光学式心拍計の精度はどこまで信用できるのか?

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昨年2月に初めてのスマートウォッチAmazfit Paceを買い、今年の6月からはAmazfit Stratos3に買い換えて半年ほど使ってきました。走行ログを取るだけならeTrex 30xで十分なのでいらないのですが、心拍数を同時記録してstravaに上げるのがスマートウォッチの主な目的です。

ところが長いこと使ってますとスマートウォッチに搭載されている光学式心拍計って本当に信用できるのだろうか?という疑問が湧いてきました。というのも、ハァハァ息を切らして激坂を登っている最中に心拍数が100を切ってたり、逆に休憩してる間に突然170以上に上がったりとか、どう考えてもあり得んやろ?ってことがたまに起こるのです。そういう時ってたぶんセンサーが汚れてるとか、汗が溜まってるとかが原因だろうと思って、いったん外して汗を拭き取ってから付け直したりしてるのですが、それでも直らないことはよくあります。そんなことが度重なると、だんだん表示されている心拍数が本当に正しいのか信用できなくなってきました。これってもしかしてAmazfitがダメだからなのか? 一時はスマートウォッチの買い換えも検討しました(物欲とも言う)。

光学式心拍計の弱点

光学式心拍計の原理についてはGarminのサイトに詳しい記述がありますが、簡単に言いますと、皮膚の表面にある毛細血管に光を当てて反射してくる光を測定し、血流量の変化から脈拍を読み取っているということなんですね。その変化は極めて微小なものです。しかし実際には大きな筋肉が動くだけでも血流量に変化が生じるため、運動中は常にノイズが乗っかっている状態なんですね。その中から本来の脈拍だけを検出する技術は非常に困難なもので、メーカーのノウハウでもあります。

確かに安静時に測ってみるとどんなスマートウォッチでも正しい脈拍を示しているように思えます。しかし運動中になるとそれが全くうまく行かなくなることがあります。何かの拍子にノイズを本来の脈拍と誤って検出してしまうと、全く別のものを測定してしまう可能性があり得るのです。たまにめちゃくちゃな値になるのはそういうことだったんですね。別に汗が溜まっているからではなさそうです。

一般的に最も正確な心拍計は心臓から発生する電位を直接測定する心電式心拍計(いわゆる胸ベルト)であり、精度から言えばそれに敵うものはありません。現在の技術では光学式心拍計の精度は最大で95%と言われており、それがスマートウォッチの限界です。別にAmazfitがダメなのではなくて、たとえGarminに買い換えても一緒ということです(ここで物欲が消えた)。

心電式心拍計と光学式心拍計の精度比較

そういうことがわかると、やっぱりあの鬱陶しい胸ベルトを使うしかないのか?という気になってきました。確かに完璧な精度を求めるならそれしかないでしょう。でもガチのアスリートでもない限り、完璧でなくてもある程度心拍の変化に追従してくれればそれで十分とも考えられます。大事なのは心拍の絶対値ではなく、変化に追従してくれるかどうかなんです。

そこでスマートウォッチと胸ベルトで同時計測して精度を比較してみました。これは今までちゃんとやったことがなく、何となくそういうものだろうと思って使ってきましたが、一度ちゃんと検証してみればどこまで信用できるのか把握できるはずです。その結果によっては胸ベルトを使わなくてもスマートウォッチで十分じゃないかという結論になるのです。

使用したのはGarminの心拍センサーです。だいぶ古いものなので結構重いです。長いこと使ってません。ベルトも伸びてきたのでそろそろ限界か? これをeTrex 30xとリンクさせて記録し、GPXファイルをstravaにアップロードしました。

以下にロードバイクでヒルクライムした時の心拍数グラフを示します(stravaより引用)。横軸は時間ではなく距離ですが、ちょうど真ん中あたりで上りから下りに移ります。運動時間としては全体で約71分です。

