1994.10.23 宮城高原広域農免道路

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自転車

実走日:1994年10月23日(日)
コース:大野寺~室生寺~角川~宮城~長野~青蓮寺湖~名張~大野寺

 昭文社の「山と高原地図」を見ていて面白そうな道を見つけたので行ってみた。下調べは全くしていないので、この道が舗装されているのかどうかさえわからなかったが、林道じゃなくて農道なんだからたぶん舗装されているだろうという全くいいかげんな推測でとにかく行ってみた。この道は室生寺からの県道と名張からの県道をつないでいるので周回コースがとれる。

 近鉄室生口大野駅の近くにある大野寺を出発し、県道28号線に入って室生寺方面に向かう。室生川沿いの道をゆるやかに上っていく。この道は何度も走っているが逆に上るのは初めてだ。室生寺の少し手前で後輪から変な音がしたので後ろを見たらフリーホイールに枯れ草を巻き込んでいる。何重にもぐるぐると巻き付いているのでかなりやっかいだ。タイヤを逆転させたりギアチェンジしたりして何とかして取り除いたが、おかげで手が油で真っ黒になってしまった。余計な時間を食ってしまったが、もう少し行くと室生寺の賑やかな門前を通り抜ける。こんなところで前田真三写真館なる大きな看板があるのが気になった。北海道じゃないのに変だなとそのときは思っていたが、あとでよく考えてみればここも氏の主な撮影地だったからで妙に納得。

 室生寺を過ぎてから珍しくランドナーとすれ違いピースサイン。道はなおもゆるやかに上って行き、角川のバス停のところで目的の広域農免道路の入り口を見つける。コンクリート舗装だが一応舗装はされているようだ。農道に入るといきなり急坂になり早くも休憩。一回目の休憩からちょっと行くときれいなアスファルト舗装に変わり、道幅も1.5車線くらいはある。この分だと問題なく行けそうだと安心する。ただロードの大敵スリット状の溝蓋が多いのが気になる。これが現れるたびに減速してタイヤをはさまれないように斜めに横切らなければならない。最初のうちは10%くらいの急坂が休みなく続いて非常にきつい。少しずつ休みながら上る。そして最初に民家が見えてきたところが宮城(みやしろ)の集落で、ここまで来るとようやく楽になる。このあたり一帯が宮城高原と呼ばれる地域である。

 集落を過ぎてゆるい坂を上っていくと、いきなり目の前に通行止の標識が現れた。自転車でも自動車でも通行止で痛い目にあった経験が何度かあるのでこういう時は素直に引き返した方がいいのだが、ここまで来て引き返すのも嫌なのでゲートが開いているのをいいことにまた性懲りもなく無視して進入してしまった。でも通行止ってなぜもっと早く教えてくれないのだろう。やがて切り通しの峠のような場所に出てようやく上りが終わる。標高は約700mで、さすがにここまで上ってくると半袖ジャージにレーパンでは少し寒いので、下りに備えてアームウォーマーを着ける。少し下ると展望が開けて、思わず止まって写真を撮る。前方には古光山、その右手には三峰山と近畿の名山が幾重にも重なり合うすばらしい眺望だ。

 そこからもう少し行くと工事のトラックが道路をふさいでいる。ついに工事現場にぶつかってしまった。でも工事の人が自転車なら担いで通れると言っていたのでそのまま自転車を押してトラックの横を通ると、そのすぐ向こうで土砂崩れが起きていた。しかしここは自転車を少し持ち上げて路肩を歩けば難なく通過できた。これでもう安心と気持ちよく走っていたら今度は目の前に倒木が・・・。それも1本や2本ではない。土砂と一緒に押し流された倒木がそれこそ山のように積もっているのだ。今度は手ごわい。いったいこんな所をどうやって通れと言うのか。やっぱり引き返すしかないのかと一瞬呆然としていまった。しかし、よく見れば木の下をくぐり抜けて何とか行けそうなので強行突破を試みることにする。人間だけならわけなく通れそうなのだが、自転車を担いでとなると大変である。最初の方は自転車を倒しながら木の下をくぐり抜けてなんとか通過できた。しかし、そのあとぬかるみがあり、それを避けるようにして通るのが大変だった。倒木はまだまだ続き、最も楽に抜けられそうなルートを選びながら自転車を持ち上げたりして何とか崩落箇所を無事通過できた。ロードでとんでもない担ぎをやる羽目になってしまった。自転車を担いで峠を越える人はさぞかし大変なんだろうと妙に感心してしまった。でも自転車はやっぱり便利である。バイクだったら絶対こんな真似はできないだろう。

 また余計な時間を食ってしまったが、崩落箇所を抜けると正面に屏風岩の見事な柱状節理の絶壁が広がっていて写真を撮る。そして、さあ出発しようと思ったらペダルが入らない。さっきぬかるみの上を歩いたおかげでSPDシューズのクリートに泥が詰まっていたのだった。その泥を石で取り除いてクリートを掘り出し、ようやく入るようになった。そしてこれでもう土砂崩れはないだろうかと半信半疑で出発する。ここからもずっと屏風岩を左手に見ながら走るが、アップダウンが多くなかなか下りにならない。そしてようやく下りになると今度は勾配がきつすぎてあまりスピードを出せない。下っているとトラックが止まっているのが見えたのでもう車が入れるということで安心した。長野の集落に出る手前で道が直角に曲がるところからの展望がすばらしい。左には屏風岩が間近に最も雄大に見える。そして右には古光山、そのとなりに美しい三角形の倶留尊山と曽爾高原の草原がさえぎるものなく見える。この突き当たりを右折して少し下ればすぐ長野の集落に出て名張から来ている県道に入る。これで広域農免道路は終わりである。展望の良いルートだが工事が終わるまでは行かない方がよい。

古光山を望む

 ここから香落渓を経て名張に至るルートは前にレポートしているので省略。香落渓を見ながら名張市街まで快調に下る。国道165号線に出る交差点の手前で車が渋滞しているが、左側が狭くて通れないので対向車が切れるのを見計らって強引に右側から追い越す。そして国道165号線を左折して、あとは大野まで戻るだけである。単調な幹線道路なので特に見るべきものはない。今日は珍しく向かい風ではないので、ずっと30km/hで巡航できて快適である。でも何度かアップダウンがあるのでしんどい。かなりきつい上りを越えて近鉄の駅があったと思ったらまだ三本松だった。もう二つくらいアップダウンを越えるとすぐ大野である。

走行距離 走行時間 平均速度 最高速度 最高地点 最大標高差
53.18km 2:37:38 20.2km/h 54.0km/h 670m
宮城付近
480m
片雲の風に誘われて