2004.6.13 海を見よう!~熊野まで自走ツーリング~(1日目)

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自転車

実走日:2004年6月13日(日)
コース:天理~田原本~橿原~御所~五條~西吉野(立川渡)~天川(川合)

 最近自走でどこまで行けるか挑戦してみたくなっていろいろ画策していたが、まず三重県熊野市まで走るルートが浮上した。最短距離で行けば100km少々だから一日で走れない距離でもないが、厳しい峠越えもあり、軟弱な自分には無理と思われた。そこで考えたのがわざと大回りして天川で一泊し、行者還トンネルを越えるルートである。五條を経由すれば天川まで大きな峠がないことに気付いた。また一日あたりの登高量が500m少々に分散されるので、それほど負担はかからないだろうと思われた。昨年オープンしたばかりの天川YHに予約を入れ、準備は整った。梅雨時だというのに二日とも天気予報は上々。朝が待ち遠しい。

 今日の走行は70km足らずなので午前8時半頃ゆっくり自宅を出発する。急いで早く着きすぎても仕方がない。いつもツーリングの時は車から自転車を降ろしたり、駅前で組み立てたりという「儀式」があるのだが、自走ツーリングだとそれらが全くない。いつものように自宅からふらっと乗って行くだけだ。だからこれといって準備がいらない。この気軽さがとてもいい。すごく当たり前のことなのだが、ツーリングの最も原始的な形態である「自宅から自走」のパターンに長らく遠ざかっていただけに、むしろ新鮮に思える。いつも通っている道なのに今日は熊野を目指しているのだと思うと、何か景色まで違うように見える。千里の道も一歩からなのだ。

 国道24号を渡り、すぐ西側の道(下ツ道)を南下する。今里から寺川の堤防上の道に移り、田原本町役場を経て近鉄笠縫駅の南まで南下、県道を西進して飛鳥川を渡るところで飛鳥川サイクリングロードに入る。一応サイクリングロードなので快適に走れるが、道が右岸に行ったり左岸に行ったりしてわかりにくい。まっすぐ南下して近鉄のガード下をくぐり、地黄町で右折して初瀬街道に入る。この道は桜井と高田を結ぶ東西の旧道であり、利用価値が高い。国道24号橿原バイパスを渡って、曲川簡易郵便局のある角を左折し、JR金橋駅前を通過。このままずっと南下すればJR掖上駅へ出られるのだが、ダイヤモンドシティーができて道が変わっているのでちょっとわかりにくくなった。やがて曽我川沿いの県道に出てJR掖上駅に到着。

 ここからはJR和歌山線に沿って南下し、近鉄葛駅前から国道309号の旧道に入る。このあたりは古い町並みが続いて雰囲気がよい。吉野口駅を過ぎて国道309号バイパスの下から再び県道五條高取線に入る。薬水駅を過ぎると次第に上り坂となってくるが、線路沿いなのでそんなにきつい上りはない。田植えが済んだばかりの水田を見ながらのんびりと上っていく。やがて道が2車線になり、線路を二度渡ると重阪峠の上りとなるが、ここだけはちょっときつい。それでもこの道は奈良盆地から吉野地方へ抜ける道の中で最も楽なルートである。重阪の峠を越えると「テクノパークなら」という工業団地の中に入る。一気に下って国道24号に出る手前を左折し、もう少し先で国道24号に合流する。ここからは国道を走るしかないが、下りなのであまり気にならない。このあたりはなぜか交通量も比較的少ない。今井町のコンビニで昼食を調達し、ブログに最後の書き込みを入れる。この先は熊野まで圏外でどうしようもない。ここでだいたい11時頃。ほぼ予定通りである。今日は北風がやや強く、追い風にずいぶん助けられた。

 五條市街から国道168号に入り、大川橋を渡る。実はこの道は車でもほとんど走ったことがない。いつもは樺ノ木峠経由でショートカットするからだ。今日は日曜日ということで多少交通量が多い。割と平坦だと思っていたけれども、生子町を過ぎてからは結構な上りとなる。トンネルを抜けたところでちょっと休憩。深い谷の眺めが素晴らしい。見下ろせば幻の五新線跡となったJRバス専用道路がまっすぐに走っている。そこを過ぎれば上りも一段落し、梅林で有名な賀名生に着く。そろそろ昼食にしたいと思って適当な場所を探していたが、ちょうど手頃なベンチが見つかったのでここで休憩とする。時間調整のため長めに休憩して12時半頃に出発。

