1994.6.3 紀伊半島ツーリング(1日目)

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自転車

実走日:1994年6月3日(金)
コース:紀伊田辺~中辺路町~川湯温泉

 午前6時40分、普段ならまだ寝ている時間に最寄りのJR桜井線櫟本駅からガラ空きの電車に乗り込む。高田で和歌山線に乗り換えるが、通学時間帯とぶつかり車内は高校生で満員である。五條までウルサイ高校生には閉口した。五條で大半の高校生が降りてようやく静かになったと思ったのも束の間、どこからともなくまたうるさい輩が乗り込んできて、他の乗客の迷惑を顧みず大声で騒ぐ、出入口に座り込むなどやりたい放題。まったくどこに行っても高校生のマナーの悪さが目立つ。彼らはいったい学校で何を習っているのか。和歌山で紀勢本線の普通列車に乗換え、11時38分紀伊田辺に到着。

 駅で昼食を済ませ、自転車を組み立てて12時30分に出発する。朝来まで6kmばかり国道42号線を走り、R311入口と書かれた交差点を左折して国道311号線に入る。しばらくは古い民家の間の狭い道が続く。ようやく市街地を抜ける頃、富田川の右岸に出る。ここからは2車線となり走りやすくなる。道は軽いアップダウンを繰り返し、標高はなかなか上がらない。淡々とした道であまり記憶に残っていない。

 国道371号線と分かれるあたりからようやく上り基調となる。といってもゆるい上りで苦しいほどではない。川幅も狭くなり、かなり上流に来たことを感じる。どんどん川をさかのぼり、福定で旧道と新道に分かれる。ここから最初の難関、逢坂トンネルへの上りが始まる。国道の標識に従って行けば自然に新道に入ってしまう。新道は立派な2車線道路でだらだらした長い上りが続く。旧道の方は曲がりくねりながら、さらに高いところまで上っている。本来ツーリングでは昔ながらの旧道をたどった方が楽しいのだが、軟弱な私はついつい楽な方を選んでしまう。なかなか終わらない長い坂を8km/hくらいでトロトロと上る。ここで早くも荷物の重さに苦しむことになる。ずっしりと背中にへばりつく不快感。そして何よりも腰に負担がかかる。やっぱりドイターのデイパックをあきらめて28リッターの登山用ザックを持ってきたのが失敗の元だった。背中の蒸れによる不快感を我慢しながらようやく新逢坂トンネルに着く。このトンネルは長さが1402mもある。20km/hくらいしか出ないところを見ると若干上りになっているようだ。トンネルを抜けるのにかなり時間がかかった。

 トンネルを抜けると50km/h以上出る豪快なダウンヒルが楽しめる。背中の汗が一気に引いていく。もう一つトンネルを抜けてちょっと下るとそこで新道は途絶えている。ここから先は工事中でまだ完成していないので矢印に従って左折する。ところがこれがとんでもない急坂で、ほとんど乗車で上れないような急勾配だ。でも押しは絶対にやらないので最初のうちは頑張ってまっすぐ上っていたが、そのうちへたばってきてついに必殺ジグザグ上りまで登場する。やっとのことで旧道に合流して箸折峠に到着。ということは旧道を通っていればこんな坂を上らなくて済んだのだった。だいたい標識というのは車本位に作られているので自転車だったら旧道を通った方が絶対楽だと思う。

 近露を過ぎると本日最大の難所、小広峠への上りが始まる。ここからは狭い1車線で車もほとんど通らない静かな道が続く。最初のうちはかなりきつい勾配が続くが、野中の手前まで来ると勾配もゆるくなってくる。このあたりは杉林の中を行く雰囲気のいい道である。やがて道の左側に野中の清水が現れる。この道はかつての熊野古道の一つで中辺路と呼ばれる歴史のある道だ。昔の旅人が喉を潤した清水で水をガブ飲みし、ボトルの水を補給する。喉が乾いていただけに生き返る思いだった。このあたりは深い山々に囲まれたすばらしい風景が広がる。やっぱりこういう道を走るのが本当のツーリングだなと思う。

野中の清水

 野中を過ぎるとアップダウンが多くなり、ここが峠かなと思ったらまた上っていたりして、着きそうでなかなか着かない。ちょっと上方に看板のようなものが見えて、そこが峠であることを確信し、ややきつい勾配を上ってようやく小広峠に到着する。小広峠のバス停がある。ここは標高537mで、田辺から標高差530mを上ってきたことになる。

小広峠

 小広峠を越えると急勾配のダウンヒルが続くが、道が狭いのでスピードはあまり出せない。右に左にカーブをこなしながら長い下りを楽しみ、荷物の重さも忘れる爽快さだ。大瀬まで下ってくると時間制限通行止めにぶつかり車がたくさん止まっている。45分通行止め15分通行可というやつだが、ちょうど車が動き出したところで待ち時間なし。なおも下り坂は続き、地図の上では武住峠、串峠があるが実際はトンネルでいつ越えたのかわからないほどだ。トンネルの横には旧道が残っているが、またも楽な方を選んですっ飛ばしてしまう。そして渡瀬で国道311号線と別れ、温泉隧道を抜けて午後4時頃今夜の宿、川湯温泉に到着する。河鹿荘YHで宿泊手続きをし、大汗をかいたので早速温泉に入る。夕食後、河原の露天風呂にも入った。

 今日の宿泊者は四国から車で来た2人組とライダーが2人と僕で5人。平日にしては多い方だ。車で来た2人は新逢坂トンネルの手前で僕を追い抜いて行ったが、意外に早く着いたので驚いていた。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
57.90km 2:42:23 21.4km/h 56.0km/h 537m
小広峠
530m
片雲の風に誘われて