オリンパス双眼鏡 8×25 WP IIのレビュー

スポンサーリンク
ハイキング

山に登ったとき山頂からの展望は楽しみの一つですが、双眼鏡があればいいなと思ったことはないですか? きっかけは今年の2月に登った明神山での出来事でした。山頂に無料の双眼鏡が設置してあるんですが、それを覗くと肉眼では全く見えなかった明石海峡大橋が見えたんですよね。他にもはるか遠くの大峰山脈の山々を一つ一つ確認できたり、山の後ろに隠れてほとんど見えない大台ヶ原を垣間見た時には感動しました。もともと近視で遠くがよく見えないので、双眼鏡って凄いなと思いました。

それ以来、自分でも双眼鏡が欲しいと思って情報を収集し、実際に購入しました。ここでは選び方のポイントと購入した商品についてレビューしてみたいと思います。

双眼鏡があると山登りの楽しみが増える

山頂からの展望が良いとワクワクするものですが、遠くの山まで見えていても意外とどれが何の山なのか識別することは難しいんですよね。奈良から富士山が見えることもあるそうですが、普段は考えられないほど遠くの山まで見えたというのは登山の醍醐味でもありますね。もちろん山に限らず、橋やビルなどの人工物もそうです。山の上から普段住んでいる町の隅々を俯瞰するのは楽しいものですね。

ただ、いくら視力の良い人でも肉眼で見える範囲には限界があります。ましてや近視だと全体にぼやけてよく見えないので遠くの山までは確認できません。数十キロ以上離れた山を同定するのは肉眼ではかなり困難といえますね。

そんな時、双眼鏡があれば遠くの景色を大きく引き寄せて見ることができ、アンテナ塔や風車、送電線などの人工物を手がかりにして山座を同定することが可能です。また山と山が重なっていると肉眼では見分けることが困難ですが、双眼鏡を使えば後ろに隠れている山をはっきり分離することができます。地図と併用すればすごく遠くの山まで見えていることに感動することでしょう。

また鳥に興味のある人ならバードウォッチングにも使えますし、双眼鏡が一つあるだけで山歩きの楽しみが大きく広がります。もちろんコンサート鑑賞やスポーツ観戦にも使えるので、一つ持っておいて損はないですね。

双眼鏡の選び方

倍率だけにとらわれてはいけない

初心者が必ず気にするのは何と言っても倍率でしょう。どうせ買うなら倍率は高い方がいいと思っているからです。でもこれは大きな間違い。倍率は必ずしも双眼鏡の性能を表すものではありません。むしろ倍率が高くなるほど他の性能は低下します。

倍率というものは使用目的によって選ぶものです。むやみに高い倍率を求めても意味はありません。一般的に登山用なら8倍くらいあれば十分で、10倍を超えると手ブレで見づらくなりますので三脚の使用や防振装置の付いた製品が必須になってきます。

また後で述べますが、倍率が高くなるほど暗くなるという性質があります。これは二律背反なので両立はできません。ですから必要以上に高い倍率は百害あって一利なしということなのです。

明るさ(瞳径)が重要

双眼鏡の性能を表す指標として瞳(ひとみ)径というものがあります。これは簡単に言えば接眼部から少し目を離して見たときに像がどのくらいの大きさで見えるかを表します。瞳径はミリ単位で表し、それを2乗した数値を明るさと呼びます。明るさは光束の面積に比例するからです。

瞳径は下の式で簡単に計算することができます。

瞳径(ミリ)=対物レンズの有効径(ミリ)/倍率

ここで倍率が高くなるほど瞳径は小さくなる、すなわち暗くなることがおわかりでしょう。一般的に瞳径が人間の瞳孔の大きさと同程度であれば肉眼と同じ明るさで見えると言われています。瞳孔の大きさは明るさによって変化し、個人差もありますが、明るい日中なら1~3ミリ程度、夜間なら5~7ミリ程度と言われています。したがって、瞳径がそれと同等以上ある双眼鏡を選べば肉眼で見たときと同じ明るさで見えるということになります。もちろん日中か夜間かによって基準は異なります。

双眼鏡のスペックの表し方

双眼鏡のスペックを見ると様々な数値が書かれていますが、このうち最も重要なものは倍率と対物レンズの有効径です。これがわかれば瞳径と明るさは計算によって求めることができます。

一般的に倍率と有効径は「倍率×有効径(ミリ)」という形式で表記されます。例えば倍率が8倍で対物レンズの有効径が25ミリなら 8×25 と表記されています。この場合、瞳径を計算すると3.1ミリ、明るさは9.8となりますから、日中であれば十分な明るさがあると言えます。

マルチコーティングの有無

コーティングというのはレンズ表面で起こる乱反射を防止するための薄い膜のことを言います。全ての波長に対応したものはマルチコーティングと呼ばれますが、一つの波長にしか対応しないものは単層コーティングと呼ばれます。当然、マルチコーティングの方が高級です。

マルチコーティングの有無は非常に重要で、もしマルチコーティングがないと乱反射によって靄がかかったみたいにぼんやりと見えてしまい、とてもクリアな視界にはなりません。安価な粗悪品だとマルチコーティングどころか単層コーティングさえないものがあるので、そんなものは論外です。

またマルチコーティングと書いてあっても外側のレンズだけにしかない場合もあります。それだと効果は今ひとつなので、理想的にはすべてのレンズ面にマルチコーティングが施されていることが望まれます。その場合は「全面マルチコーティング」と書いてあります。

