1996.11.3 熊野路・風伝峠から七色峡へ

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自転車

実走日:1996年11月3日(日)
コース:紀宝町ウミガメ公園~阿田和~尾呂志~風伝峠~長尾~育生町大井~七色~桃崎~小阪~大泊~木本~阿田和~紀宝町ウミガメ公園

 古座川の一枚岩キャンプ場で一夜を明かし、午前8時15分に出発地点に向けて移動する。あらかじめ調べておいた「道の駅・紀宝町ウミガメ公園」までは結構遠くて、車で1時間半ほどかかる。10時前にようやくデポ地点に到着し、10時20分に出発する。この道の駅は紀宝町と御浜町の境界付近にあり、周回コース上には含まれていないため、阿田和までの約3kmはちょっと余計な往復となる。他に適当なデポ地点を思いつかなかったのでしかたがない。

 国道42号線を熊野市方面へ走り出す。約10分で周回コースの起点となる阿田和に到着する。ここで「紀和」の標識を見て左折し、県道62号線に入る。JRのガード下をくぐると時間制限通行止の看板が目に留まり、ちょっといやな予感がするが、時計を見ると今まさに15分間の通行可能時間帯で非常にラッキーである。問題の工事箇所はダートになっていて走りづらかった。秋から冬にかけてはこのような工事が多くて困る。県道は尾呂志川に沿ってゆるやかに上っていく。ほとんど意識しないほどの上りであり、25km/hほどで軽快に走る。このあたりは主産業であるミカン畑が多く、黄色い実をつけている。

尾呂志のミカン畑

 中立でオレンジロードと呼ばれる農道と交差し、さらにゆるやかに上る。西ノ原を過ぎると少し上りらしくなってくる。さらに上ると少し開けた尾呂志の集落に着く。ここで初めて写真を撮る。ここから約1kmほど直線状の少しきつい上りが続き、国道311号線の風伝トンネル東口に着く。トンネルの手前左側に旧道があり、こちらに入る。いきなりかなりきつい上りとなるが、少し行くとそれほどでもなくなる。深い木立の中の上りはなかなかいい雰囲気で、少しだけ下界の展望が開ける箇所がある。やがて茶店の建つ風伝峠に着く。「風伝餅本舗」とあるが、果たして営業しているのかどうかわからない。峠の名前の由来は風が強いことから来ていると言われる。標高は257m、なかなかいい名前の峠である。かつては沿岸部と奥地を隔てる関所として重要な地位を占めたと言われるが、現在は風伝トンネルの開通により通る車もなく、完全にさびれた雰囲気である。

風伝峠

 写真を撮って峠を辞し、これより紀和町となる。少し下って「長尾7km」の標識を見て右折する。山腹に沿って少し下って行くが、また上りとなる。しかし、それほどきつくはない。やがて地図にはない立派な2車線の道と合流する。ここは右に行くのが正しいと思われるのでそのようにする。ここから県道40号線となる。また山腹を上って行くが、このような等高線に沿う形での上りは展望が良く、最も好きな上りである。やがて展望が大きく開ける箇所に出て、眼下に名勝・丸山の千枚田が広がる。標高は300mそこそこであるが、意外に高度感があり、山の斜面に広がる集落やはるか眼下の谷を見下ろすことができる。やがて上りが終わって丸山の集落に着く。実にいい雰囲気で、また写真を撮っておく。ここからは等高線に沿う形でほぼ水平に走る快適な道である。斜面に田圃が広がるのどかな風景を眺めながら、やがて長尾に着く。

丸山の千枚田

 さらに小刻みなカーブを繰り返して平谷に着く。ゆれるススキの穂が美しい。ここに公園があるので昼食にする。時間はちょうど正午である。今日はかなり距離も長く、しかもその日のうちに帰るという強行軍のため、あまりゆっくりしている時間もないので足早に出発する。平谷を過ぎるとすぐ熊野市となり、かなり長い下りが続く。このあたりは深い木立の中である。やがて育生地区に到着する。ここで道が二手に分かれるところがあるが、左の道に入れば橋を渡って国道169号線に出る。

