2005.4.21 八重山ツアー2005(2日目)~石垣島一周~

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自転車

実走日:2005年4月21日(木)
コース:登野城~白保~星野~伊原間~野底~伊土名~米原~崎枝~名蔵~新川~登野城

 四度目の八重山訪問となった今年は初めて自転車を持ち込んで6泊7日のツアーを決行した。今回の最大の目的は与那国島であるが、フェリーの運航日の都合で2泊3日しかいられないので、それ以外の日は特にどこへも行かず石垣島で過ごす予定である。3年前に初めて石垣島を訪れたときに平久保崎や川平湾などめぼしいところは回ったが、本数の少ない路線バスだったので途中の名所はまったく見ることができず、何としても自分の足で石垣島一周だけはしておきたかった。八重山へ来る人はたいてい空港に着いたらすぐ離島へ渡ってしまうので、意外と石垣島は知らない人が多いのだ。しかし石垣島にもまだまだいいところがたくさんある。単なる中継地にしてしまうのはもったいない。

 今回の旅の伴はMR-4F。初めての飛行機輪行ということで自転車を壊されないか心配であったが、特にこれといった対策はとっておらず、いつもより空気圧を1気圧下げたのと、ホイールの固定を厳重にした程度である。チェックインのとき手荷物として預けるだけなので鉄道の輪行より楽といえば楽だ。ただ空港のX線検査装置に入らないため、中を開ける必要があり、ちょっと面倒ではある。石垣空港に着いて手荷物を受け取ると、あちこち動いているものの一応壊れていないようだ。ひと安心。しかし悲劇は組み立てるときに起こった。クランクが回っているのに気づかず展開したせいでリアのブレーキアウターがクランクに引っかかり、強く引っ張られてリアブレーキのアジャスターボルトが破損してしまった。まだ1メートルも走ってないのに大ショックである。出発前から万事休すかと思われたが、幸いブレーキの効きに支障はないようで走るのに問題はなかった。しかし場所が場所だけに気持ちのいいものではないが、現地で修理するのは不可能と思われるのでだましだまし乗るしかない。着いたのが16時前だったのでその日は特にどこへも行けず、YH八洲旅館まで3キロほど走ってチェックイン。

 翌21日は7時頃起床し、YHで朝食をいただいた後、9時前に出発する。市街地を出るとコンビニなどまったくないので、とりあえず昼食と飲料を調達してから国道390号を東へ向かう。今日の天気予報は晴れ、降水確率10%となっているが、雲が多くほとんど晴れ間がない。だいたいこの辺の天気予報はまったく当たらないので信用してはいけない。いきなりスコールみたいな大雨が降ることもあるのでちゃんと雨具は積んである。空港の南側を過ぎ、大浜で初めて海岸に出る。曇り空で海の色は冴えない。宮良湾に沿って走っていくとやがて宮良橋にさしかかる。この橋の上から宮良川河口のマングローブ林を見ることができる。マングローブといえば西表島が有名だが、もちろん石垣島にもちゃんとある。橋を渡って間もなく宮良を通過し、サンゴ礁で知られる白保に着く。ここは昨年訪れたので今回はパス。H”が通じるのはここが最後なのでとりあえずメールのチェック。

宮良川のマングローブ林

 白保の集落を過ぎると国道左手に広大な墓地が広がり、沖縄独特の亀甲墓がどこまでも並んでいるのは壮観だ。この先大きな集落はなく交通量はぐっと少なくなり、ゆるやかにアップダウンを繰り返すようになる。どことなく北海道を思わせる広大な放牧地帯が続く。同じような風景が続くのであまり記憶に残っていない。カーラ岳手前で本コースの最高地点を通過し、もう一度上り返して大里の集落に着く。

白保~大里間

 大里からはいったん海岸近くまで下り、間もなく星野の集落に入る。ここは3年前お世話になった石垣島トレックYHのあるところだ。懐かしいバス停を確かめた後、YHの前を通ってみる。石垣島北部を回る拠点としてはよいのだが、あまりにも不便すぎて泊まる人が少ないらしい。4年連続で石垣島には来ているが、離島桟橋まで5分の魅力に負けてどうしても八洲旅館の方へ行ってしまう。YHをやめようかという話もされていたのでもう一度泊まっておかなければとは思うのだが・・

