NESTO GAVELのファーストインプレッション

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グラベルロード自転車

寒かったり天気悪かったりで全く乗っておりませんが(笑)、ちょっとだけ暖かくなったのでヒルクライム性能を試しに行ってきました。これでグラベル走行とヒルクライムの両方をやりましたので、実走のインプレッションをしてみたいと思います。

ポジション微調整

レビューに移る前に、ちょっとした問題が発生しましたので、それを先に解決しておきました。トップチューブ長がロードバイクと同じだからステム交換は必要ないと思っていたのですが、乗ってみると何となくハンドルが遠い気がするのです。最初は変だなと思ったのですが、あることに気づきました。


ドロップハンドルのフラット部からカーブの先端までの距離のことをリーチというそうですが、もしかしてこれが違うんじゃないかと思って実測してみました。すると案の定、ロードバイクより約1cm長いことがわかりました。違和感の原因はこれでした。人間の感覚はやはり正しいものです。

こうなるともうステムを交換するしかありません。標準で90mmのステムが付いているのですが、1cm短い80mmに交換することにします。ただステムって結構値が張るんですよね。メーカー品だと最低4000円はします。このところ装備品購入で出費がかさんでいるので、なるべく出費は抑えたい。

そこでお得意の中華ですよ(笑)。安いのだと1500円くらいからありますが、レビューを見ると結構怖いことが書いてあるので、あまりに安いのは避けました。中華は精度の悪いものがあるので、バリがあってはまらないとか、ハンドルが滑ってズレることもあるそうです。そうなったら即事故につながりかねないので、レビューに悪いことが書いてないものを慎重に選びました。中華としてはやや値段高めですが、メーカー品に比べたら半額なので、まあ安いといえるでしょう。角度が6°なので標準の7°とちょっと違うんですが、まあスペーサーで適当に調整しましょう。

ステムが届いて走行前にすぐ交換しましたが、心配した精度は全く問題なく、ネジ切りもしっかりしています。表面のつや消し塗装は非常にきれいで高級感があります。ハンドルが滑ってズレるようなことは全くなかったですね。これは普通に良い商品でした。

ステムを80mmにしたところ、ロードバイクと同じ感覚になったので一件落着です。なおハンドルの高さはイージーに乗りたいということもあり、ロードバイクより少し高めに設定しています。

タイヤ


標準のタイヤはCST製のC1894という型番の700x38Cが付いています。ネットで調べると公称重量は425gとなっていますが、市販されているものとデザインが異なるので完成車向けの廉価版かもしれません。ということで重量はあまりあてになりません。

このタイヤは高さ2mmくらいのノブがトレッド面全体にあり、センター部は小さいノブが直線状に配置されています。完全につながっているわけではないので、舗装路ではある程度転がり抵抗が発生しそうな感じです。

空気圧は3.4~5.1barが推奨されていますが、よくわからないので中間の4.0barに設定しました。

平坦舗装路での走行感

当たり前ですが、タイヤが太いので乗り心地はいいです。路面状況を気にしなくていいのは想像以上にストレスがないですね。ただブロックパターンのせいで常に微振動は感じますね。わずかながらロードノイズも聞こえます。

加速感はロードバイクより明らかに悪く感じます。スピードに乗るまでが重たい感じ。貧脚には30km/hも出せません。25km/hが限度。漕いでも進まず、まるで後ろから引っ張られているような気がします。接地抵抗が大きいせいで、ペダルを止めた時の減速も早いです。少し向かい風があるとあっという間にスピードが落ちます。速度を維持するには常に漕ぎ続けなければならないので、長時間乗るほど疲労が蓄積していくことが予想されます。

グラベルでの走行感

標準のタイヤはそれほどノブが深くないため、濡れた石や木の根、ぬかるみなどがあると滑ります。しかしドライコンディションの砂利道であれば十分走れます。トレイルのような道を走るには38Cでは不十分で、やはりサスペンションの付いたMTBの方が圧倒的に有利でしょう。石畳は走れないことはないですが、突き上げがかなり大きいので快適とは言えません。

このバイクの守備範囲としては、荒れていないダート林道やフカフカの土の道くらいまでと思った方がいいでしょう。

ヒルクライムでの走行感

ロードバイクと比べて車重が2.5kg、タイヤが2倍近く重いわけですが、それが登坂でどのくらい影響するかテストするため、ヒルクライムのタイムを測ってみました。

コースはいつもよく登っているところで、ロードバイクでのタイムはだいたいわかっています。stravaのセグメントがあるので、過去のデータと比較すれば一目瞭然です。ただし、いつもより頑張ったり、逆に手を抜いたりすると意味がなくなるので、心拍計も見ながら普段通りのペースを維持するように意識しています。

このセグメントの標高差は224m、距離は4.25kmあります。タイムは止まっている時間もカウントされているので「移動時間」のところを見て下さい。途中でウインドブレーカーを脱ぐため、この停止は必ず入ります(笑)。ロードバイクだと移動時間はだいたい21~22分台が多いですが、GAVELでは23分14秒かかりました。大雑把に言って1分遅いくらいですね。逆に速くなったりすると意味不明ですが(笑)、タイヤの重さから考えて妥当なところではないかと思います。車重が2.5kg重くてもそのくらいの差しかないんですね。

ただ脚に来る感覚としてはかなり違いますね。GAVELはフロント48x32Tが付いているのでギア比としてはロードバイクより軽いはずなんですが、ロードだと30Tで登れる坂が34Tでないとしんどかったりします。大まかに言ってロードよりギア1枚重くなった感じですね。12%級の激坂は34Tで何とか登れる感じでしたけど、それ以上きつくなると厳しいかもしれません。

