羅大橋の渋滞はさらにひどくなり、車はほとんど動いていない状態だった。休憩所で小休止して、あと3kmほどを走りYHに戻ったのは午後4時過ぎだった。距離は思ったより長く、往復81kmにもなった。それでも疲労感はほとんどなく、久しぶりに満足感のあるツーリングであった。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
81.49km 4:47:10 17.0km/h 46.9km/h 78m
峠ノ谷
78m
片雲の風に誘われて