星野

 星野を過ぎ、小刻みにアップダウンを繰り返しながら伊野田・大野と集落を過ぎていく。何だかちょっと雲行きが怪しくなってきた。大野の先の岬を回り込むと、前方の丘の上に赤瓦の屋根が見えてきた。あれが玉取崎の展望台だ。石垣島に来た人は必ずといっていいほど立ち寄る有名な観光スポットだが、路線バスでは本数が少なすぎて途中下車するわけにはいかなかったからまだ行ったことはない。国道から左へ分かれて上る道があるのでそちらへ入る。かなりの激坂を息を切らせながらも何とか押さずに上り切った。頂上には駐車場が完備されていて、ほとんどの人はレンタカーでやって来る。そこで自転車を降りて遊歩道を押しながら上っていく。頂上には東屋があって標高は35mほどだけれども、眺めは素晴らしく、細長く突き出した平久保半島とうねうねと走る国道が地図の通りに眺められる。石垣島を代表する定番の風景だ。一帯は公園になっていて咲き乱れるハイビスカスの赤い花が南国情緒を添える。

玉取崎展望台より平久保半島

 玉取崎で30分ほど休憩した後、坂を一気に下って国道に戻り、間もなく国道390号の終点に着く。ここで県道石垣港伊原間線と平野伊原間線に分岐している。

国道390号終点

 とりあえず直進して平野伊原間線の方へ入る。1kmほどで伊原間の集落に着き、中学校や郵便局などがある。ここは平久保半島の付け根にあたり、石垣島の最も幅が狭くなった部分だ。最も狭い部分はわずか300メートルしかない。石垣島北部の拠点となっている集落でもある。3年前に降りた覚えのある懐かしいバス停を確かめておく。

伊原間バス停

 平久保半島は前に行ったので今回はパス。というより平久保半島を含めると大幅に距離が延びてしまうのだ。海へ出られる道を探して林の中を抜けていくとパッと海に飛び出す。この感じが好きだ。

海へ抜ける道

 時間はちょうど12時前なのでここの砂浜で昼食タイムにする。ほぼ予定通りの時間で来ている。天気もまた持ち直してきたようだ。日が差すとジリジリと暑い。前には誰もいない砂浜が広がっているけれども、シュノーケリングのサービスだろうか、時折船がやってきて人を乗せていく。日陰がなくて暑いのであまり長くもいられず、食事だけとって12時過ぎに伊原間を後にする。再び国道の終点まで戻り、今度は石垣港伊原間線の方へ右折する。

伊原間の海

 直線路が終わると結構きつい上りにさしかかる。標高50m付近まで上って野底石崎を回り込むとやっと下りになり、野底の集落に出る。そしてもう少し行くと左手にひときわ目立つ特徴のある山が見えてくる。野底岳だ。標高はわずか282mしかないが、その非常に尖った山容は見る者を引きつける。山頂からは360度の展望が広がり、石垣島の北半分をすべて眺められると言われる。一度登ってみたいものだ。野底小学校のある下地に着いたところでにわかに空が曇り、パラパラと雨粒が落ちてきた。それ以上強くなることはなかったけれども、ちょうど小学校の前に屋根付きの休憩所があったのでその中に入ってしばらく雨をやり過ごす。15分ほど待って雨は止んだ。

野底岳

 再び走り出し、一つ丘を越えると海岸に出て、左手には大きな湿地帯が広がっている。ここが吹通川河口のヒルギ群落であり、石垣島最大のマングローブ林として知られている。結構観光客も来ているようだ。