 向加名生で川が大きく蛇行した後、橋を二つ渡って西吉野トンネルが現れるが、このトンネルは結構長く、しかも上っているのであまり走りたくない。ここは別に急がないのですぐ手前の道を左折してトンネルを迂回する。川沿いの旧道はやや上っているが、どうせ同じ高さまで上るのだから無駄にはならない。川の眺めも良く、ちょっと得した気分である。再び国道に合流すると、間もなく下市方面から来る県道と合流する。城戸からはゆるい上り坂を宗川野まで上っていく。この時点でまだ標高240m。これからがいよいよ本格的な上りとなる。

 宗川野で国道168号と別れて県道勢井宗川野線に入る。この道は以前下り方向で使ったことはあるが、上り方向は初めてである。立川渡の集落を過ぎて茄子原あたりまでゆるやかに上っていく。茄子原を過ぎると西日裏まで集落はなく、谷筋の木陰の道を走る。おかげであまり暑さを感じずに走れる。道の斜面をびっしりと埋め尽くすユキノシタの群落が凄かった。そして西日裏の集落に着いた。数軒の民家が寄り添うだけの小さな集落ではある。ここで補給食をとりながら少し休憩。まだまだ時間は早い。そこから1km少々行くと最後の集落である勢井に到着する。ここで標高約480m。トンネル入口まであと120mほどの上りである。勢井を過ぎると今までより勾配は増してくるが、思ったほどきつくもなかった。ダラダラした感じの坂を上り詰めていけばやがて前方に橋が見えてきて、そこで上りが終わることを示している。

 橋を渡ると新笠木トンネルと新川合トンネルのちょうど中間に出る。ここまで来ればもう天川に着いたも同然だ。以前はまだもう一つ峠を越えなければならなかったが、新川合トンネルの開通により、ずいぶん楽になったものだ。全長2,751mの奈良県最長トンネルに突入する。入ってすぐは左にカーブしているので出口は見えない。平日はほとんど交通量もないが、今日は日曜日なので結構車が多い。やがて道がまっすぐになるとはるか先に出口の明かりが見えてくる。しかしここからが長い。天川方向へはゆるい上りになっているのだ。ぜんぜんスピードが上がらず、15km/h前後しか出ない。途中で幅の狭い非常通路に上がってみたが、すぐ横が壁という圧迫感があって余計に怖い。結局すぐ車道の左端に戻る。最近開通したトンネルではあるが、自転車の通行は全く考慮されていない。出口は見えているのに行けども行けども近づいてこない。15km/hしか出ていないので当然だ。結局10分かかって長いトンネルを抜けたのであった。トンネルを抜けると天川までは下り一方、3分とかからずに川合の交差点に到着する。時間はまだ3時だ。天川村観光案内所横のベンチで缶コーヒーなど飲みながら大休憩。今からYHへ入るには早過ぎるので1時間もボーッとしてしまった。何という余裕だろうか。

 天川YHはミタライ方面へ入ってすぐの神社の前にあり、とても便利なところにある。4時にチェックインする。今日は日曜の夜とあって宿泊者は自分だけらしい。昨年できたばかりなので建物は新しく、まだ真新しい畳のにおいがする。今日は夕食の準備ができないらしいので川合の信号前にある食堂「かどや」で夕食を済ませる。帰ってきて風呂に入るが、誰もいないので何もすることがない。オフシーズンのYHはいつもこんなものだ。これで経営が成り立つのかちょっと心配になってしまう。せめてインターネットでもつながれば暇つぶしできるのだが、完全に圏外だからどうにもならない。特にすることもなく、翌日に備えて9時過ぎに早々と就寝する。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
67.23km 4:03:11 16.6km/h 47.5km/h 645m
新川合トンネル南口
585m

■ノート

天川YHは1泊朝食付税込3,650円(YH会員の場合)。

片雲の風に誘われて