これにはタイヤ径の影響もあると思います。太いタイヤは幅だけでなく高さもありますから、25Cと38Cを比べると直径で約2cm大きくなります。その分ギア比が大きくなったのと等価なので、フロント48x32Tが付いていると言っても実質的には50x34Tとほぼ同じくらいになります。そのことを考慮すると体感でギア1枚分重くなるというのはおおよそ合っていると思います。

ブレーキは効かない

何人かのYouTuberが言っているように、GAVELの最大のウィークポイントはブレーキだと思います。とにかく新品の時は全然効かなくて恐怖を感じます(笑)。少し乗って当たりが出てきたので、ちょっとはマシになった気がします。それでも105のリムブレーキの方がはるかによく効きますね。初動でリムブレーキのようにガツンと効かないので、シュルシュルと滑りながらようやく止まる感じです。下り坂だと下ハン握らないと力入らないので怖いです。

標準のブレーキキャリパーはテクトロのMD-C510という片押し式で、お世辞にも効くとはいえないのです。その上、パッドが減ってきた時に必要な再調整もかなり面倒です。まあコストダウンのため必要最低限のものを付けた感じで、ここだけはケチりすぎですね。

そのことはあらかじめわかっていましたから、できるだけ早く両押し式のMD-C550に交換したいと思っています。両押し式でも効き自体は大して変わらないと言いますが、左右独立してパッドの位置調整ができるので調整はかなり楽になると思います。パッドの片減りも起きにくいので、交換する意味はあると思います。さすがにEQUALは高すぎて手が出ません(笑)。

タイヤをどうするか?

走行感が重く感じる原因は、車重ではなくてタイヤの重さから来るものでしょう。400g以上あるタイヤを履いてるんですから重いのは当然です。さらにチューブも合わせると600g前後になるでしょう。これが上りになると重りのように効いてきます。

したがって走行性能を上げるにはタイヤを軽くするのが一番有効であることは間違いありません。グラベルロードをロードバイクと兼用しようと考える人がはまる罠は、タイヤを際限なく細くしようとすることですね。標準のホイールなら28Cまで細くすることはできます。ただそこまでやっちゃうとロードバイクと変わらなくなるんですよね(笑)。

1台しかないのであればまだわかりますが、ロードバイクと2台持ちであれば目的が曖昧になってしまうのは一番いけません。したがって一線は越えてはいけないと思うのです。そのためにはどういう使い方をするかはっきりさせておくことが不可欠ですね。

もし現地近くまで車載でアプローチしてグラベルだけを楽しむような使い方であれば、38Cくらいがちょうどいいと思います。状況によってはもう少し太くしてもいいかもしれません。ただ自分の趣味からしてそういう遊びでは絶対満足できないと思うんですよね。アプローチも含めて、ある程度距離を走りたいからです。

仮に7割くらい舗装路を走って3割がグラベルだとしても、38Cで舗装路を走るのは相当辛いですね。実際にはグラベルなんかほとんどなくて、あっても1割未満とか、荒れた舗装路ばっかりというケースが大半でしょう。そうなると38Cは無駄に太いので、もっと細くして軽快に走りたくなります。

そこで考えられる最適解としては、32Cに交換することでしょうね。最近のディスクロードは32Cまで入ることも多いのでロードバイクとの境界が曖昧になっていますが、そのくらいならギリギリグラベルと言える範囲でしょう。舗装路での転がり抵抗だけを考えればスリックの方がいいですが、それではグラベルでのグリップが心許ないので、やはりセミスリックくらいにした方がいいと思います。具体的な銘柄でいえばグラベルキングSSの700x32Cくらいですかね。

新たな懸念

ただ32Cに交換したとしてもまた別の問題が残ります。そのくらいあれば一応グラベルを走れないことはないですが、38Cなどに比べれば走破性は劣り、より高度なテクニックが求められます。やはりグラベルロード本来の性能を発揮させるには38C以上でなければなりません。本格的なグラベル遊びをするには38Cは最低限必須といえるでしょう。

また32Cのような中途半端な太さにすると、舗装路ではロードバイクより走行性能が明らかに劣ってしまいます。車重もあるのですからなおさらです。自分のようにほぼ舗装路しか走らないのであれば、わざわざ重くて走行性能の劣るものを選びたくないでしょう。より速くて楽なロードバイクを選んでしまうと思います。

そうなると結局乗らなくなることが懸念されますね。よく言われるようにグラベルロードは中途半端だから結局乗らなくなるという意見です。確かにそれも一理あります。ですから本当は38Cのままで使い、グラベル専用と割り切るのが正しいのです。ただそうすると今度は走る場所がないという問題に直面します。グラベルロードが活用できる場面としてはダート林道のようなところが想定されますが、そのような場所は近くにはなく、泊まりでわざわざ出かけなければならないんですよね。そんな機会が年に何度あるでしょうか?

普段はロードばかり乗って、年に何度かの旅行のときだけグラベルロードを持ち出すというのでは、ほぼ一年中家でお留守番しているのと同じです。グラベルロードって結構でかいですから、ほとんど乗らないものをただでさえ狭い家に置いているのは壮大な無駄なのです。

グラベルロードにおけるタイヤの選び方は非常に多くの問題を抱えていて、一筋縄ではいかないのです。おそらく誰に聞いても最適な答えを出せないくらいの無理難題です。そのことがよりグラベルロードを中途半端な存在にしているのでしょうね。

片雲の風に誘われて

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