伊土名のヒルギ群落

 そこからまたいくつかアップダウンをこなすと右手に海が広がってくる。ここが浦底湾だ。また天気も良くなってきて海の色がきれいだ。

浦底湾

 さてここから崎枝までの間、本コース最大の難所であるアップダウン地獄が続く。石垣島の東岸は比較的なだらかだが、西岸は山が近く急斜面が多いのだ。まず米原まではずっと上り。坂を上り切ると左手にヤエヤマヤシ群落への入口がある。以前バスで来たときは寄れなかったので、少し上らされるけれども遊歩道の入口まで一直線に上っていく。終点にはバスの入れる駐車場があって土産物屋もある。れっきとした観光地になっている。世界に三ヶ所しかないと言われるヤエヤマヤシ群落のうち、最大規模のものがこの米原の群落である。駐車場からも密集するヤエヤマヤシがよく見える。中へ入ってしまうとかえって見えないだろうから、遊歩道には入らずここから眺めるだけにしておく。ところがここでまたアクシデントが起きた。無精して自転車にまたがったまま写真を撮っていたら、フロントバッグの重みでハンドルが回り、バサッと倒れてしまった。自分の太腿に当たって思いっきり痛い。なんか立ちゴケしたみたいで恥ずかしい。幸い体に大した傷はなかったが、よく見るとボトルケージの溶接が破断して取れかかっているではないか。ほんの一点だけでかろうじてつながっている状態である。このままでは取れてしまうのは時間の問題だ。取れてしまったらボトルを入れる場所がなくなって困る。こういうとき針金でも持っていれば応急処置できるのだが、あいにくそんな気の利いたものは持ち合わせがなかった。

米原のヤエヤマヤシ群落

 飲料が底をついていたのでまた自販機で500ml飲料を購入するが、重くなったボトルに今にも取れそうなボトルケージが耐えられるのか気が気でなかった。すっかり意気消沈して米原を後にする。

米原キャンプ場付近

 米原を過ぎてなおも続くアップダウン地獄に疲れが見え始め、ますます気分が重くなる。石垣港までの距離を示す標識の数字がなかなか減らない。吉原の集落までずいぶん長く感じたけれども、そこを過ぎると下りとなって川平湾に入る。この辺は3年前に来たことがあるので見覚えがある。しかしまた上らなければならない。今日は川平へは寄らず、県道を左折して上下線に分かれた坂道を上っていく。標高50mほどのピークを越えると崎枝の交差点である。ここを右折して屋良部林道へ入れば御神崎の方へ行けるが、3年前にレンタサイクルで回ったので今回はパス。交差点から坂を一気に下って海岸に出ると、右手に長く伸びる屋良部半島が名蔵湾越しに望める。あとはずっと海岸沿いの走行だ。もう大きな上りはないと思えば元気が出てきた。標識の数字もあと15kmを切っていた。

屋良部半島を望む

 天気もよく晴れてきて気持ちよく海岸線を走っていく。そして名蔵に近づいたところで砂州の上にかかる名蔵大橋を渡る。このあたりは名蔵アンパルと呼ばれる広大な湿地帯になっている。

名蔵アンパル

 湿地帯を抜けると、何という木なのかわからないが、きれいな並木が続く道を快走する。そして冨崎方面へ向かう道と分岐するが、ここは左にとって山越えの最短ルートに入る。前勢岳の麓まで50mばかり上らなければならないが、勾配も緩やかで大したことはない。丘を越えると遠くに石垣の市街が見えてきた。ああ、やっと帰ってきた・・。あとは坂を下って県道をまっすぐ走れば八重山郵便局の前に出る。16時半頃、八洲旅館に帰着した。すぐシャワーを浴びて、味処「岩」へ夕食に出かける。やっぱり連泊で走るのは荷物がないから楽だな。

名蔵付近の並木道

 今日は73kmを超えて今年の最長距離を走った。後半はかなり疲労が見られたが、まあ一日で回るにはちょうど程よい距離だろう。ボトルケージも何とかもってくれた。天気が冴えなかったのがちょっと残念だけれども、これで石垣島をすべて見られたので満足である。やっぱり石垣島は北部がいい。今回は行かなかったけれども、特に平久保半島の放牧地帯がお気に入りだ。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
73.41km 4:09:41 17.7km/h 44.5km/h 65m
カーラ岳付近
65m
片雲の風に誘われて