まずこちらが胸ベルトの結果。一応これが正しいと仮定してリファレンスとします。平均心拍数は134で最大心拍数は161でした。

そしてこちらがスマートウォッチの結果。平均心拍数は136で最大心拍数は165でした。

スケールがほぼ同じなので、わかりやすいように両方重ねてみました。濃い赤が胸ベルトで薄い赤がスマートウォッチです。

こうやって比較してみますと、数値的にはほぼ一致していますし、少なくとも前半の上り部分に関してはほぼ完璧といえるくらい追従できています。正直ここまで正確とは思いませんでした。走行中にリアルタイムで表示されるデータをモニターしながら比較していましたが、確かに両方ともピッタリ一致していることを確認できました。スマートウォッチの場合、よく言われるように遅延があるので、だいたい5~10秒くらい遅れてついてくる感じですが、それでもしっかり追従できていることはわかりました。どちらかというと、心拍が上がる時より下がる時の方が遅れる傾向がありますね。後半の下り部分ではバラツキがやや大きくなっていますが、経験的には長時間休憩したり、下り坂で体が冷えているときにおかしくなる頻度が高いように思います。それでも最終的には回復してほぼ追従できているので、このくらいの精度が得られれば実用上問題はないと思います。

光学式心拍計の精度を上げるために留意すべきこと

今回のデータは奇跡的にうまく行ったケースで、常にこれほど高い精度が得られるとは限らないのが悩ましいところです。今までの経験上では3回に1回くらいは全然ダメなケースもありました。

しかし光学式心拍計の原理上、精度を上げるために留意すべき点についてGarminからいくつか提唱されています。今回はそれを守って計測したのでうまく行った可能性もあります。特に重要なのは次の2点です。

1. ウォーミングアップを十分にする

特に寒いときは手首の血流が少なくなっているため、脈拍の検出が難しくなる傾向があります。そのため運動前に十分ウォーミングアップして血行を良くしておくことが推奨されています。今回のコースは平坦から始まって徐々に勾配を増すタイプだったので、自然とウォーミングアップができていたのかもしれません。いきなり激坂を登ったりするとうまく追従できない可能性もあります。下り坂でおかしくなる傾向があるので、やはり体を温めることが重要な気がします。

2. スマートウォッチを正しく装着する

意外といい加減にしがちですが、光学式心拍計は非常にデリケートなので正しい位置に装着しないと精度が低下する可能性があります。Garminによると、運動時は手首の関節から指2本分上に着けることが推奨されています。できるだけ心臓に近い方が血流も多いので測りやすいということでしょうね。ただ、これはわかっていても長袖を着ているとなかなか難しいんですよね。

またベルトの締め付けは緩すぎてもきつすぎてもいけません。ユルユルで回ってしまうようなのはもちろんダメですが、逆にきつく締めすぎると今度は血流が阻害されてしまうため、それもNGということです。目安としては時計を動かして皮膚が一緒に引っ張られるくらいの強さが良いらしいです。これは今まで知らなかったので目から鱗でした。

しばらく様子を見ます

光学式心拍計の弱点として、急激な心拍の変化には追従できないことが言われています。だから突然アタックをかけて心拍が急上昇したりすると、たぶんついて行けません。そこまで正確に取りたいなら胸ベルトを使うしかないでしょう。しかし通常のサイクリング程度で心拍が徐々に変化するような状況ではスマートウォッチでも十分追従できることはわかったので、細かいことを言わなければこれで実用上問題ないと言えます。

今回きっちり比較検証してみた意味は大きいと思います。これまでデータの裏付けがなかったので本当に合ってるのか疑心暗鬼だったのです。たまにおかしくなる時はあるとはいえ、正しく装着していればそこそこまともなデータが取れていることはわかったので、まったく無意味でないことは確認できました。最近の心拍ベルトは結構軽くなっているので、あまりに精度が低いようだと中華の安いやつを買ってそっちに乗り換えようかと思っていたのですが、これでしばらく様子を見ることにします。やっぱりあの胸ベルトの鬱陶しさは耐えがたいんですよね(笑)。

コメント

  1. romi より:

    毎度お世話になります。
    Stratos3が便利で使ってます。
    ここ3ヶ月程前から心拍が??ってなってます。
    160位になるピークで90とかのすうちが出てあり得んやろう、とかなってます。
    ファームが上がってからか?と感じておりますが、記事拝見して、アルゴリズムとかややこしいハードルが色々あるんだろう、と感じております。
    まあ検査機器並みの精度を求めてはいないのですが、gpsが秀逸なだけに、なんだかなぁ..てところです。安いし面白いから(物欲的に)いいっか!

  2. SORA より:

    >romiさん

    Stratos3使いになられたのですね。
    心拍が怪しいのは初めからあったので、ファームは関係ないと思います。
    そもそもGarminでも起こり得ることなので光学式の宿命です。
    その他いろいろバグがあるので早く直してほしいんですが、なかなかアップデート来ないですね・・

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