1995.4.8 伊賀越と関の宿場町

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自転車

実走日:1995年4月8日(土)
コース:柘植~新堂~平田~上阿波~伊賀越~河内~中縄~関~加太~柘植

 このコースは、3年前の秋に初めて走って以来2回目のチャレンジである。いや正確に言うと2.5回目のチャレンジである。というのは昨年の春、途中まで行って道路崩落のため引き返したからだ。ようやく道路も開通したので再挑戦することにした。

 名阪国道上柘植IC付近にある「芭蕉公園」からスタートする。ここには、3台くらいしか置けないが、一応駐車場がある。まず国道25号線を上野方面に戻る。簡単に35km/hくらい出るところを見ると、かなり強い東風を受けているようだ。JR新堂駅のすぐ西にある信号を左折し、県道2号線に入る。名阪国道の御代ICの上を渡ると古い家並みの中のゆるい上り坂となる。ちょうどよいウォーミングアップにはなるが、上り坂は結構だらだらといつまでも続く。ようやく下り坂になると広い田圃の中に出る。途中やや道のわかりにくいところがあるが、ほぼ道なりに行けば国道163号線の大山田村役場前に出る。

 あとはひたすら国道163号線を津方面に向かう。しばらくの間はほとんどわからないくらいのゆるい上り坂が続く。交通量は少なく、走りやすい。しかし予想通りかなり強い向かい風となった。20km/hをキープするのがやっとである。単調な道なのになかなか進まないのがもどかしい。やがて道は山の中に入って行き、下阿波を過ぎるとだらだらした長い上りが現れてくる。ここでもまともに向かい風を受けて二重苦である。

 やっとのことで最後の大きな集落である上阿波に到着し、郵便局の前で最初の休憩をとる。ここまでの所要時間は1時間弱であった。上阿波から先はさらに勾配がきつくなり、12km/hくらいでゆっくりと上って行く。汁付を過ぎると完全な山岳コースとなり、ゆるいカーブを描きながら林間を上って行く。左手に小さな休憩所を見て、長野峠の少し手前で道が大きく右にカーブする地点に伊賀越との分岐点がある。標識のない狭い道なので初めての人は迷うかもしれない。ここで国道163号線と別れて伊賀越の峠道に入る。

 狭い峠道に入ってすぐのところにある橋の上で上りに備えて休憩をとる。下の小川を見下ろすと水は限りなく澄んでいて美しい。この橋を渡るといきなり急坂が現れる。ここは何とか立ち漕ぎで一気に上る。急坂を上り切るとなぜか道の真ん中にチューブラータイヤが落ちている。パンクで張り替えたのだろうが、こんなところに捨てて行ったらサイクリストのモラルを疑われそうだ。

 とにかく峠までノンストップで上ることが目標だ。勾配はゆるくなったりきつくなったりを繰り返すので比較的上りやすい。林の中を抜け、道が大きく右にカーブするとまもなく伊賀越の峠である。峠にはサイクリスト3人が休憩していたので軽く挨拶する。この峠もサイクリストの間では結構有名になってきたのだろうか。峠は切り通しのようなところで特に展望はきかないが、やはり峠の頂上で大休止する。

伊賀越
※写真は冬に撮影したもの

 やっと汗が引いたところで峠を辞し、下り始める。峠を越えると伊勢路となる。少し下ったところで展望が開け、前方に見える鋸歯状の山並みがダイナミックな景観を見せる。道は再び深い林間に入って行く。林道の趣のある非常に雰囲気のよい道である。ただ、この道は5万分の1地形図では実線で示されている狭い道であり、しかも急勾配の上に小刻みなカーブが連続するので下りには細心の注意を要する。おまけに路面には砂が浮いているのでグリップ力の強いMTBならともかく、タイヤの細いロードレーサーはすべりやすく危険である。最近新車に乗り換えてからブレーキの効き過ぎでかなり怖い目に遭っているので特に神経質になっている。特にカーブの途中でタイヤをロックさせることは非常に危険である。カーブの途中ではなるべくブレーキをかけないように手前で十分減速することが重要だ。結局、下りなのに20km/h以下でゆっくりと下りることになる。ガードレールのない箇所が多いので、オーバースピードで突っ込んだら大変なことになる。非常に神経を使う下りが続くが、ひときわ急峻な錫杖ヶ岳がときどき頭をのぞかせて心が弾む。途中対向車とのすれ違いのため一時停止し、ドライバーに道を尋ねられる。