平谷の公園にて

 橋を渡ったところは和歌山県北山村である。ここは奈良県と三重県の間に挟まれた和歌山県の飛地であり、全国で唯一の飛地の村である。ここからは北山川に沿って走るが、少しばかりアップダウンもある。国道といっても交通量は非常に少ない。まだ先は長いので30km/h前後で飛ばす。奥瀞橋を過ぎるとやがて七色峡が見えてくる。七色峡は黒っぽい巨岩が林立する荒涼たる風景であり、その水の色は神秘的である。ここに湧き水があったのでボトルの水を補給しておく。

 七色峡を過ぎるとやがてかなり急な上りとなり、暗いトンネルを抜けると七色ダムの堰堤に着く。堰堤を渡ったところを右折すると新大路トンネルを越えて最短距離で熊野市に出られるが、標高500m以上まで上らされるのはつらいので、左折して小坂峠経由で熊野市に出ることにする。道はしばらく七色貯水池の湖畔を走る。紅葉と深い緑色の湖水とのコントラストが美しい。小刻みなカーブが多く、若干アップダウンがある。やがて道は貯水池を離れて谷を上っていく。最後はかなりきつい上りでトンネルを越え、一気に桃崎の集落まで下る。

 桃崎は少し開けたところで、いくつか店もある。自動販売機でジュースを買ったら、何ともう一本おまけが当たってしまった。こんなときに当たっても重たくなるのであまりありがたくないが、めったにないことなのでとりあえず一番軽そうなコーヒーをもらっておく。さてここから国道309号線に入る。この道は奈良と熊野を結ぶメインの街道なのでやや交通量が多い。少しずつではあるが、大又川の上流に向かって徐々に上っている。やがて佐渡という名の集落に着く。ここから小さな丘を越えて国道42号線との交差点に着く。

 佐田の交差点を右折して国道42号線に入る。意外と交通量は少ない。しかし小坂峠まであと1kmほど上らなければならない。この上りが結構きつい。かなり疲労がたまってきているのでなかなかこたえる。やっとトンネルが見えてきた。手元に5万図がないので正確にはわからないが、標高は約350mである。長さ350mほどのトンネルを抜けると待望のダウンヒルである。しかしカーブがきついのと、減速用の黄色いラインが邪魔であまりスピードが出せず、40km/h平均くらいで下る。遠くに熊野灘も見える。だが上りの車がまき散らしていった排気ガスで空気が悪い。ここを逆に上るのは非常に嫌である。国道42号線の中でも荷阪峠に次ぐ難所と言えるだろう。

 佐田坂と呼ばれる長い下りが終わると大泊に着く。ここまで来ると漁船が見え、潮の香りを感じる。山の風景から一気に海の風景に変わった感じだ。熊野とは山も海も美しいところなのである。ここから海岸に沿って走るが、また少し上りがある。トンネルの手前に鬼ヶ城の看板があり少し入ってみるが、おびただしい数の観光客と土産物屋の立ち並ぶ完全な観光地に嫌気がさしてすぐ引き返す。鬼ヶ城トンネルは実は自転車通行禁止なのだが、その標識は車道トンネルのすぐ前にあってぎりぎりまでわからない。歩道トンネルは引き返さなければ入れないので何とも不親切な標識である。もっと手前に標識を立ててほしいものである。蛍光灯照明の歩道トンネルを抜けるとややこしい路地のようなところを通って何とか国道に戻る。そして熊野の市街地を通過するが、意外と小じんまりとした街である。ここから海岸線ぎりぎりを走るシーサイドラインが続く。左手には黒っぽい砂浜に白波が打ち寄せている。ここで最後の写真を撮っておく。やがて松の防風林が現れて海は見えなくなる。ここから七里御浜と呼ばれる松原が続く。道はほぼ一直線で非常に単調である。しかしまだ向かい風でないだけ助かった。坂がないのもありがたい。それでもかなり疲労がたまってきているので22~25km/hしか出ない。完全な消化コースでつまらない。阿田和を過ぎてからの3kmもかなり長く感じられたが、午後3時40分頃ようやくデポ地点にたどり着いた。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
81.36km 3:46:50 21.4km/h 47.8km/h 325m
小阪峠
320m
片雲の風に誘われて