ポロプリズム式とダハプリズム式

双眼鏡の光学系には大きく分けてポロプリズム式とダハプリズム式があります。プリズムというのは光を曲げるための光学部品ですが、その配置によって2つの方式があるのです。

一般的に接眼レンズと対物レンズが同軸上にないものがポロプリズム式で、同軸上にあるものがダハプリズム式になります。ポロプリズム式の長所は構造が単純で安価、光学性能を上げやすいことにあり、短所は小さく折り畳むことが困難なことです。ダハプリズム式の長所は小さく折り畳むことが可能、短所は光学系が複雑で高価になりやすいことです。

これは別にどちらが優れているというわけではないので、用途に応じて適切に選ぶことが必要になります。

アウトドアでの最適解は8×25

双眼鏡には倍率より明るさが大事だと言いましたが、むやみに明るければいいというものでもありません。明るいほどレンズの直径が大きくなりますから当然重くなります。登山などのアウトドア用途では重量というのも無視できない性能です。ですから光学性能と重量のバランスを考慮して選ぶ必要があります。

結論から言いますと、登山で使うには8×25というスペックが最適です。これなら瞳径は3.1ミリあって十分ですし、重量は250~300g程度なので山に持って行くにも無理のない重さです。もう少し小さい8×21という製品も多くありますが、ギリギリ使えるかなというレベルなので、特に軽さを求めない限り8×25を選んだ方が後悔はないと思います。逆に8×30より大きいものは重すぎて登山には向きません。

天体観測用とは分けて買う必要がある

双眼鏡が欲しいと思った理由にはもう一つ「天体観測」がありました。近視だととにかく星が見えない(笑)。だからどうせ買うなら天体観測にも使えるくらい高性能なものが欲しいと思っていました。要するに星空がはっきり見えるように「明るさ」にこだわるということですね。

ところが上の話をお読みになればこれは無理だということがおわかりでしょう。明るさを求めるとどうしても重くなってしまうからです。天体観測は非常に暗い対象を見るので瞳径でいえば5~7ミリくらいの双眼鏡が必要です。でもこのクラスになると重量は1kg近くにもなり、とても山には持って行けませんね。それに気付いたところで諦めました(笑)。

したがって登山用と天体観測用は別々に2台持つ必要があるのです。兼用はできません。よくやりがちな失敗は8×30くらいの中途半端に大きい製品を買ってしまうことですね。これなら1台でどちらの用途にもそこそこ使えそうな気がしますが、裏を返せば帯に短したすきに長しということです。登山用には重すぎるし、天体観測には明るさが足りません。結局どっちつかずになってもう一度買ってしまう将来が目に見えています(笑)。

OLYMPUS 双眼鏡 8×25 WP IIのレビュー

検討の結果、選んだ商品はこれです。Amazonでポチりました。

選んだ理由

このクラスの製品は選択肢が多く、ニコン、ペンタックス、オリンパスなどの日本メーカーから、よくわからない中華メーカーまで非常に多く販売されています。あまりにも多すぎて選択に困るかもしれませんが、僕は迷わずオリンパスの上記製品に決めました。理由は次のようなところです。

  • 登山に最適な8×25というスペック
  • 全面マルチコーティングである
  • Amazonで売れ筋である
  • 約9千円と手頃な価格
  • 防水仕様である
  • 約260gと軽い
  • コンパクトに折りたためる
  • モスグリーンがかっこいい

でも僕自身がオリンパスフェチだということが最も大きかったりします(笑)。久しぶりにオリンパス製品買ってやったぜ!

外観


シンプルでスッキリした形状。表面はマット仕上げでしっとりした感触があります。安っぽさはないと思います。中央にはピント調整ダイヤル、右の接眼部にのみ視度調整ダイヤルがあります。ダイヤルの動きは滑らかでガタは感じられません。接眼部を左に回すことにより引き出すことができ、眼鏡をかけている人はそのまま、裸眼の人は引き出して使います。


使わないときはコンパクトに折り畳むことができます。収納ポーチ、ネックストラップも付属しています。

使い方

人の目は左右で視力(視度)が違うことが普通なので、左右別々に視度を調整する機能があります。ただその方法がちょっと変わっているので慣れが必要です。

視度を合わせるには、まず右目を閉じて左目だけで覗きながら中央のピント調整ダイヤルを回して最もはっきり見えるように調整します。次に右目だけで覗きながら、右の接眼部にある視度調整ダイヤルを回して最もはっきり見えるように調整します。そして最後にもう一度中央のピント調整ダイヤルを回して微調整します。一度合わせておけばそんなにズレないので次からは距離に応じてピントを合わせるだけで十分です。

評価

全面マルチコーティングだけあって濁りは一切なく非常にクリアに見えます。想像以上の見え味でした。明るさも申し分ありません。両目で見るので近くの景色は立体感をもって見えるのが新鮮です。倍率は8倍もあれば十分すぎるほどです。

約9千円という価格を高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれでしょうけど、僕は価格以上の価値があると感じますね。1万円を切る価格でこれだけの性能が手に入るなら大満足です。さすがはオリンパス製だと思いました。

片雲の風に誘われて

コメント

  1. タケヘイ より:

    私もこれ使ってます。
    鳥観察用です。
    オリンパスでコンパクトで色もいい。
    もちろん見え方もいい感じ。
    ランニングの時なども、持ち出して
    バードウオッチングしています。
    コンパクトで軽い、いいですね。

  2. SORA より:

    たぶん同クラスの中で一番コスパが良いのでベストセラーになってるんでしょうね。
    これ以上、何を求めるものがあるか?という感じです。
    常に持ち歩ければいろいろと楽しみ方も広がりますね。