 やがて最初の集落である覚ヶ野に着く。ここまで来るとようやく険しい峠道から開放されてほっとした気分になる。あとは川沿いの道で思い切り飛ばすことができる。川はやがて幅を増し、ついに安濃ダムによって堰止められた錫杖湖となる。湖畔には子供向けの遊技施設や食堂もあり、土曜日ということで家族連れで賑わっている。さらにトンネルを抜けてダムの近くまで行くと、展望台やベンチのあるきれいな公園があるので再びここで大休止する。ここから眺める錫杖湖は、錫杖ヶ岳をバックにして緑色の美しい湖水をたたえている。

錫杖湖

 公園からはさらにトンネルを1本抜けて坂道を一気に下って行く。途中長徳寺の龍王桜は桜の名所として知られているが、まだ少し早いようで残念。そして長徳寺のすぐ先に橋があるが、これは渡らずに直進するのがポイントである。その方があとの道がわかりやすい。ここからは集落の中に入るので少々道がわかりにくいが、そのまま道なりに行けば横山池の横を回って自然に伊勢別街道に出られる。伊勢別街道を関方面に向かって行くが、少々交通量が多く、ゆるやかなアップダウンもある。名阪国道の下をくぐるとまもなく国道1号線に出る。さすがに信号が長い。

 国道1号線を横断して鳥居をくぐるとすぐ旧東海道に出る。ここが東の追分と呼ばれる地区だ。ここで左折して旧東海道を走る。関は鈴鹿峠を控える東海道の宿場町として栄えた町で、街道沿いには今も古い家並みが残る。道は茶色にカラー舗装され、電柱も取り払われているが、木曾路の妻篭・馬篭のように観光用に作り過ぎた感のある宿場町と違って、今もここで暮らす人々の生活の匂いが感じられるところが好ましい。観光客目当ての土産物店さえないが、道行く人のクラシックな自転車は一昔前に戻ったような錯覚を覚えさせる。現在も生き続ける宿場町の姿がここにはある。

 宿場町の中心地・地蔵院の前で休憩し、さらに西へ走って西の追分と呼ばれる地区で東海道と別れ、国道25号線に入る。これから帰るにはさらにもう一つ峠を越えなければならない。ここからは加太川に沿ってゆるやかな上りが続く。幸い、今度は追い風になったので助かる。関西本線の線路を渡るとやがてJR加太駅に着く。しばらくは加太の集落の中を走るが、普段はほとんど交通量のない道なのに今日は異常に交通量が多い。その理由はすぐにわかった。並行する名阪国道の工事に伴う渋滞を避けるため迂回してくる車があるからだ。確かに名阪国道は渋滞で全然動いていない。しかし地元の住民にとってはさぞかし迷惑なことであろう。この狭い道に大型車が通ってツーリング気分を壊される。

 北在家の集落を過ぎると本格的な峠道となる。ここでもノンストップでの峠越えを試みる。道は何度かつづら折れを繰り返しながらジリジリと上って行く。だんだん息苦しくなるが、不思議なもので、ある点を越えると楽になる。しかし上り坂は終わりそうでなかなか終わらない。疲れが見えてきた頃ようやく道が平坦になり、そして下り始める。この峠は平坦であまり峠という感じがしない。少し下ると左手に思いがけないきれいな池が現れる。こんなところに池があるのは意外な感じがする。しかし道路工事のためダートになっていて、ほこりっぽいのが残念である。ここからは道幅も広くなり、追い風に乗って快調に飛ばす。途中小さなアップダウンもあるが、下りの勢いで上れてしまうくらいなのであっという間に芭蕉公園に着く。結局、関からノンストップで帰ってきてしまった。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
64.57km 3:09:47 20.5km/h 53.0km/h 510m
伊賀越
340m
片雲の風に誘われて